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無重力  作者: 雨世界
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「まだ、自分がどんなことを本当に学びたいのか。自分がどんな職業に就きたいのか。それがわからない。将来の自分が、大学合格したあとの今も、まだ上手く想像できないんだね。百花くんは」

「はい。そうです」小さく笑って百花は言う。

 自分がなにを勉強したいのかわからない。自分がどんな仕事をしたいのか、わからない。……自分がなんのためにこの世界に生まれてきたのか、……わからない。自分がどうして、生きているのか、わからない。

 後半の問いかけは秘密にしていたけど、その前半の二つの疑問はずっと受験勉強を鏡に教わっている間、百花が鏡に言っていた言葉だった。

 その答えは、今もわからないままだった。


 百花は勉強がそれなりにできたほうだとは思うけど、(学年の成績は毎回、上位。でも、志望校の合格判定はBだった)でもそれはただ与えられて問題を解いたり、教科書や参考書の問題を暗記する、と言った作業がたまたま百花が得意だったというだけで、なにかとても強い、百花の中にある意思、願望、欲求、熱意、あるいは夢、と言い換えてもいいのかもしれないけれど、そういった感情に支えられたものではなかった。

 だから百花は自分が大学受験に失敗すると思っていた。

 実際に、あの少し気の抜けた、二年前の鏡に会う前の私なら、きっと大学受験に失敗して、今頃、どこか『遠い場所』に一人旅にでも出ていたのかもしれない、と百花は思っていた。(本当にそうなっていたと今も思う)

 でも、鏡に出会って、百花は変わった。

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