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ブックマーク・ヒーロー ~旅の相棒は三匹のこぶたの悪いオオカミ~  作者: 狼越 佑
第1章~【三匹のこぶた】と【赤ずきん】編~
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Story5ー三匹の子ぶたー

Story5 ー三匹の子ぶたー


森の奥、差し込む光の少ないこの場所は

一面に木で出来た墓標のようなものが並んでいた。真新しいものもあれば、苔が生えたものもある。




ジーク「ここは…

  【木の墓場/ウッド・グレイヴヤード】

      …俺の仲間たちが眠る場所だ。」




いままでにみたことのない寂しげな表情で

ジークは今までの事を話し始めた。




ジーク「ここ【レッキング】は…

元々はウルフ属とピッグ属が手を取り支え合う…

のどかで平和な国だったんだ。」









ーそれは、数ヶ月前のことー




ピッグ属の男「おい!ジーク!次はその藁の家の解体頼むー!」


ジーク「わかりました!親方!」


スゥゥゥゥゥゥゥゥ…

ジーク「ハフッ…!!パフッ!!!!!」


ジークの一息で目の前に建っていた藁の家が

たちまち空に舞い上がり分解する。

そして一本一本の藁となって

パラパラと地面に降り注いだ。



親方ピッグ「はぁーーっ!いつみてもおめぇの一息はすげぇなあ!!!お陰で解体作業も捗るってもんだ!」


ジーク「ありがとうございます!親方!」


誇らしげの中に少しの照れを滲ませながらジークは笑みを浮かべる。


この世界でピッグ属は建築技術に長けた種族。

日々試行錯誤を繰り返しながら

更に暮らしやすい家を作るため

新しい家を作る度に前作った家は壊す。

作っては壊し、作っては壊しを繰り返し

自分が納得する家が出来た時に

はじめてそこで落ち着くという。

職人気質な種族だ。


そしてそのピッグ属が作った家を壊す手伝いを仕事としているのがジークだった。

ジークはウルフ属の中でも

特に威力の高い風魔法を使うことが出来る。

大気に漂う魔力を体内に吸い込み

強力な風魔法として口から放出する。




親方ピッグ「おめぇのその頑張り屋な働きぶり、うちのバカ息子たちにも見習わせてぇってもんだよ!」


ジーク「親方さんとこの三兄弟には、いつも弟と妹が世話になってるんでほんと助かってるんすよ!」


情に厚い親方ピッグは目を潤ませた。


ジーク「ルトは弟と妹を釣りや探検に連れ出してくれたり、バリはふたりが留守番中よく顔を出してくれてそのまま面倒をみてくれてる。

ピノに至ってはふたりに文字の読み書きを教えてくれて…あいつらには本当に感謝してもしきれないですよ。」


親方ピッグ「だぁぁあジークおめぇは本当に良いオオカミだなぁ!!!」


親分ピッグは大量に涙を流しながら

ジークの肩を引き寄せ思いっきり

頭をぐりぐりする。




親方ピッグには三匹の息子がいる。


長男『ルト』は、

かなりの楽観的なこぶた。

雨も多少しのげて風も大体を防げてるから…まぁ大丈夫でしょ~♪と藁の家を作ってからというもの現状に満足してしまい新しい家を作ることなく日々…笛を吹きながら遊び回っている。


次男『バリ』は、

面倒くさがりで臆病なこぶた。

臆病であるがゆえに長男ルトとは違い

藁以外で家を作ろうと考えるものの

持ち前の面倒くさがりが災いし

トンカチと釘だけで作れる木で家を作った。

木の家を作った後…基本は家に引きこもり

図鑑や本を読んだり趣味のバイオリンを弾いたりしている。


三匹『ピノ』は、

かなり真面目で頑固な職人気質のこぶた。

家を作るときも必ず

細やかな設計図から作りはじめ

素材も吟味して試行錯誤を繰り返している。

丈夫な煉瓦の家を作ったが…

更に丈夫なものにできないかと

日々、建築に明け暮れているのだ。

因みに彼が演奏するアコーディオンやピアノの音色は、とても心地よいという。



ジーク「ハハッ痛いっすよ親方!ルトとバリとピノの面倒見の良さと優しさは親方譲りっすよね!」


親方ピッグの涙は更に勢いを強める。





 ー 夕刻 ー


一仕事終えたジークは家に帰ってきた。

ジークの家は大きな木の幹の下にある洞穴に作った家である。


木の扉を開けたとたん

「「おかえりーーーーーー!!!!!」」

ボフンッ。と身体に二つの小さな衝撃が

ジークを出迎えた。


ジーク「ただいまー!トト!リル!良いこにお留守番してたかー?」


リル「聞いてよお兄ちゃん!

トトったらひどいのよ!私が大事にとっておいたトマト勝手に食べちゃったの!」


トト「すぐに食べないでお皿の上に

   そのまま置いとく方が悪いんだろー!」


リル「あとで食べようと思ってたのー!!!」


『リル』はジークの妹で

しっかりものの幼いオオカミ。

淡いピンクと白が混ざったワンピースを着て、小さなブタのぬいぐるみを常に右手に抱き抱えている。


『トト』はジークの弟であり

リルの双子の兄オオカミ。

オレンジ色の甚兵のようなものを着ている。

ジークやリルと違ってかなりのお調子者だ。




ジーク「コラ!それはトトが悪いだろ!リルに謝るんだ!」


トト「やーーなこったー!!」


ジーク「なんだと!そうかぁ…じゃあそんな聞き分けの悪いこには…こうしてやるー!!

コチョコチョコチョコチョ~」


トト「キャハハハハハッ!!お兄ちゃん!!やめて!!くすぐったい!!ごめんなさい!ごめんなさい~!キャハハハハハッ」


リル「もう~!!トトだけズルい~!!

私も~!!!」


ジーク「ほれ~!!コチョコチョコチョコチョ~」


笑い声が家中に響きわたり

幸せな時間が流れていた。





ーある日の昼下がりー


この日も親方ピッグを含む

たくさんのピッグ属はいつも通り新しい家作りに励んでいた。


親方ピッグ「よーっし!お前らー!

      一旦休憩にするぞー!!!」


ピッグたち「「「「「うぇーい」」」」」


親方ピッグ「おい!ジーク!おめぇも、しっかり休めー!」


ジーク「うっす!親方!

あとこの一戸解体したら、いただきます!」


ウルフ属の男「ジークおめぇ本当に働き者だなぁ~。俺ぁもうヘトヘトだぜぇ~。」


親方ピッグ「おめぇは、ジークを見習ってもっと真面目に働け!」


ウルフ属の男「すいやせん!親方!」


ふたりのやり取りを見ていた

仲間達から笑い声が溢れる。











「大変だーーーーーー!!!!!!」








大きな声を張り上げながら

ピッグ属の男が草原の向こうから走ってくる。



親方ピッグ「ん??何だ?」



ジーク「ン???」





ーStory5 三匹の子ぶたー

Story5ー三匹の子ぶたー

お読みいただきありがとうございました!

原作リスペクトで様々な小ネタオマージュを仕込ませていただいております。


幸せな【レッキング】という国に、

一体何が起きたのか、次回もジークの回想が続きます。


「続きが読みたい」「気になる」と思っていただけたらすごく嬉しいです!

読んでいただき本当にありがとうございます!

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