1話 親友からの告白
1話 親友からの告白
「なあマサオミ、俺たちって友達だよな」
誰もいなくなった放課後の教室で、親友のカズヤが改まった感じで話し始めた。
「なァに言ってんだカズヤ?友達どころか親友だろうが」
カズヤと俺は小学校3年生から高校1年の今までずっと毎日のようにつるんでいる。
「もし、もしも、俺がお前の思ってるような男でなくて、人間のクズと言われるような男だったとして、見捨てないでいてくれるか・・・?」
カズヤの様子がおかしい。一体どうしたと言うんだ。まァ話を聞いて励ましてやろう。
「安心しろよ。おまえがクズじゃないことは俺がよく知ってるよ。文武両道で品行方正、そのうえ他人思いの爽やかナイスガイ。それがお前だろ?」
お世辞抜きの正直な気持ちだ。こいつがクズだというのなら、世の中にはクズしかいない。そう思える。
「・・・それが、嘘なんだ。だけど相談にのってほしい。頼れるのはお前だけなんだ」
要領を得ない説明だ。いつもなら明快に話してくれるのに。よほど傷付くことでも会ったのか
「わけがわからん。俺はずーっとおまえを見てきたけど、おまえのスポーツ万能っぷりも頭の良さもルックスも性格も全部嘘だっていうのか?
そんなことまで嘘つけるのは、世界を騙せるような奴くらいだぜ。
とりあえず相談くらい乗ってやるさ。話してみろよ」
うつむき、軽く唸った後、決意したようにカズヤがこちらを見て言った
「俺はこの世界の神なんだ。この世界では俺はなんでも騙せる。やろうと思えば、親友のおまえでさえも・・・騙せる」
「からかって・・・るようには見えないが・・・んー、なにか証拠が欲しい」
「わかった。そこに国立のスパコン研究所が見えるよな?この前、世界一位になって結構話題になったよな」
「ああ、ダントツで世界一位になったやつだな。10位までのスパコンを合算したよりも、国内のPCスマホすべてを合算したよりも高度な性能を持ってるらしいな」
日本人として、ちょっと誇らしいものだ。スパコンは様々な事業に使われる国力の源だ。
「あの建物を今から消す」
何言ってんだカズヤ。そいつは重要な建物だろオイ。
「へ?いやマジで消すにしてももっと適当なものでいいだろ」
「ちょうどいい見本だし、邪魔なんだアレ。もう限界なんだ。俺が最近すこしづつ早口になってるの、気づいてたか?それもあのスパコン研究所を消せば少し落ち着く」
何を言ってるんだ?
「もうちょっと具体的に説明してくれないか?なにがなんだか」
「まァ、とにかく見ていてくれ。3・・2・・1・・ゼロ!」
スパコン研究所がいきなり更地になった。なにもなかったかのような土むき出しの土地で、ゴミも何もない。
「これで一息つける・・・わかってくれたかマサオミ?これで俺が神様だってこと。なんならおまえを美少女に変えたり、大金持ちにしてもいい」
はじめからそうしてくれたほうがわかりやすくて助かる。でも神様の証明にはならんなァ・・・
「まあ、神様かはわからないがすごい力を手に入れたことはわかった。どっちも今は望んでないが、女体化とか身体改造のほうが超常現象としてはわかりやすかったかな」
カズヤを安心させるために、いつものバカ話のように冗談めいた雰囲気で笑いながらそう言った。
「・・・ああ、いつものマサオミで助かるよ。俺も少し落ち着いてきた。とはいえまず何から話せばいいのかな。わかんねえや」
それならこっちから誘導してやろう
「じゃあ、質問するが、どうやって神様になったんだ?それとももともと神様で、カズヤとして下界に遊びに来たのか?」
「両方・・・だな」
「両方?」
「俺は別の世界の人間なんだ。でもこの世界じゃ神様をやっている。本当の世界じゃどうしようもないクズニートなんだ。」