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お嬢様と蛸とモリ◯ーと蛇(中編)

お嬢様の怪異w

正確にはお嬢様の周りにいる怪異


明日も投稿するので読みに来てください

お嬢様の周りで宙に舞っている細っい白蛇の爬虫類的な気持ちが無いような鋭い視線。


お嬢様の肩の上にから猫の目を横にしたような気味の悪い目で、ただただこっちの方を眺めているというか、監視しているような無感情極まっている蛸の視線。


僕の方を見ていないのだが、居るだけで僕を押しつぶして轢き殺してしまいそうな深緑色のモリゾーの雰囲気。


これらが『視える』こと以外普通の高校生の、ただの喉が渇いてスーパーマーケットまでお茶を買いに行った高校生の、帰ったらアニメでも見ようとぼやぁんと考えていた高校生の、僕に降り注いできた。

意図は分からない。

唯々僕に見られたくなかったのか、唯々僕のことが気に入らなかったのか、唯々僕の事を誰かと勘違いしているのか、分からない。

一つ分かることがある。


『敵意』


これを蛸、蛇、モリゾーから受けていた。

何となくだが個体別の敵意の濃度は違うように感じられた。

蛇が一番『敵意』が高く、『敵意』の枠に収まらず、むしろ『殺意』に近いようなそんな感じだった。

二番目に『敵意』が高いのは蛸。『近寄るな』的なそんなニュアンスの忌み嫌う系のものだと思う。

モリゾーは・・・・・・・・色々な感情が混ざり合ってよく分からん。

『敵意』なのかと言えばそうでもないし、じゃあ『好意』なのかと言えばそうでもない。


まるであのオッサンみたいだな。


結局、この威圧的な雰囲気は元から出ている物なのだ、と結論付けた。


一本道の上。


学校一のお嬢様は僕と真反対の歩道を真反対の方向から歩いてくる。

このまま知らん顔しながら真っ直ぐ歩いて家に帰ったら涼しい部屋でアニメを見て、いつも通りグダグダするだろう。

本音の所はそうしたい。

どうにも今回の夏休みは少し例年通りのモノとは違う感じがするから、出来ればいつも通りののんびりしたものに戻したい。

だいたいあの日に『運動したい』とか『大祓 巫に付いていってみよう』とか思わなければ()()()()()が視えなかっただろうし、そもそも同クラのお嬢様が歩いているなんて気が付かなかっただろう。


やっぱり『視える』なんてめんどくさいんだよな!

と、思いつつ心の中のもう一人の僕は『中二心がくすぐられるぜ!』とうずうずしていた。


とかそんなこと思ったり思わなかったりしている間にも、四楓院 柊は近づいてきている。

おまけに『敵意』も強くなってきている。

いや、別に近づくぐらいなら良くないですかね?他の人でも同じ対応してくれるんですかね?

もし僕だけにしている対応だったら泣きたくなっちゃうよ?(泣)


アスファルトの上から魂を可視化したらこんな感じだろうなって感じの透明な波が出ていた。


四楓院 柊の事を近くから見ると、まるで今まさにここで猛威を振るっている温暖湿潤気候の中にはいるとは思えない程、涼し気に歩いていた。

学校指定の夏服とはいえ私服よりは通気性が劣るというのに汗一つ出てないし、制服の白ティーより断然白いホワイトアスパラガスのように白い肌、表情一つ変えない涼しげな表情。


貴女は人形ですか?


そう聞きたくなった。

ボヤ~と眺めていたらいつの間にかお嬢様が僕から見て対岸の歩道のちょうど真横に来ていた。

どうしようどうしようどうしよう、と考えている内に四楓院 柊は通り過ぎていく。

言うべきなのか?声をかけてみるべきなのか?『視える』のかどうか尋ねてみるべきなのか?

悩む・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ん?

なんで俺がこんなに悩んでるんだよ。

可笑しくないか?お嬢様はすまし顔でトコトコ歩いて行っちゃってるって言うのに。

別に告白でもないのに緊張したり、悩んだりすることないや。


あの日と同様に、今日の僕も変だった。


暑さに脳のどこか大切な部分をやっちゃってしまったのかもしれない。

『視える』ようになった副作用なのかもしれない。

かもしれないかもしれないだったが・・・・


僕は通り過ぎていったお嬢様に振り返って声を掛けた。


「あの」


四楓院 柊がこちらに振り返って、コチラを向いてきた。


「私ですか?猫飼さん?」


振り返り、少し戸惑った様に、だが、表情は1ミクロンも動かさず返事をしてきた。

少しドキッとした。

四楓院 柊の表情が全く変わらなかったこと、ではなく、四楓院 柊が僕の呼びかけに答えたことに臆した、わけでもない。


何故か、お嬢様が僕の名前を知っていた。


それが初恋のように小っ恥ずかしくもあり、都市伝説に対して抱く恐怖のようなものに包まれたような感じもした。


「あ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


ナンテコッタイ!

第一声なんて聞くのか全く考えてなかった!!

「・・・用が無いのなら失礼したいのですが?」

「いや!なんで俺の名前知ってたのかなって・・・・少しビックリしたんだ」

本音を口から垂れ流しにするほかにこの場を取りまとめる方法はすぐには考えつかなかった。

「皆さん知ってますよ」

「俺って人気者なのか?」

そんなはずはない。だって友達ほぼいないから。

「いえ、皆さんと言うのは全校生徒ということです」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あっ、はい」

自分に対しての皮肉も含めて言ったことなのだが、マジレスされると心にグッと刺さるものがあった。

皮肉で言ったというものの、やっぱりどこか『俺は人気者だ』という期待していたところもあるので二重で心にダメージを食らった。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


妙な間


何て聞けば正しいのか何と聞けば誰も傷つかないのか考える。

そもそも『視える』こと自体間違っている事なんだからそこに『正しい』なんてないのだろうけど。

「えっと、もしかして・・・」


『視える』のか?


ドグンっ

心臓が大きく波打つのが分かった。

余計なことを言ってしまった!という後悔も、変な目で見ないいでくれ!という羞恥心も、蛇、蛸、モリ〇ーが『敵意』のレベルを上げたことに対しての恐怖も、あった。

確かにあった。

だが、一番は何とも言えぬ昂揚感だった。

僕は心のどこかで『視える』仲間を求めていたのかもしれない。

というか絶対そうだった。鼓動が早くなる心臓がそう告げていた。


「見える?視えるとは何がですか?」


うげぇ


それ言わせるか?

女子に告白したら、『え?何が?』って言われるみたいじゃねぇか!


まぁ、この反応からして視えないのだろう。

いや!言うに言えないからな!?

もしここで『幽霊の事なんだけど・・・・』とか言って、初めて四楓院 柊の笑顔(苦笑い)を見る羽目にはなりたくない!


「いや、何でもないです・・・そのことは忘れてください」


蛇、蛸 モリ〇ーの僕に対して『敵意』のレベルは一段下がったように感じた。


「そうですか、では」

流れるように四楓院 柊は帰ろうとした。

「ちょ・・っ!じゃあ!」

「・・・・・・・・・」

「最近何か悪いことなかった?」

あぁ~~これだけ聞いたら意味わかんないヤバい奴だよな~~俺。

案の定四楓院 柊の顔が少し曇ったような気がした。

無表情のままだけど。

これを聞いたのには勿論僕なりの理由がある。


このブレーメン音楽隊みたいな白蛇 蛸、モリ〇ーは僕の見立てだと()()()()()


こんなに人間に『敵意』向ける妖怪なんて遭ったことが無い。

僕的に言うとそういうよりは、視たことが無いって言った方が良いな。

それに、四楓院 柊の、人を寄せ付けない雰囲気とか、笑わない理由もこいつらにあるのではないかとも思っている。

というか、こっちの方が理由としてはメインの方だ。

何度も言うが、僕と四楓院 柊とは同じクラスだ。

そのせいで、四楓院 柊の悲しい所が嫌でも目に入ってしまう。

近づいてきた好意的な人がすぐに周りから居なくなってしまったりとか・・・・・・・・・・・まぁとにかく悲しい話だ。

それがもしこいつらのせいであるのならどうにかしてあげたい。

・・・・・・・あげたいって言うと、ちょっと厚かましかったな。

どうにかしたい。

「悪い事ですか・・・・・・・・・・・・」

「そう、悪い事」

自分で聞いてて、大雑把な質問だなぁと思ってしまった。

「ふふっ・・・人生ですかね・・・・・・不幸なのは」

「それって・・・・・」

コクリと四楓院 柊が頷いた。

「親しい人ができない事です」

四楓院 柊がそう言うと、宙を舞っていた白蛇がさらに長くなり四楓院 柊の周りを更に密度高めに宙を舞い始める。それに伴って蛸は視えなくなってしまった。モリ〇ーは白蛇でもじゃもじゃとなっている所を抱き着くように、中にいる四楓院 柊を守るように近くに寄り添った。


こいつら・・・・・・・・・・・・

四楓院 柊の負の感情に寄り添ってるこの感じ、悪霊っぽいな・・・・・・


「例えばどういう事が?」

「私としては普通に話しているつもりなんですけど、周りからは変な風に思われてしまうのでしょう。本当は敬語は使われたくありませんし、使いたくも無いんです。家の事でも一線を引かれてしまったり、私聴覚障害で耳が異常に良いんですけど、周りでヒソヒソ話す声も聞こえてきて・・・・・・・・・・・・私って何なんだろうなって」

思ってたより重く考えていたらしい。

「じゃあ、自分から変わらないとダメなんじゃない・・・・」

「それができないのだからこうやって悩んでいるのでしょう!!」

四楓院 柊が声を荒らげる。

「家が」


『家が』


イエガ


家がそうさせてくれないから・・・・・・・・・・・・


蛇が更に四楓院 柊を中心にとぐろを巻いて、白い卵みたいになってしまった。


それを包むようにモリ〇ーがデカくなる。


あれ?ヤバい何か気分が悪くなってきた・・・・・・・・・


地面が僕めがけて飛んできた。


違うコレ・・・・倒れてるんだ・・・・・・・・・・・・


バタン


アスファルトに大量の汗が広がった。

皆さん熱中症にはお気をつけてください

水分水分♪

明日も投稿するので遊びに来てください

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