彼の背中を
ある人が教えてくれました。
バーテンダーって、優しい止まり木って言う意味なんだって。
随分と私に相応しい言葉だな。
私が悲しい時、寂しい時、辛い時、救ってくれたのはバーテンダーでした。
なんで優しくしてくれるの?と聴きました。
彼に言わせると、私は渡り鳥なんですって。
だから、いつか自分の所から飛び立って行く事がわかっていても、自分の所にいる時は優しく包んでくれるのだそうです。
私はいつも独りぼっち。
誰と居てもそう感じるのです。
寂しさを紛らわす為に、その場しのぎで頭を撫でてくれる人を探しました。
要らなくなったら棄てました。
私は本当に酷い人だと思います。
特に社会人になってからは恋愛という対象は殆ど居ません。
利用価値がある人か、向こうから近付いてきた人を恋愛感覚で接して相手に誤解を招いた事も数知れません。
そんな自分にピリオドを打って、ちゃんと社会人として生きなければいけないと思っています。
本当に大切な人と向かい合っていかなければいけないと思っています。
渡り鳥も、ここに場所を決めて生涯羽根を綴じようかとも思っています。
ここに居る時は彼が包んでくれるのだそうです。
今現在、彼に愛する人が居るのかは知りません。
彼の重荷になりたくないので聴きません。
でも、彼に愛された人は幸せ以外の何物でもないと思うのです。
そんな人間が幸せにならない訳はないでしょうし、彼の幸せを願うばかりです。
私は自信がありません。
留まる事にも、進む事にも。
でも、いつか言いたい。
背けられても微笑む自信がついたとき。
怖いもの知らずで。
私が彼だったら、そう考えることもあります。
お互い違うタイミングで出逢ったならまた違った関係が築けたのかもしれません。
私は彼を忘れたくありません。彼はどう思っているのかわかりません。
でもわからなくていい。
知らなくていい。
そんな関係なんです。