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インドネシアで伸びきって  作者: ことぶき神楽
9月9日

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30 眼に刺さる

 アフィフさんと駐車場で別れて、寺院に向かいます。

 遠くに見える尖塔が、近づくにつれ大きくなり、細部に施された彫刻がはっきり見えてくます。その高さに首の角度も大きくなります。

 プランバナン遺跡が横の広がりとすれば、プランバナン寺院は縦の広がり。

 チケットを見せて、フェンス内に入りました。

 崩れた尖塔が、碁盤目に積み重なり、修復を待っています。

 石段を登ります。

 競って空を突き刺そうとする寺院に囲まれました。


 正面のナンディー寺院は、修復中のため足場が組まれています。写真を撮るには、ちょっと残念ですね。

 その後ろにそびえるシヴァ神殿に入ります。回廊を巡りながら、暗い神堂で破壊神シヴァやガネーシャ像を見ます。

 あいにく曇っていて、夕陽は見えませんでした。

 次の神堂へと歩いていると、一陣の風が階段下から吹き込みました。


「痛っ!」

 娘が、叫びます。

「痛たたっ!」

 眼を押さえている。風が砂埃を運び、眼に入ってしまったようです。

 風を避けられる場所に移り、目薬を差します。

「あぁ、だめ。コンタクトの中に入ったみたい」


「コンタクト取るか?」

「取ると何も見えないから、目薬で流してみる」

 予備のコンタクトを持ってきていなかったのは大失敗でした。

 この後、ラーマ・ヤナ舞踏を鑑賞する予定です。何時間も眼が痛いままにしておくわけにはいきません。かといって、コンタクトを取ってしまっては観られません。

 二度、三度と目薬を差します。

「取れたかな……」

 娘は、ハンカチを眼に当て、涙を拭っています。


 まだ風は強い。

 眼を細め、慎重に回廊から降りました。

 降りた先にブラフマ神殿が見えましたが、入口は閉ざされています。17時以降は、神殿に入ることはできないようです。


 入れないものは仕方ない。周囲をぶらぶらしながら、フェンスの外に出ます。敷地の北側にあるミュージアムに行ってみますが、やはり閉まっています。

 仕方なく入口に戻ろうと歩いていると、鹿がいました。フェンスに囲われて、何十頭もの鹿が飼われています。なぜ?

 出口に連なるお土産屋さんも店仕舞いに忙しいようで、わたしたちに構ってくれません。

 やはり、早めに来るべきだったと思いながら駐車場に戻ると、アフィフさんが手を振って笑顔で待っていました。

 まっ、いいか。


挿絵(By みてみん)

 ここに書かれているのは、令和7年7月から9月にかけての情報です。渡航される方は、入国審査等の手続や必要な書類、イベントのスケジュールが変更されている可能性がありますので、必ず最新の情報を確認してください。ネット上の古い情報に注意してね。

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