お嬢様と蛸とモリ◯ーと蛇(前編)
前半の話はほとんど東の神自身の話w
ちゃんとこの話の中でお嬢様出るんで安心してください(*- -)(*_ _)ペコリ
是非楽しんでください。
明日も投稿するのでぜひ見に来てください!
7月23日
1時半
気温28度 快晴
ニュースで言っていたのだが、今日は梅雨明けらしい。
今日は、塾など講習等の予定も無く、暇だったので昼食後、同じことしかずっと放映していないワイドショーをぼんやり見たのだが、やっぱり暇だったので、家の近くの書店に行ってみた。
その店は活気ある商店街の中にあるのだが、その書店には客が入っていなかった。
ウィン
自動ドアを開いた。
開いたドアから寒いほどの冷気が僕の身体を舐めた。
それをかき分け店内に入ると、すぐ右にレジなど伝票等が置かれている会計台があった。
その奥に座っているのは、高齢で白髪のおじいさんだった。
そのおじいさんは猫背で丸くなっていた。
今は夏真っ盛りなのに、そのおじいさんは渋緑色の毛玉が激しいセーターを着ていた。
絶対にこんなに店を冷やしているからだ、と思いながら、そのおじいさんを横切り、先ずは文庫本のスペースに行ってきた。
地域の本屋だな~という感じで、僕が欲しかった先週ぐらいに発売された小説が置いてなかった。
ついでだから、と僕はそのスペースをじっくりと見て回った。
「あ」
好きな作家の、と言ってもまだ一冊しか読んだことが無いのだが、辻村先生の作品がちょびっと置いてあった。
僕の読んだ作品も、置いてあった。
絶対に、ここの店主が選んで並べているわけがないのだが、この店は良い店だと思った。
結局、欲しい物は置いて無く、その場でほしくなったものも無かった。
あぁと思いながら、次に僕は漫画が置いてあるスペースに行った。
何故か文庫本のスペースの規模より大きかった。
だが、やっぱり、最新刊は置いていなかった。
しかし、僕が欲しい漫画は、もう完結済みの物で、ある程度人気もあったので全部そろっていた。
何巻だっけ?
そのシリーズの前に買ったであろう隣りの物を取って、内容を確かめて見ようと漫画を開こうとしたが、テープみたいのが貼ってあった。
こういうところは地域の店っぽくないな。
近頃は、納品する時こういう状態でやってくるのだろうか。
その本を取って、会計台に向かった。
おじいさんが無言でその本を手に取り、ピッとバーコードを読み込んだ。
それと同時に、僕も財布を取り出す。
そこから千円を出して、名前が分からないが底がゴムの剣山になっている金の受け皿に置いた。
ジーーッ
レジの引き出しが開いた。
おじいさんは、僕が置いた千円をそこにしまった。
そして、お釣りを僕に渡してきた。
おじいさんは、お釣りを僕に渡した後、慣れた手つきで本にカバーを付けてくれた。
普通なら「カバー要りますか?」と聞く所を、無言で客に対しての親切心を実行する様はさながら仕事人のようだった。
その親切心の塊を袋に入れて、会計台にのせた。
袋の取っ手をこちらに向けて。
「どうも」
礼を言った。
「またのご利用を」
無骨だがちゃんと気配りもできていい店主、いい店だった。
ウィン
充足感で満たされたまま僕は店を後にした。
店の外は来た時よりも暑く感じた。
本屋のガンガンに効いたクーラーのせいなのは疑いようも無かった。
汗がジトリジトリと這うように頬を転がっていく。
服の胸部付近をつまんで、ファサファサと動かして、服の中の湿気を取り除こうと試みた。
一時的には涼しくなった。
しかし、一時でもそれを止めると、また服の中が籠ってしまい、水の泡になってしまう。
もう後戻りは出来なくなってしまった。
ドラッグミタイダナ。
使ったことは勿論無いけど。
あぁ喉が渇いた。
でも、自動販売機で買うにしては家が近い。
しょうがない、我慢だ。
結局、服パタパタを止めてしまい、汗でぐっしょりになってしまった服で帰宅した。
靴をほっぽり出して、キッチンの冷蔵庫の中にあるはずのお茶の入ったボトルの元へ直行した。
早足で向かうのだが、足もちょっと汗をかいており、フローリングに水気のある足跡が付いた。
到着した。
ガチャ
喉の渇きのせいで、ほんの少しの距離の扉から冷蔵庫までの距離が、『苦吐階段』並みの距離だと思われた。
「あれ?」
ボトルの中で結露起こすぐらいにキンキンに冷えた麦茶を期待していたのに、冷蔵庫の中には、
ビール、チーズ、蛍烏賊、ジャム、チョコ、トマト、甘納豆、食べるラー油の瓶。
飲めるものが一切ない!!
どうすればいいんだ・・・・・・
一瞬途方に暮れたが、直ぐに喉の渇きが目ざませてくれた。
僕は漫画の入っている袋をテーブルに置き、そのまま家を出た。
ぐしょっりと湿ったまま出るのは嫌だったが、新しい服を着て、それもぐっしょりにしてしまうって言うのは申し訳なくて出来なかった。
出来なかったが、一応ギャツビーで拭いた。
もし周りに人が来た時のための保険だ。
勝手に近寄られて、「うわっ」と思われるのは僕的にも嫌だし、近寄ってきた人も嫌だろう。
昔、距離感の近い男友達が僕に「ヘ~~イ!」と触ってきた。
男友達が触ったところは、汗まみれの僕の腕だった。
その男友達はそのまま話していたが、ズボンの後ろの方で手をゴシッと拭ったのが目の端に入った。
最初は、そんなことするなら触るなよ、と思ったが、ソイツは良い奴だったしよく喋ってくれる奴だったから、申し訳ないな、と僕の汗をかく体質を呪った。
まぁ、こんなこともあって人とのボディタッチは出来るだけ避けている。
もし偶然、誰かに当たってしまったら、心の中で、すまないなぁでも俺も触られて嫌だからな、と謝っている。
ジリジリジリ
この前テレビで、都会は照り返しが強い、と言っていたことを思い出した。
実際、顎の下とか、素肌の出ている所、万遍無く焼かれているようだった。
ケバブはこんな気持ちなのだろうか。
『都会は』?じゃあ、田舎だと照り返しはキツくないのか?
まぁ、田舎らしい田舎に行ったことが無いからな。
住んでいる場所は、まあまあ都会だし、祖父母の家も東北の方にあるけど百万都市だから田舎っぽくはない、というか、都市って感じだ。
だから僕は田舎とは縁遠い。
遠くにスーパーマーケットが見えた。
そこは価格帯が、東南アジアに来たのかと思うほど低い。
つまり、激安。
業務用スーパーでもないし、丁度いい量を安く買えると言う事で重宝している。
ウィン
ひんやりとした風がまた身体をなぞった。
ウィン
「あっつ」
ずっとこのスーパーに住んでいたいと思った。
冷暖房完備、衣食住揃ってる、電気も使いたい放題、こんな所に住んだら、確かに楽だろうけど、脳みそから腐っていきそうだなとも思った。
買った飲み物は、1.5ℓの緑茶と500mℓのウーロン茶を二本だ。
500の物は一本だけ帰りながら飲むことにした。
元からそのつもりだったけど。
ガッ
ブハッ
「うめぇ」
ペットボトルを見たら、半分ぐらいの地点にウーロン茶の揺れがあった。
後はキンキンに冷えた部屋で、アニメを見るだけだった。
だけだったのに、遭ってしまった。
「うわっ」
それを見た時に、僕はそれしか声にできなかった。
それとは。
宙に浮いている細っこい白色の蛇。
その女子の肩の上にチョコンと乗っかっている小っさい蛸。
背後をのっしのしと付いて歩く2m位の大きさのモリゾー。
これらが同じ学校の制服を着ている女子を取り囲んでいた。
「あぁ・・・・・・・・」
しかもよく見たら、その女子は、同じクラスの女子だった。
その女子とは、全く喋ったことは無いがうわさは聞いたことがある。
黒髪の真っ直ぐなロングポニーテール どうやら超金持ちらしい 周りから距離を取られており近寄り難し
それだけだったら、もし、通り過ぎるだけだったら、何もしなかったのかもしれない、めんどくさいことにならなかったのかもしれない。
だが、それだけではなかった。
その奇妙な一行は、僕に向かって敵意を向けてきたのだ。
モリ〇ーって言ってますけど、読んだ人の想像でお任せします。
もし良かったら感想とかください(*- -)(*_ _)ペコリ