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ブックマーク・ヒーロー ~旅の相棒は三匹のこぶたの悪いオオカミ~  作者: 狼越 佑
第1章~【三匹のこぶた】と【赤ずきん】編~
6/70

Story6ーどうしてそんなに怒っているの?ー

Story6ーどうしてそんなに怒っているの?ー



「大変だーーーーーー!!!!!!」





大きな声を張り上げながら

ピッグ属の男が草原の向こうから走ってくる。



親方ピッグ「ん??何だ?」



ジーク「ン???」






親方ピッグ「おいおい、そんなに慌てて!

いってぇ何があったんてんだ?!ロース!」


ロース「親方!!説明してる時間なんてないんだ!!早くみんなでここから離れないと!!!」


走ってきた『ロース』という名前のピッグ属の男の顔面は血の気が引いており「時間がないんだ!早く逃げないと!」と何度も繰り返すだけで。冷静な状態になれていなかった。





ドッゴォーーーン!!!!!!!!!!

激しい爆音と同時に衝撃と爆風が

土埃を上げて辺りを包む。


赤ずきん「キャハ!ぶたちゃ~~~ん!逃げないでよ~!赤ずきんとお話しよ~よ~!」


ロース「ひぃぃぃぃい…」



赤ずきん「あら?ぶたさんがたくさん~!あっ!オオカミさんもチラホラいるわね♪もしかして赤ずきんをお友達さんのところに案内してくれたのね~!やっさしぃ~♪ありがとう~♪」


ロース「ち、ちがっ!」

ロースが言葉を発した瞬間

赤ずきんがロースの足元に間合いを詰める。


赤ずきん「ごくろうさまっ♪」


赤ずきんの右手には小さな斧が握られていた。


そしてその斧がロースに触れた瞬間…

ロースは小さなパズルのような

《白い文字》になってしまい

その姿を消してしまった。


その《白い文字》を拾い上げた赤ずきんは


赤ずきん「なーんだ違うかぁ…。

まっ♪いっか♪持って帰らないと♪」


そう言って《白い文字》を

エプロンのポケットにしまった。




何が起きたんだ・・・

目の前で仲間が消えた。

どうして、なんで。

ジークは目の前で起こる出来事を理解することが出来なかった。



親方「おい!!!ジーク!!ボケッとすんな!!!」



親方ピッグに身体を突き飛ばされるジーク。

ジークを突き飛ばした後、

飛んできた赤ずきんの小さな斧を身体で受け止め…その姿を《白い文字》に変えてしまった。



ジーク「親方ぁぁぁぁぁぁああ!!!!!!!!」




赤ずきん「やーん!泣けちゃう!!!

身を呈してオオカミさんを守るなんて~!

こういうのを♪お涙ちょうだいっていうのかしら!赤ずきんこういうのすき~♪」



ジーク「ふっざけんなぁぁぁぁぁあ!!!!!」




赤ずきんに殴りかかろうとした時には

既に手遅れだった。


身体が固定されたように動かない。

何故だ…

動かない手足をみた時その理由が分かった。


岩で出来た人形ゴーレムらしき者たちに

手足の自由を奪われていたのだ。


赤ずきん

「ねぇねぇ♪オオカミさん♪

   オオカミさんは~

      どうしてそんなに怒っているの?

…あ、そっか!

赤ずきんがお仲間さんたち消しちゃったからだよねぇ~!ごめんねぇ~!キャハ♪」



スゥゥゥゥゥゥゥゥ…

ジーク「ハフッ…」


赤ずきん「?」


ジーク「パフッ!!!!!!」



赤ずきん「きゃあ!!!!!」



ウルフの口から放たれた風魔法で

赤ずきんの身体が宙に浮く。

辺りを暴風と土埃が包み

赤ずきんの視界を塞ぐ。


ジーク「今のうちだ!!!お前ら!!!

早く逃げろ!!!!!!」


自分の力では赤ずきんに敵わないと判断し

仲間にも退却を促す。


ジークの声とともに

その場に居たものたちは

森へ向かって走り出した。

ピッグ属もウルフ属も

普段からこの風に触れ慣れているため。

この暴風で視界を遮られても

動くことぐらいわけないのだ。



ジークも全速力で駆け出し

なんとか赤ずきんから逃げることができた。


赤ずきん

「もぅ~!なに~!

  フードが汚れちゃったじゃない~!

   ……で~も♪あのオオカミさん………

           ……いいなぁ~♪ 」

赤ずきんは不適な笑みを浮かべながら

ジークが走り去った方向を見つめる。










ジークは足を止めることなく走り続けた。

森を抜け【レッキング】の中心街

【煉瓦の街/ブリックタウン】に辿り着いた。



ブリックタウンに入り

三つ目の角を曲がった先にある

煉瓦の家に一目散に飛び込んだ。



ジーク「トト!リル!無事か!?!?!!」


ピノ「おいおい一体なんだってんだい!

いきなり大きな声で飛び込んできて…。」


紺色のオーバーオールに

黄色のシャツを着たこぶたが

少し驚きつつもジークに冷静に声をかけた。

しかしジークにその声は届いておらず…

ジークは部屋を奥まで見渡していた。

だが部屋の中にリルとトトの姿は無かった。

ジークの顔から血の気が引く。


ジーク「おい!ピノ!!リルとトトは!?」


ピノ「いったいどうしたんだい!ジーク!少し落ち着きなよ!」


ジーク「これが落ち着いていられるわけないだろ!!!」


ジークがここまで取り乱す姿を見たことがなかったピノは、何かただ事ではないことが起きたことを理解し語気を強めてジークに向かって言葉を発した。


ピノ「大丈夫!!!!!」


ジーク〈ビクッ〉


ピノ「大丈夫だよジーク…リルもトトも…

奥の部屋で寝ているだけだよ。

ちゃんとここにいるから…安心して。」



その言葉を聞いたとたん全身から力が抜け

ジークは、その場にへたれこんでしまう。


ジーク「…よかった……よかった…。グスッ…」

安堵からかジークの目からは涙が溢れだす。


ピノ「…。ジーク…。

     いったい何があったんだい?」



ジークは溢れる涙を右手で拭い上げ

何が起きたかをピノに説明する。











ピノ「なるほど…父さんが…。」


ジーク「すまない!!ピノ…俺のせいで!!!」


ピノ「いや、君が謝ることはないよジーク。君は何も悪くないんだから…父さんは自分の意思で君を守ったんだ。ぼくはその行動をとても誇りに思うよ。」



ジーク「…………ッ。(唇を噛み締める)」



ピノ「起きてしまったことは変えられない。ドライに聞こえてしまうかもしれないが、これからどうするべきかを…すぐに考えなければいけないね…まずは兄さんたちをここに連れてこないと。」



長男ルトと次男バリは煉瓦の街の騒音が嫌で

街から少し離れた所にそれぞれ

藁の家と、木の家を作って暮らしている。


ピノ「とりあえずぼくは兄さんたちを迎えに行ってくるよ!」


ジーク「いや、ピノ…

    …おれがルトとバリを連れてくる。」


ピノ「それじゃあ君の身が危ないじゃないか!それにぼくならだいじょう」

ジーク「俺は!!!」

ピノが話終える前にジークが割り込む。


ジーク「俺はウルフ属だ…お前よりも早く走れる…大丈夫だ…必ずルトとバリを連れてくる。だからピノ!頼む!!!俺の代わりにここでリルとトトを守ってやってくれ…頼む…!」


拳を握りしめ震えながら頭を下げるジークにピノは少し呆れた笑みを浮かべる。



ピノ「君の頑固さは、誰よりも知ってる。

…ふぅ…分かったよジーク。……兄たちを頼む。

そして、安心してくれ!ぼくの命にかえても必ずきみの弟と妹を守るよ。約束する。」


ジーク「!!!…ありがとうピノ!!!あいつらを頼む!!!」


ピノ「まかせてよ!」



その言葉を聞き届けたジークは

勢いよくピノの家を飛び出し

全速力で長男ブタ『ルト』の家に向かった。










Story6 ーどうしてそんなに怒っているの?ー

Story6ーどうしてそんなに怒っているの?ー

お読みいただき誠にありがとうございました!


サブタイトル並びに赤ずきんが発したこのセリフは、原作の赤ずきんの「おばあさんのおめめは、どうしてそんなに大きいの?」などのセリフを少しオマージュした形で綴らせていただきました。


次回も過去回想が続きますが、

引き続き読んでいただけたら嬉しく思います!

宜しくお願いします!

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