第7話 夢と記憶
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夏の日差しが強く、セミの鳴き声が響く時俺たち2人は見つめ合っていた。
目の前にはおとなしく清楚な女の子が僕の顔をじっと見つめている。
彼女の頬にはこの暑さのせいか汗が流れており、その汗の流れをゆっくりと見れるほど時間は遅く感じた。
今彼女は何を言った?
‘俺’はそんなことのために生徒会に入ったわけじゃない!
俺はただ、みんなを......
「‘鳴霞’、安心しろ。俺は別に下心があったわけじゃない。お前は噂に流される性格はまだ直っていないみたいだな。だから、前にも言った通り、俺はーーー」
俺は、目の前に立っている鳴霞に伝えた。
「俺は、鳴霞のことが好きだ」
こう伝えた。
目を開けると白い天井が見えた。
そして、薬品の独特な匂いが‘僕’の花を少し刺激した。
それより、今の夢はなんだ?昔の記憶?それとも、俺のただの夢?
俺は白いベッドから降りて立ち上がり、このベッドを外から見られないように仕切られているカーテンを開くと、白衣を着た女性が椅子に座っていた。
「おや、起きたのか」
座っていた女性は僕が起きたことに気づき、立ち上がった。
「えっと、ここは?」
僕は見たことがない場所に寝ていたみたいだ。
ふと窓の方を見るとまだ夕日は落ちていなかった。
「そうか、君は記憶喪失になっていたんだな。ここは保健室だ。そして、私が保険の先生の吉田小牧だ。保健室は何かわかるな?」
僕は吉田先生の問いに首を縦に振って応えた。
「あの、僕はなぜここにいるのですか?」
僕はそれが疑問だった。
たしか、僕は何をしてたっけ?
僕は頭の中をフル回転させ、記憶を確かめようとするが、謎の頭痛が僕の頭に響いて、それを遮断された。
でも、何かおぼえていることがある。
耳に残る謎の音が僕達が座っていた席の近くでしたことだ。
あれ?僕達?
「あなたは佳織さんと雅也君とカフェにいた時気絶したのよ。そして、2人がここまで連れてきてくれたの」
そっか、あの2人がここまで。
「あの、僕はもう大丈夫なので帰りますね」
僕がそう言うと、吉田先生は黙って頷き、また自分の仕事に戻っていた。
廊下に出ると2人の生徒がいた。
「うわ、びっくりした!って君達は?」
それは、今日握手を求められた白色のツインテの女の子と茶髪の黒のメガネをした女の子たちだった。
「あの、なぜ保健室から出てきたのですか?」
白髪の子が聞いてきた。
「えっと、僕は倒れていたらしい。それで、友達がここまで連れてきてくれたんだ」
そうですかと頷き、2人は去って言った。
2人は‘何か’を隠すようにそこから立ち去った。
その何かが一瞬見えたが、黒いものだった。
でも、僕にはそれが何かわからず記憶を失った時に多分その物も頭から消えたのだろう。
形は大体覚えていたので、家に帰ってから調べることにした。
朝の日課はニュースを見ながら、牛乳を飲みパンを食べることだ。
なぜか、僕の家には大量の果物があるので、デザートに今日はイチゴを選んだ。
この一連の流れは頭の中に残っており、問題なく朝の流れを済ますことはできる。
そして、ゆっくりとニュースを見るのが僕にとって少し幸せだ。
今日のニュースはひき逃げ犯がまだ捕まっていないことと、税金泥棒をした政治家についてと、パティシェ男子が大流行という記事だった。
僕にはあまり関係のない話だが、ついつい見てしまう。
そういえば、純恋の両親はパティシェの有名な人だって聞いたことがあるような......
記憶がまだ混乱しているので、それが真意かは分からないが、たしかそうだった気がする。
こうして、のんびりしていると時間が迫ってきているのに気づかない。
これが、朝の時間だ。
僕は急いで支度をし、家を出た。
今日は午前中がフリータイムで、午後からがステージの発表をやる。
なので、1日目とは逆の日程となっている。
そして、僕達生徒会の劇は最後にある。
今日は学校に行くと、自由にフリータイムを満喫してくれという指示なので、僕は鳴霞と約束の場所に急いだ。
綺麗な髪、清楚で上品な服装。
顔のパーツも1つ1つが綺麗に整っていて体つきも悪くもなく、むしろスタイルがいい。
その女の子が僕の横を歩いている。
こんな幸せなことはあまりないな。
「秋作先輩?どうかしましたか?」
そう思っていると、鳴霞の顔を見れなかった。
僕のおかしい態度に鳴霞は少し疑問に感じていた。
僕が鳴霞のことを見れないのは、もう1つ理由がある。
それは保健室で見た夢だ。
これが気になって昨日はあまり寝れなかった。
どうせなら聞いてしまおうと思い、つい口に出してしまった。
「あのさ、僕って鳴霞に告白したことある?」
そう言うと、彼女はとても驚いた顔をしていた。
「そうです、ということは、記憶が戻ったのですか!!!」
鳴霞が少し大きな声を出し、僕の体に近づいてくる。
そんな鳴霞は可愛らしく、いや今はそんなこと考えている場合じゃなかった。
これはまずい......鳴霞の体が僕の体にくっついている。
「いや、そこの記憶が少し戻ったというか、どうというか......」
僕が口ごもっていると、鳴霞は僕の代わりに続きを言った。
「たしかに秋作先輩は私に告白をしました。でも、私はそれを振りました。理由はまだ教えれません」
鳴霞の言葉は力がこもっており、僕の心を少し迷わせた。
秋作の頭をめぐるたくさんの記憶と謎の2人の少女達