#000E 旧時代の残骸 / Remain of the Past
X4の9.0ベータで武器の射撃アニメーションがバグっててゲーム側の不具合の可能性も出て来たのでMod開発は少しペースを落としてこっちに集中しようかと……。(アニメーションのフレーム数が短すぎると正常に再生されない可能性)
ようやく探索パートが始まります。
大量の砂を巻き上げながらロカウルから飛び立ち、
30分ほどで僕の当初の目的地──つまりは第二の文明の
地下構造へ続く小さな穴のある所へ戻ってきた。
前回大まかな位置情報を頼りにに探していた場所と比べてみると、
実際にそれなりのずれがあることが分かるね。
今は正確な場所が分かっているから高度を下げて探すことができる。
地図上で印がつけられていた地点へとまっすぐ飛び、
周囲の地形と地図上の地形を見比べながら捜索することおおよそ5分。
昨日はそれらしいものすら見つけられなかったというのに、
あっさりと見つけることができた。
……はぁ、最初から詳しく聞いておけばよかったよ。
その穴というのは、多分大きさとしては僕の身体が
ぎりぎり通れるくらいのもので、この荒野のまばらに生えた草木や
転がっている岩の合間に隠れた、高空から探すのは無理と
はっきり言えるくらいに目立たない。
報告書にあった通りに目印の類は付けられていないから、
確かにこれなら誰かが興味本位で近づいたりはしないね。
"周辺地域の交通事情と調査対象の構造的不安定性、
および位置的条件から記録は書類上のみに留める"
と、そうあった。
元より誰も近づかない場所だし、反射材とかで目立たせて
しまうとかえって危険だと、クウェイスは考えたんだ。
さて、周囲の地形の安定性の評価を読んでみると、
まず荷物を背負った人間くらいの重さなら
少人数であれば問題ない程度とある。
ワイバーンの体重は人間とそれほど変わらないから
ここは問題なさそうかな。
しっかり報告を読んでからじゃないと危険だし、
周囲を旋回しつつ太い字で書かれた重要部分を確認してみる。
まず、この開口部は大規模な地下空洞の天井部分に空いていて、
開口部周辺の地面の厚さは最も厚い部分でも
0.6メルハあるかといったところ。
周囲の地質的に圧力にはある程度耐えられるけど
急な力の変化や衝撃、つまり僕たちの基準で言うと
離陸時の跳躍や着地時の衝撃みたいな動作があると
構造に大きな負荷がかかって崩落する危険がある、と。
となると着地はかなり緩やかにしないとね。
次に、地上から観測できる範囲での内部構造の考察が
書かれているんだけど、どうやら地下空洞部分はほぼ球形で、
外縁部分には激しく損壊した第二の文明の地下施設の
断面が露出しているとか。
ここから入れる可能性があるけど、
同時に防衛用の機械に突然攻撃される危険もあるかな。
そして、報告書の一番下を見ると小さな文字で球形の地下空洞の
形成過程についてのクウェイスが出した仮説が書かれていた。
ふむ……空洞の外縁、壁面部分に露出する地下構造とのつながり方と、
壊れ方から考えると地中で大きな爆発があって、
爆発で構造が大きく押し広げられた後内側に向かって崩れたとみているんだね。
爆発が起こったのははるか昔だけど、
今になって空洞部分の天井が少しずつ崩れて薄くなって、
そしてこの一点に穴が開いたというのが彼の説なのか。
さて、じゃあ一度降りようか。
魔工エンジンを停止させて、昔ながらの飛び方で風に乗り、
ゆっくりと開口部へ近づき、軽く羽ばたいて静かに着地する。
耳を澄ませても特に何かが崩れたり剥がれ落ちたりする音は
聞こえなかった。これなら大丈夫かな。
一応周囲の様子を窺いつつ慎重に開口部へ近づいて、
穴を覗き込んでみる。
場所によってはこれですら命懸けだよ。
頭を出した瞬間光線が飛んでくるなんてことが今まで何度あったか……。
でも、どうやらここは覗き込むだけなら問題は無さそう。
クウェイスやカリアが先に確認しているんだから当たり前か。
じゃあ、降りる方法を……。はぁ……息が詰まるよ。
とりあえずは中の様子が見えないとどうしようもないから、
背中の左側の装備ポッドから発煙筒を取り出して、
火をつけて落としてみる。
本当は発光のルーンを使った照明の方が安全ではあるけど、
こういうのは内部に可燃性の気体やら良くないものが
たまっていないかの確認にもなるんだ。
もし爆発したら、とりあえず逃げる。
少なくとも僕の装備は通常の爆発程度では壊れないし、
防壁装置もあるからね。
真っ暗闇へ落ちていく発煙筒を見守っていると、
それほど長くはない時間で穴の底へとぶつかって
数回転がった後に安定した。
落下地点のすぐ近くには初期調査をしたカリアたちが
落とした小さなルーン照明が転がっていて、
同時に穴の底がある程度は平坦な構造だということも分かるね。
あのサイズのだと充填されてるマナはすぐに燃え尽きるから、
既に光を失っているのは特に気にする必要はないかな。
下の様子が分かったら、今度は安全な出入りの方法を考えないと。
この穴の大きさだと翼を広げたままじゃ通れない。
だから急いで脱出する必要が出たとき、
翼を畳んだ状態で正確にここに飛び込まないといけないことになる。
魔工エンジンが無い場合は風を操って速度を稼いで飛び込む形になるかな?
ロープとウィンチを使って昇降するのが一番確実な方法では
あるんだけど、問題はロープを固定するための
杭を打つとまあ危ないよねというところ。
正直崩してしまうのが一番いいとは思う。何度もこれは考えたよ。
でもさすがにロカウルの科学議会を通さずにというのはまずいし……
せっかくロープを買ってきたのはいいけど、使うのは穴の出入りじゃなくて
内部での経路確保用になるかな。
空を飛べない陸の種族ではちょっとした段差でも
ロープや梯子がいるから、僕みたいな飛べる種族の探検家が
先行して設置しておくと喜ばれるんだよね。
さて、ここまで考えてみたけど、
これはもう気合で何とかするしかなさそうかな。
周囲に何かを設置するということ自体が難しいから、
自分の翼を頼りにするしかないよ。
深呼吸して覚悟を決めたら、
信号拳銃を抜いてオレンジのフレアを中に撃ち込む。
これは信号弾じゃなくて照明弾だから、
短時間ではあるけど中の空洞全体を照らせるくらいの光を放つんだ。
照明弾が燃え尽きるまでの間に穴へ首を突っ込んで
周囲の様子を確認したら、そのまま巣穴に潜り込む鳥のようにして
中へと飛び込み、自由落下に任せて地面のすぐ目の前で
大きく羽ばたいて少しばかり荒く着地する。
落下中も、着地後も、攻撃は受けなかった。
なら、少なくとも今はここに射線を通せる防衛兵器は居ないね。
こんな地形でもし中に敵がいたなら、どうしようもないよ。
……僕自身が立てる音以外の一切が聞こえない穴の底で周囲を見回してみる。
すでに消えかかっている照明弾の明かりに照らされた
周囲の壁面からは何層にも重なった地下施設の構造が露出しているのは
外から見たとおりだけど、この角度からならさらに多くのことが分かった。
この空洞ができた際の破壊によって断ち切られた地下構造の
断面に見える露出した配管や、擦り切れているもののかろうじて読める
通路の表示類に目を凝らしながら、僕は遮蔽を取れる岩や瓦礫に隠れて
最も近いその断面へと近づく。
見たところ、ここは倉庫だったのかな?
この場所へつながっている通路のいくつかには "STORAGE 07"
という文字が見えるし、瓦礫に混じって、潰れて
使い物にならなくなったコンテナを見つけることもできた。
箱の中身は気になるけど今は開けた場所には居たくない。
──僕が飛びあがって断面から続く通路へ上ろうとした瞬間、
照明弾が燃え尽きた。
酷いタイミングだけど距離は近いからルーン式の明かりを使えばいい。
焦りを感じる中装備ポッドからコインのような形状の道具を取り出し、
機械の指先に取り付けられた金属製の爪で軽くつつき、
地面に落とすと衝撃によって活性化したルーンは強い光を放ち始め、
周囲を明るく照らした。
空洞全体には届かないけど
ここで明かりを確保するだけなら十分。早く通路へ飛び込もう。
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崩落によって分断された地下施設の、
断面部分から続く通路に今僕は居る。
高さ、幅共に5メルハ程度の丈夫な金属製の壁で囲まれた一本道だよ。
崩落した空洞側を見れば、さっき地面に転がしておいた
ルーン照明の光と、地上へ続く小さな穴からの光。それらが見える。
この遺構の内部を探索するのは僕が最初になるんだ。
それはつまり、ここにどんな危険があるか、
事前に得られる情報はないということ。
だから……慎重に進まないといけない。
探索を進めて、どこに何があるか、何を見たかを記録して、
どんな危険と遭遇したかも書き留めておかないといけない。
僕の後からここへ来る者のためにね。
とにかく、少なくともこの位置は現状安全だ。
そして、穴から中へ降りた先である空洞部分でも攻撃を受けることは無かった。
まだ呼吸が落ち着かないけど、忘れないうちに記録を付けておこう。
装備ポッドとは別の、腰に巻いたホルスターの近くのポーチから
手帳を取り出して、進入してからの移動経路とそれぞれの地点で
見た物、起こった事を書きこんでいく。
最初の方のページを見返してみると、本当に字が汚くてね。
当時はまだこの腕を作ってもらう前だったから、
翼の指で何とかペンを握って書いていたんだ。
ポーチから取り出そうとして手が届かなくて、
なんとか口で咥えて引っ張り出そうとして付いた小さな歯型も残っていたりする。
探検家として活動を始めた当時ではすでに探索済みの、
安全な場所を回っていた。
その頃はただ過去の文明の技術の高さや構造物の規模の大きさを見て、
感じて、楽しんでいただけだったね。
今では、どれだけ危険な殺戮機械が眠っているかもわからない
未探索の遺構に潜り込んで、遺物を探している。
僕が回収したものが、誰かの役に立ったり旧文明を知る手掛かりになったり
──それが嬉しくて続けているけど、冷静に考えてみれば
いつ死んでもおかしくない仕事なんだ。
……よし、呼吸を落ち着けて、先に進めないかを調べてみようか。
目印になるようにまずこの場所に微細ルーンを
使った永久照明を置いておいて、通路の奥の方を見ると
光が灯っていない丈夫なスライド式の扉がある。
壁面には僕が入ってきた空洞の方を向いた大きな矢印状の
塗装の上に "STORAGE 07"の文字が。
これは空洞に面しているほかの通路でも見かけたから、
本来はここに倉庫があったんだろうね。
実際、ここまで来る途中でいくつも潰れてしまったコンテナを見ている。
だったら、逆にこの通路を辿るとどこへ向かうんだろう?
その案内表示がある壁の向かい側を見てみたけど、
こっちには何も書かれていない。
もしかしたら、崩れてしまった部分にあったのかもしれないね。
さて、奥にある閉ざされた扉……大きさからすれば、
鉄の光で撃てば壊せそうだ。
地上からは遠いけど、こんな場所で爆発を起こして
大丈夫なのかと不安はあるよ、もちろんね。
でも、結局こういう地下施設というのはありとあらゆる
扉という扉が閉まっていることの方が多い。
開けたままになっているものを少なくとも僕は見たことが無いんだ。
それを考えれば、壊してでも進む以外に道はないと思う。
もしこの施設の動力を生き返らせることができて、
そして同時に僕が制御権を得られれば話は別だけど、
そううまくはいかないのが常だし、期待はしない方がいいね。
背後の様子を警戒しながら爆発に巻き込まれない程度の距離を取り、
扉を撃つ準備をする。
ホルスターから鉄の光を抜き、しっかりと前方へ構え、照準を合わせる。
……いや待って、確かCWにダイヤルを合わせれば物体を切ることができたね。
こっちの方が穏便に済ませそうだし、やってみよう。
動作方式をCWに、光の色をUVに合わせ、
ヘルメットの鏡面風防を下ろしたら扉の右上にレンズを向けて引き金を引く。
紫色の鮮やかな光が一直線に扉を構成する金属の表面へと集中して、
その熱で相当な厚みのある構造を溶かし、少し時間はかかれど穴を空けていく。
溶けた金属や反射した光の熱が伝わってきて少し熱い……。
ゆっくりと照準を動かしてちょうど四角形になるように切断すると、
切り抜かれた部分が床へと落ち、そして大きな音を立てて倒れた。
扉が倒れた衝撃が妙に小さいことは今は重要じゃない。
大事なのはこの向こうに何があるか。
さっき設置した永久照明の光でかすかに照らされる通路の奥には……
幸いなことに危険な物は無かった。
以前に何度か、扉を破った直後に光線を受けて
装備が焦げたことがあったんだ。
正確には、防壁のおかげで焦げるだけで済んだんだけど……
反撃が遅かったら危なかったと思う。
先へ進もうか。小さな永久照明を床に置きながら奥へ進むと、
そこにあったのは十字路。
壁のに書かれた案内を見る限りだと左右の通路は
僕が入ってきた7番倉庫の外周を迂回する経路で、
正面はどうも居住区へ通じているみたいだ。
"HABITATION A-15" とある。
……"A-15" という表記。通しで番号が振られていると仮定すると
かなりの規模の地下施設だよね。
これは一日では済まない可能性が出て来た。
まあ、カリアたちの宿舎にあった地図を見れば予想はついていたけども。
ふむ、それで……依頼されたものは倉庫の目録や、周囲の地図とか、
当時の地理やまだ見つかっていない、知られていないような
遺物についてわかるかもしれない類の情報が入った記憶媒体だったね。
入ってきた場所が7番倉庫なら、最低でも他に6か所は倉庫があるはず。
そして、倉庫への物資の出し入れを管理するような部屋もないとおかしい。
居住区へ入るのは後回しかな。左右どっちでもいいとは思うけど、
まあここは右側を選んで、他の倉庫へ通じる道が無いかを調べようか。
こう何枚も扉があると鉄の光の動力が持つのか不安になるよ。
照準器のすぐ下に表示された73%という数字。
これが動力の残量のはずだけど、どの設定で発射してどれだけ使えるのか、
はっきりしたことはわからない。
それに、実際のところグリップに刺さっているこの
取り外せる動力源らしき遺物と同じ型の遺物を僕はまだ見つけたことが無い。
もし動力が切れれば……防衛用の機械に対抗できる武器は
過剰火力で使いにくい消耗品の装備くらいしかなくなってしまうんだ。
倉庫というくらいだし、使える状態の遺物がいろいろ見つかると嬉しいな。
入ってきた地下空洞部分は崩れていると言っても、
そこから続く通路の先は見た限りではかなり状態がいいわけだ。
きっといろいろなものが見つかる。そう信じて、先へ進もう。
[装備品: 永久照明]
微細ルーンの受動マナ吸収という特性を活かした事実上無期限に作動を続けることが可能な照明。
発する光の強さは本体の大きさやルーンの微細化度によって異なるが、閉鎖空間などで実用的なレベルの明るさを得るうえで十分な能力が確保されている。
コメント:
ルーンの微細化度とはまあ、現実でのCPUのプロセスサイズのようなものです。
小さくすればするほど性能は上がりますが、加工も難しくなります。
(CPUとは異なり熱軸魔法のルーンを刻まなければ発熱はしない)
前にも書いたかもしれませんが、ドラゴン以外の飛行種族は紫外線を見ることができるのでセルンの目には表面に当たって反射、散乱した紫外線レーザーが見えています。
金を蒸着加工した鏡面バイザーが無害なレベルまで光を弱めるので安全。逆にバイザーを下ろすのを忘れると大変なことになります。
そのほか:
信号拳銃という表現がありますが、銃や砲に関しては一般的ではないですが存在しています。連合領ではコイルガンが(この世界では多段式磁気加速装置が正式名)、王国領(中枢地域に限る)では魔法弾を発射する装置の他、光線武器などが多いのであまり銃や砲という呼び方が使われないだけです。
セルンは探検家なので当然探索に役立つ魔法は一通り使えるのですが、そもそも魔法の発動自体が即応性に欠けるものなので基本は道具類を優先して使います。あと、マナが切れると飛行中に風を操作できなくなるので。
なぜセルンがここまで警戒し、慎重に動くのかはおそらく次で。




