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ピンチです!

どうも、緋絽です!




空を飛んでお二方を探しております。

先程ゆーすけさんが仰ったことが本当なら、由々しき事態です。

覚悟しろ、と申しますとあまり穏やかではありません。

すでにパクンとされてしまった可能性も、心太さんなら有り得ますが、こじろうさんなら大丈夫でしょう。彼はとてもお強いですからね!

ふーむ。

見つからないので一度木の枝にとまりました。

えぇ、この私が見つけられないのですから、こじろうさん達はかなりの実力者です。侮れませんね、king of かくれんぼは誰にも譲りませんよ。

「おい、そこの鳥」

一息ついた瞬間に、雷のような声が聞こえてきて思わず飛び上がりました。

おっ、恐ろしい。私の繊細なHeartが飛び出すところでした。

はっ、しかし、訂正しなくては!

「失礼ですね! 私は燕尾の立派な雄々しいツバメですよ! 鳥だのと一括りにしないで頂きたい!」

羽を広げて抗議する。そうして抗議した先には、こじろうさんよりも大きな黒いネコさんがこちらを睨んでおられました。

ヒィと悲鳴が出ます。

うう、退いてはいけません、私! 私は勇猛果敢な凛々しいツバメなのですから! I have courage !

「何かご用ですか、この凛々しい私に!」

ばさりと羽を羽ばたかせて威嚇しながら問うと、彼は無表情でこちらをみつめた。心なしか遠い目のような気もしますねぇ。

ふっ、私の凛々しさに恐れをなしましたね!

「お前、こじろうってやつ知ってるか」

この台詞! も し や! この方が、ゆーすけさんの言っていた黒ネコさんなのでは!? お任せくださいこじろうさん! 私、貴方の居場所を教えたりしませんよ! いえ、今は本当に知らないのですが!

「知りませんとも!」

「そうか」

ギロリと睨まれる。

ヒィ! 何です、嘘なんて吐いていませんよ!

「手間かけたな」

そう言ってノシノシ去っていく黒ネコさん。

あら? 意外と礼儀正しい方?



「あっ」

再び空からお二方を探していると、河川敷で心太さんを見付けました。

「心太さーん!」

「お、ロレンティーノ!」

心太さんの隣に降り立つ。

おや、おかしいですね、こじろうさんの姿が見えません。

「ご無事でよかった! こじろうさんはどちらに?」

「ご無事? えーと、こじなら」

そこでガクリと心太さんが肩を落とした。

「……オレが本調子に戻るように、生きた魚を捕るって、さっき川の中に」

「…………それは、たいへん、心強いですね」

生きた魚はたいへん粋が良いでしょうねぇ。

「うん……」



「おい」



雷のような声が響く。

私と心太さんの影がより一層大きな影に覆われました。

あら? と思った瞬間に、心太さんが持ち上げられました。いえ失礼、くわえ上げられました。

「そこのツバメ。お前こじろう知ってんじゃねえか」

キャーー! 先程の黒ネコさん!

目が、目が! 恐ろしいほど爛々としていらっしゃる! たっ、食べられる! 助けてくださいこじろうさーん!

「え、お、な、なんだ!?」

ブラブラ揺られている心太さんが目を白黒させています。

「おい、ツバメ。こじろうに伝えろ。中央公園に来なきゃお前の連れが痛い目見るぞってなあ」

そう言って心太さんをくわえたまま歩いていってしまいました。

「ギャー!? ロレンティーノーーー!」

「心太さぁぁあああああん!」

なんてこと! いっ、今すぐこじろうさんにお伝えしなくては!

He is in danger! と!


「ん? ロレンティーノじゃねえか」

川から出てきて体を震わせて水気を飛ばしながらこじろうさんが近づいてきました。

「こっ……」

「こっ?」

溜めている私に不思議に思ったのかこじろうさんが首をかしげる。

「こじろうさぁぁあああああん!」

ことの経緯を語ると、私は再びヒィと悲鳴をあげました。

見たことないほど怒った顔をしたこじろうさんが、背筋が凍るような声で唸りました。

「噛み殺してやるよ、しょうきち」


次は秋雨さん!

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