よろしく、こじろうだ!
テストが終わって一段落ついた秋雨です!
二丁目の頼れるボス、こじろうを担当します!
最近、俺の縄張りに新しい奴が来た。
そいつはなんつーか・・・・不思議な奴。
自分は人間だと主張したり、名前がどうのこうの言ったり・・・・。
なんか、放っとくと野垂れ死にそうだったから、俺が面倒を見ている。
きゅるるるる・・・・。
隣で切なそうな音が鳴った。
「はら、へった・・・・」
隣を見ると、しんたの耳がへにょりと垂れ下がっていた。
もう飯時だったか。
「んじゃ、飯取りに行くか」
「マジで!?」
一気に表情が明るくなる。
こいつ、表現が大げさだから見てて飽きない。
「そういえば、一緒に行くのは初めてだったか?」
「おう!今日は何を取りに行くんだ?」
ねずみはやめてくれよ?と付け足された言葉に苦笑する。
あれは狩りの練習だから実際に食べはしねぇ・・・・と何回説明しても納得してくれなかった。
まあ、食料が何もない時には食べるが。
非常食だ、非常食。
「今日は魚にするか」
「あー・・・・・、魚、かあ・・・・」
「嫌か?なら変えるけど」
「いや、そうじゃなくて・・・・。やっぱ、生だよなぁ」
腹壊さないかな・・・とか言ってるが、いっつも食べてるもんじゃねーか。
「壊すわけないだろ。ほら、さっさと行くぞ」
しんたの首を銜えて移動する。
塀の上とかを歩くときはこっちのほうが早いと気付いたのは出会ってすぐの時。
こいつに歩かせたら塀の上から降りれなかったり、屋根から落ちそうになったりで余計に遅くなる。
「うう、これには慣れない・・・・」
俺に銜えられているしんたは小さい体をさらに小さく丸めて震えている。
これくらい普通だっつーの。
「着いたぞ」
しんたを下す。
「ここって、魚屋じゃん」
「ほら、あそこに今日の飯がある」
前足で魚が積みあがっているところを差す。
「・・・・・なあ、まさか」
「ちょっと待ってろ、取ってきてやるから」
何か言いかけていたしんたを置いて、走る。
ヒトは・・・・気付いてない。よし、今だ。
魚を2尾銜えてしんたのところに帰る。
「ん、喰え」
しんたの足元に1尾おいて、俺は残った1尾を食べる。
「それって、泥棒じゃん・・・・・!」
うあー、と頭を抱えているしんた。
「は?」
食べるのを中断して顔を上げる。
「あれは売り物なんだから、金を払わないといけないんだよ!」
金ぇ?
「なんだ、それ?」
「あー、うー、勝手にとったら駄目なやつなんだよ」
「取られたくないなら隠せばいいだろ。隠してないんだから取られても文句は言えないだろ」
そこまで言って、また飯を食う。
やっぱここの魚はうまいなー。
「そうだよな、動物の世界にお金なんてないもんな・・・・・。魚屋のおじさん、取っちゃってごめんなさい・・・」
しんたはぶつぶつ言いながら魚屋・・・・だったっけ?のほうを見てる。
どうでもいいけど、その魚喰わないなら俺が喰うぞ?
やってみたかったんです、これ。
猫が魚を取っていくのはこんな理由・・・・だったらいいなーと。
次は夕さん!