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#0000 プロローグ: 北の荒野にて / Soaring Over the Badlands

注: パート数は16進数で表記していきます。

フォントの都合でバックスラッシュが円記号になる……

改行位置は今後何とか調整していこうと思います。

====================

THIRD REALITY AAR LOG VIEWER V3.07


> LOADING AFTER ACTION REVIEW FROM "ROOT:\WORLDS\CIV_SANDBOX_TERRAN\SAVED\CYCLE_04\INDIVIDUALS\GIFTED\CERNN.AAR"


> IDENTIFICATIONS:


> INDEX : 7

> NAME : CERNN

> RACE : WYVERN

> SIDE : GIFTED

> ROLE : EXPLORER


> TIME REFERENCE : "ROOT:\WORLDS\CIV_SANDBOX_TERRAN\SAVED\CYCLE_04\INDIVIDUALS\EMISSARY\OWYN_MALLEUS.AAR"

> TIME OFFSET : -12 00:30:00.000


>> BEGIN LOG PLAYBACK

====================


惑星というものは、

果てしなく広がる煌めく闇の中では単なる小さな砂粒に過ぎない。

だが、そんな砂粒の上でも常に誰かが生まれ、

生き、死に、そして廻ってゆく。

円環は断たれることなく繰り返される。

皆そう思っていた。人々が過去を知るまでは。

これは不可避の終末と対峙する、とある世界の話だ。


========


この星に存在する二つの大陸の片割れ、グラジス大陸の北部。

赤道にほど近く、眼下には砂と岩の荒野だけが広がるこの空に、雲を貫き進む黒い影があった。


その姿は一対の翼と長い尾を持ち、この地で国境を接する二つの国、

アジマ王国とバーゼル都市国家連合のどちらでもよく知られた飛行種族、

ワイバーンであるように見える。


しかし、それは一度も羽ばたくことなく速度を保ち続け、

まるで飛行機械のように淡々と気流を裂いてゆく。


この影の正体、名はセルンという。

世界各地を巡り、地を這う種族ではたどり着くことも難しい

旧時代の遺構から様々な品を持ち帰り、

王国の考古学研究へ貢献し続けている探検家だ。


遺物由来の素材で作られ、もはや体の一部と言ってよいほどに

使い込まれた飛行装具に軍用規格の空中推進装置、防壁発生装置などと、

過酷な旅にも耐えられる無数の強力な道具を身に着けた彼は、

今日もまた価値ある遺物を探してここへやってきたのだ。


乾いた空を巡行するセルンだったが、この高度からでは

遺跡の入り口を見つけるのが難しいと考えたらしく、

彼はフライトスーツの腰回りに取り付けられた4つの筒状の装置の排気口を傾ける。

すると、彼の身体は空力的な中心を軸に下を向き、自由落下を

上回る勢いで速度を増して一気に高度を落とし始めた。

この装置は彼の装備の一つ、

筒状の構造の内側に施された力軸(りきじく)熱軸(ねつじく)の刻印魔法

によって前方からの吸気を加速、膨張させ後部から吐き出す

反作用利用の推進装置なのだ。

元の約半分の高度まで降下したセルンは再び排気口、

つまりは推力偏向パドルを動かし身体を水平に戻す。


彼がこの地に埋まる遺構の話を耳にしたのは2日前のことだ。

都市国家連合内で唯一科学研究を主要な産業とする

研究アーコロジーであるロカウルでの滞在中、フィールドワークから

戻った考古学チームの一つから聞き出したのだという。


いわく、地面に空いた小さな穴が唯一の入り口であり、

穴を降りてすぐに広大な地下空洞が広がる構造のため軽装備での

突入がほぼ必須となり建設機械等を利用した工事も

地盤の不安定さから危険を伴う難所とのこと。


セルンからしても地下という狭い空間は空中機動が制限され、

衝突の可能性も付きまとう危険な地形だ。


それを知ったうえでもなお、

この翼のある探検家は過去の痕跡を探るため飛び続ける。


========


──それから数時間。すでに日が沈み始める頃合いであるが、

セルンはまだ目当てのものを見つけられずにいた。


「この辺りだと思うけど……なかなか見つからないものだね。岩や草むらはいくらでも見つかるのに穴なんてどこにもない。……もう一度場所を聞き直したほうがいいかなこれは……さてどうだか」


彼の種族、ワイバーンは優れた視力を持つが、それでも広大な

荒れ地の中からたった一つの小さな穴を見つけるのは容易ではなく、

町で得た情報というのもあくまで大雑把な位置だ。

まったくの進展のないまま飛び続けるセルンにも

少し疲れが出始めている。もっとも、頭部を完全に覆う

密閉型のヘルメットのせいでその目つきや表情は伺えないのだが。


その後もセルンはしばらく捜索を続けるも、ついには結果が得られないまま

日没を迎えてしまった。


「時間切れだね。この暗さじゃあさすがに探し物はできないや、一度街に帰ろうか」


これ以上の捜索は現実的でないと判断し、一旦探索を切り上げることにしたようだ。

セルンは腰に取り付けられた推進装置、

魔術機械の一種の"魔工噴進機関"を一度停止させ、

動力源である液化マナの節約のため自らの翼による推進に切り替える。


「マナもだいぶ使ってしまった。後で充填しておかないといけないけど……

この辺りじゃ高くつきそうだね」


魔術工学と刻印魔法を広く運用している王国とは異なり、

都市国家連合では機械の動力源の多くは強力だが柔軟な運用が難しい

固形マナによるパワーコアを使用している。


これらは液化マナで動作する王国製の装備とは互換性がなく、

その液化マナのほうもこちらでは流通量が少なく高価である。


最悪赤字を覚悟しつつ、セルンは町への帰路を辿るのだった。


====


「──ん? あれは……流光(るこう)じゃないか。なんでこんなところに?」


最寄りの町、ガエアルまであと十数キロメートルといったところ。

飛行種族の特権である直線移動でセルンは目の前の山を飛び越える。

その瞬間、今まさに超えた山の稜線の向こうから唐突に彼の視界へ映りこむものがあった。


夜の暗闇にうっすらと波打つような光の文様を纏った巨大な飛行機械。

胴体を持たず翼だけで空を飛んでいるようにも見える

アジマ王国空軍の全翼型空中母艦 "流光" だ。


小さな町の空を完全に覆うほどの大きさがあるこの空中母艦は

本来王国の中枢地域を守るために配備されているのだが、

これがなぜここへ派遣されることとなったのか。


その理由について、セルンには見当もつかなかった。


あまりに予想外な出来事に一瞬羽ばたくことすら忘れ

速度を落としてしまうセルンだったが、そこで彼の視界の

中央に映る流光ははっきりと視認できるほど明るく、

かつ規則的なパターンの光を放ち始める。


「うん? ──発光信号? えぇと…………」


セルンはすぐにその光の意図を理解したが、発光信号による

交信の経験がそれほど多くない彼には読み取るのに少し時間がかかる。


「ふーん、"重要指令 アリ 底部飛行甲板カラ 第二艦橋ヘ 報告セヨ"ね。あぁ……ハフィル、また君か。本当に忙しそうだね」


信号の内容ですべてを察したセルンは、どうにも嬉しそうな様子

で身体を右に捻り一回転する。

天地が裏返りまた元に戻ろうとする合間、

腹が上を向く瞬間に彼の翼の付け根付近から

脇腹に沿って伸びる流線型のふくらみが飛行機械の爆弾倉のようにして開き、

中から現れた金属製の腕が左腰のホルスターへと伸びて

信号拳銃を引き抜き天頂へ緑色のフレアを放った。


ワイバーンの翼には自由に動かせる指が3本あるとはいえ、

一般的には飛行しながら道具を扱うのは難しいというのが常識だ。

足で扱える装備もあるが、構造上どうしても大きなグリップが必要で、

そういった装備を常に持ち歩くのもあまり現実的ではない。


しかし、セルンの場合は事情が違う。この機械の腕は元々

ゴーレムや義肢に用いられている魔術機械の一種をワイバーンにはない

独立した腕として調整した特別製の装備である。


彼のフレアによる返答が行われて数秒すると、

流光の胴体底面後部の外装の一部が開かれ、そこからいくつもの連なった

照明が伸びてきた。そして風になびいて揺れる照明はすぐに気流に沿って整列する。

進入経路の指示と機体後ろの気流を視覚化するための曳航式誘導灯だ。


それを見たセルンは先ほど一度停止した魔工噴進機関を再稼働させ、

機械の腕を伸ばし装置の側面にあるバルブをひねる。

すると、今までは力軸の魔法で加速された空気をただ吐き出し続けていた

排気ノズルにオレンジ色の火がともった。

同時に彼の体は急激に加速し始め、セルンはそのまま

流光の背後へ大きく回り込む軌道で着艦の最終アプローチに移る。


山を越えた直後に目に留まった流光の姿は確かに威圧的とはいえ、

この広大な空と比べれば小さなものだった。


しかし、今まさに着艦しようと接近している

セルンから見れば本当にこんなものが空を飛べるのかと信じがたいほどの大きさだ。


遠目からでは波打つようなパターンを見せていた機体表面の

微細な刻印もこの距離まで近づくとただゆっくりと

光を発しては消えてを繰り返しているようにしか見えない。

あるいは、呼吸をしているようにとも。


数キロメートルの距離を一気に翔け抜け、

流光のすぐ後ろについたセルンの目にはすでに着艦誘導員の顔が見えていた。


そんな彼はケーブルにつながれ空中に浮かぶ曳航式誘導灯が作り出す

光の道に沿って飛び、相対速度を少しずつ増やして流光の底部飛行甲板へと近づく。


開口部の天井から張り出したキューポラでこちらを窺う誘導員も、

黒いパネルの上に格子状に並んだ信号機を操作して

左右のズレや速度の過不足を伝えてくれている。


「相変わらず速いね流光は。こうでもしないと身体を浮かべるだけの風を受けられないんだろうけど」


セルンは不満げに愚痴を漏らした。

先ほどは明るい炎を灯していた彼の魔工噴進機関も

いまはもう透き通った空気を吐き出す通常の状態へ戻っていることが分かる。

推力増強用の液体燃料を使い果たしたためだ。


翼で空を飛ぶものはそれが生き物であれ機械であれ、

前方からの風を受けて揚力を生み出す必要がある。

だがここまで巨大で重量のある飛行機械ともなれば

水平飛行を維持するだけでもかなりの速度を要するのだ。


空を飛ぶ種族にとって、流光への着艦は

その速度の関係で魔工噴進機関等の補助が無ければ

大きな体力やマナを消耗することになる大仕事である。


多少の文句はあれど、安全な速度を保ちつつセルンはゆっくりと

確実に格納庫を兼ねる飛行甲板への距離を詰めてゆき、

その床から伸ばされた"止まり木"をしっかりと掴み着地する。

同時に魔工噴進機関のスロットルもカットし、着艦成功だ。


格納庫内へ目を向けるとそこにはいくつもの飛行機械が

限られたスペースを最大限に活かせるよう考えられて並べられており、

彼の同胞である他のワイバーンの飛行兵に、

人間やゴブリンのような人型種族のクルーの姿も見える。


セルンは着地しやすいよう高い位置まで伸ばされていた止まり木が格納され、

甲板に足がつくようになったのを確認すると、

軽くストレッチをしてから翼を畳み彼を待つ者が居る"第二艦橋"へと向かった。


色々と独特な要素が多く登場することになるため、今後はこのスペースにおまけで登場するテクノロジーや組織、派閥などの情報を入れていきます。また、途中からセルンの主観視点へ切り替わります。


[空中母艦 "流光" / Aerial Command Ship "Flowing Light"]


流光はアジマ王国空軍が保有する超大型の飛行機械であり、翼幅は1600mに達する。

機体は王国の巨大建築分野において広く使用されている

呪列鋼(ルーニック・スティール)で構成されており、

その翼にかかる空力的負荷や高威力の火器による攻撃にも余裕を持って耐えられる強度を持つ。


空軍の飛行機械の中では唯一"船"として扱われており、

責任者が "艦長" と呼ばれるのも就役以来からの伝統である。

また、流光を中心とする戦闘群の指揮官は "提督" とも呼ばれる。


現在、流光は王国空軍特別戦略打撃航空団に配備されており、

指揮官は空軍中将のハフィル・レム・レクタザとなっている。


生産数は1機のみで、離着陸には専用の大型施設が必要。

機体の外装には大きく "RAFS FLOWING LIGHT ACS 01"

という艦船接頭辞、機体の固有名と空中司令船一号機(Aerial Command Ship 01) の塗装がある。


// 4つの二重反転プロペラで推進し、低速飛行時に機体の重量を支える大型リフトファンが多数搭載。

// 武装は紫外線レーザー砲やコイルガンを搭載していますが、

// どれも人力操作であり、魔法技術で動いています。

// 機体底部と上部にある格納庫を兼ねる飛行甲板からカタパルトで

// 斜め前に艦載機や飛行種族の兵士を射出できます。

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