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ブックマーク・ヒーロー ~旅の相棒は三匹のこぶたの悪いオオカミ~  作者: 狼越 佑
第1章~【三匹のこぶた】と【赤ずきん】編~
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Story3 ー赤ずきんー

Story3 ー赤ずきんー



赤ずきん「最近ずーっとジークちゃんのこと探してたんだけどー。どこ探しても見つからなかったんだけどなー!」




赤ずきん「ねぇ、どこにいってたの?」






佑「え?」


先ほどまで遠くにいたその声は

一瞬の間に隣から聞こえてきた。





あまりに一瞬の出来事に

何が起きたのか頭が理解する前に

俺の視界は横にグラッと揺れた。


思考が追いついたとき

俺はジークの左脇に抱えられていた。


視界の端に見える地面は

今まで見えていた薄茶色や黄緑の色から

変わって焦げ茶色になっている。

何かに地面が抉られて

土が盛り上がっているのだ。



赤ずきん「あは!なになにー?

       その子だぁれぇー?」





俺を抱き抱えながらジークが

「おい…目と口しっかり閉じろ。」と

小さな声で俺に伝えた。


俺は言われた通りに

これでもかといわんばかりに

思いっきり目と口を閉じた。



スゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ

隣で空気を大きく吸い込む音がすると共に

ジークのお腹が膨らんでいっているのを

右頬で感じる。



ジーク「ハフッ…!」



赤ずきん「!?!?!?!」





ジーク「パフッ!!!!!!!!!」



その言葉とともに

台風並の凄まじい暴風が吹き荒れる。

髪の毛は荒ぶり

着ている服の間にも風が流れ込み

まるで空を飛んでいるかのような錯覚に陥る。

周りの藁や石も顔を擦れ

辺り一面がこの凄まじい暴風に吹き飛ばされているのが目を閉じていても伝わる。





ジーク「よしっ!!いまのうちに!!!」





赤ずきん「やぁっだぁー!!!!!

   ジークちゃんったらひっどいー!!!」


吹き荒れる藁と土埃の先から

赤ずきんの…楽しんでるようにも

聞こえるカン高い声が聞こえてきた。




風が治まると俺は閉じていた目蓋を開けた。

すると目の前に飛び込んできた光景は

岩と茶黒い土で出来た不格好な大きな壁。

しっかりした壁というよりも土が大きく盛り上がっただけの壁だ。

そしてその上に座る赤ずきんの姿。

赤ずきんは両足を楽しそうに

交互に動かしてこちらを見下ろしている。



赤ずきん「ねぇねぇ、ジークちゃん!

もう一回だけきいてあげちゃうよー!

…その子…だぁれ?」


鋭い殺気を放つ真っ赤なその瞳に気圧され

息をすることさえままならなくなる。




ジーク「こいつは…」


その殺気に耐えながらジークは

ゆっくりと口を開ける…




ジーク「そういえば…………お前誰だ?」



佑「いまぁぁぁぁぁぁあ!!!!!?!?」


あまりにも予想外な展開で

思わず全力で突っ込んでしまう。


ジーク「いや、名前まだ聞いてないから…」


佑「いや、しかもそっちぃぃぃぃぃい!!!?!」


…本日2回目の突っ込みである。



ジーク「ピーピーギャーギャーうるせぇな!!!」


え、なんか怒られたんですけど

え?今の俺が悪いの?え?ほんとに?

え、うそやん、こっちの世界も理不尽やん。


まぁここで騒いだところで先には進まないから

もうとりあえず流れに身を任せよう…と諦めた俺は凪のように


佑「佑です…。

…人偏に右と書いて佑といいます。」

と答えた。


ジーク「にんじんに?みぎ?何言ってるかは、わかんねぇがユウだな。」


佑「はい。佑です…。」


佑は自分の名前の漢字を

手のひらに指で文字を書いてジークに教える。

平然を装っているが、心の中では…

ニンジンじゃねぇよ人偏だよ!

お前の耳は何のためにそんなに大きいんだ

ちゃんと聞き取れとか思ったが、頭の中の冷静なもうひとりの俺が「でも、もしかしたらジークは漢字が弱くて知らない漢字だったのかもしれないよ!」と助言してくれたので。抜いた矛を納め「一瞬でも酷いこと言ってごめんよジーク。」と心で呟き。ブーメラン自己完結をしたのはここだけの話。


ジーク「おーいレッドフード!こいつ佑だってさー!」


赤ずきん「あら!!はじめましてーーー

             佑くーん!」


佑「…あ、どうもはじめましてーあはははははぁーあ…」


あ、この人俺がめっちゃ苦手なタイプだ。って思ったのもここだけの話。




…ってまてまてまてまてーーーーい

え、何この空気?さっきのシリアス展開どこいったの?もしかしてさっきの風で一話分飛ばしちゃった?

と頭が本日3回目の突っ込みをはじめた所に

顔の横を凄まじい速さの何かが通りすぎた。


直後、ドゴンッ!という鈍い爆音と共に

左後ろから土埃と風が頬をなぞる。



佑「…え?」



恐る恐る左後ろを確認する。


目に映ったのは一直線に抉られた地面。

よく見るとリンゴくらいの大きさの

赤茶色に染まった岩が地面を抉っていた。




赤ずきん「ジークちゃんさぁ…わたしが聞きたいことがそんなことじゃないことくらい…わかってるよね?」


戻ってきましたさっきの空気感。

ハイ。怖い。帰りたい。


ジーク「チッ…やっぱダメか。」


ん?え、まってまってまって

ダメなのは君だよジークくん?

え、本気でいけると思ってたの?

素で言ってる?

そんな出来る見た目して君もしかして

アレな感じなの?そうなの?

それはそれで好きだよ?

ギャップ萌っていいよね!

いや!でも!そんなことより!!!

せっかくシリアスな感じに戻ったのに

またギャグテイストにもってこうとしないで?

読者疲れちゃうよ!!俺も疲れちゃうよ!!




風がジークのローブをなびかせる。


そして赤ずきんは見逃さなかった。

ジークの揺れるローブの隙間から

一瞬見えた《一冊の本》を。



赤ずきん「…その本は…!!!ハッピーエンド…。」


ジーク「!!!!!!」


赤ずきんの表情が変わる。


赤ずきん「…なんであんたがその本を持ってるの?ねぇ!なんで!!!?!?」


先ほどまで余裕を感じさせていた

赤ずきんの声色と口調が変わった。

明らかに動揺している。


赤ずきん「その本は…私が持つべきものなのに………いつから持ってたの?ねぇ?……もしかしてずっと赤ずきんから隠してたの?……その本は……その本はねぇ……お前が持っていていいものじゃねぇんだよ!!!!!!!」


豹変した赤ずきんは

ジークの本をめがけて飛び込んでくる





その時、






ヒューーーーーーーーーーーン!!!!!!






緑色の風を纏った鋭い矢が二人の間を遮る。


赤ずきん「だぁれだぁぁぁあ!!!!?!!!」




Story3 ー赤ずきんー

Story3ー赤ずきんー

お読みいただきありがとうございました!

最後の矢!

次回、彼が登場します!!!!!


「続きが読みたい」「ちっと気になる」と

思っていただけましたらとても…とても嬉しいです!

宜しくお願いします!!!

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