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第2話 学校

第2話です。


僕がまた学校に通うようになった時は僕が目を覚ました時の3週間後だった。

僕が事故を起こし生徒会メンバーと会うまでは1ヶ月の間僕は眠っていたらしい。

医者の話によると頭にだけ大きな傷ができ、そのせいで記憶が少しだけ失われたと言っていた。


「ここが2年3組か。僕はうまくやれるのだろうか......」

僕は自分の教室までの道のりは覚えていたので、少しの記憶はまだ残っていることに安心した。

でも、人と関わった記憶だけは何も残っていないことが怖い。僕はこの教室でいじめにあっていたかもしれないという恐怖が僕を襲った。

でも......


「お、秋作!退院おめでとう!ちなみに俺の名前は吉野雅也(まさや)だ。お前は俺のこと雅也って呼んでたからそう呼べばいいぞ!」

僕が教室に入ってすぐに話しかけてきたのは赤色の髪をした少しチャラい感じの男性だった。

「あ、秋作きたのね。ていうか、雅也!あんた朝からうるさいから少しは黙りなさい」

すると佳織も話しかけてきた。

「えっと、2人は僕の友達だったの?」

僕は2人と仲が良かったのかどうか聞いてみた。

「何言ってんだよ!たったじゃなくて、友達だろ?」

当然だろって顔をして雅也は言った。

「中々いいこと言うわね。あんたは意外と気が効くのね」

佳織が雅也のことを褒めていて、その会話に僕は少し笑ってしまった。

「2人は仲良いね!僕達はいつもこの3人で絡んでたりしてたの?」

「いや、生徒会長の純恋も合わせた4人でいつも絡んでいたわ。でも、純恋はいつも生徒会によってから教室に来るからいつも来るのが遅いのよ」

雅也か......この名前には暖かさを少し感じた。多分彼はとても優しい人なのだろうと僕は思った。

さっきの言葉は僕にとても効いていた。

こう話していると純恋もやってきた

「あ、秋作君学校に来たのね。この節はどう謝罪すれば良いのかわからないけど、あなたが学校に来れるようになって良かったわ」

「いや、別に気にしなくていいよ!僕には純恋に何をしたか覚えていないから」

記憶がないというのは言葉には簡単に表せるが、意味は複雑だ。

今まで自分が誰にどんな想いをして生活していたのか誰とどんなことをしたのかという思い出さえもなくなっている。

僕はそれに耐えきれるのだろうか......記憶がないことで不便が起きるのじゃないか。

僕は不安に思って自分の席に座った



放課後になると生徒会の人らは部活に所属出来ないので、生徒会室に行くらしい。

そこで悩める生徒の悩みを解決したり、学校に関する資料などを整理したり僕達でお話をしていたらしい。

そして、2階の端の教室の生徒会室の前に僕は立ち止まっていた。

「ノックとかしたほうがいいのかな?」

僕が悩んでいると後ろから声がした。

「先輩早いですね。あと、ノックとかしなくていいですよ?気軽に入りましょー」

詩織に背中を押され僕達は生徒会室に入った。

中には誰もいなくて僕達が1番らしい。

「あの、先輩ちょっといいですか?」

すると詩織が相談をしてきた

「どうしたの?」

「先輩は学校に登校して何か思い出したことなどありませんか?」

そういえば、医者の人が学校などに行くと何かのショックで記憶が戻るかもしれないとか言ってたな。多分そのことについて彼女は聞いているのだろう。

「ごめんよ、まだ何もわかっていないや」

「そうですか.....」

詩織は下を向いて少し落ち込んでいた。

その時胸に少し痛みが走った

何だこの痛み。彼女の不安そうな顔を見ると心が痛くなる。

「大丈夫。僕は絶対に記憶を戻すから。安心して!」

僕は彼女を慰めるために頭を撫でそう言った。

実際は彼女の苦しんでいる顔を見るのが直感的に僕の体が拒否した。

何か嫌な気分に僕もなっていたから。

「せ、先輩⁉︎え、ええ!ちょ、何して!!」

詩織は顔を真っ赤にしながら今頭を撫でられたことを必死に頭の中で整理していた。

「ごめん、嫌だった?」

すると彼女は凄い勢いで首を横に振った

「いえいえ!全く嫌じゃないです!できればもっとしてほし......」

「え?何て言ったの?」

詩織の最後の方は言葉が聞こえなく何を言っているのかわからなかった。

「いや、何でもないです!」

詩織はやっと落ち着きいつもの調子に戻っていた。

「あの、僕ちょっとトイレに行って来るよ」

僕はそのまま教室から出た。


トイレの窓から紅葉が散っているのが見えた、

秋か。秋という言葉は僕の記憶に残っていた。

こういうことは覚えているのにみんなの記憶は残ってないのか。

「俺の記憶はもう戻らないのかな......」

僕は悲しくなってトイレで泣いてしまった。

でも、弱音を吐いていちゃだめだ!

僕の弱いところを見せてしまうとみんなも悲しんでしまう気がする。

だから、僕は常に笑っているんだ。記憶がないという辛いことを乗り越えて......

僕は洗面所で顔を洗い、生徒会室に戻った。


「秋作先輩こんばんは」

中に入ると鳴霞しかいなかった。

おかしいな?さっきまで詩織はいたのに

「あの、詩織は?」

「詩織は教室に忘れ物があると行って取りに行きました」

「あのさ、鳴霞って上品な感じだけどお嬢様なの?」

鳴霞は名前からしても上品でさらに顔も綺麗で、服装も整っている。

でも僕がそう聞くと彼女の顔色が変わった

「お嬢様の話はやめてください!」

彼女はいつも話す時声は小さく、上品なのにこの時だけは大声だった。

「えっ.....鳴霞?ごめん、変なこと聞いてしまった?」

彼女の悲鳴のような絶叫も僕の心に少しチクリとした痛みがきた。

まただ。詩織の時みたいに胸が痛くなる。

これは......なんだ?

「私はお嬢様です。でも、それでも、普通の人と変わらずに私と接してください!お願いします......」

鳴霞のお願いしますは消え入るような声だった。

多分彼女はお嬢様ということで何かがあったんだろうと直感的に察した。

「ごめん、変なこと聞いて。無神経だったよ」

詩織の時と同じく僕は鳴霞の頭を撫でた。

「ええっ、秋作先輩⁉︎な、撫で......撫でられた⁉︎」

詩織の時と同じく鳴霞は顔を赤くして恥ずかしがっていた

「鳴霞、顔真っ赤だよ。かわいいね」

「かっ、かわっ、かわいいって......」

鳴霞は小さな腕で僕の体を叩いて来る。

その力はほとんどなく、じゃれているようにしか僕には感じなかった。


「先輩はやっぱり誰にでも優しいんだね」

その様子を詩織は見ていた。

そして、小さな声で呟いた。

詩織は戻って来ると先輩が鳴霞の頭を撫でていて、入り辛かった。

そして、そのまま2人の様子を見ていたら鳴霞に嫉妬してしまった。

ダメだなぁ私

今回は1年生メインの紹介みたいな感じになりました。

2人のある言葉で秋作の胸は痛みが走る。

2人に何があったのか......

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