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ブックマーク・ヒーロー ~旅の相棒は三匹のこぶたの悪いオオカミ~  作者: 狼越 佑
第1章~【三匹のこぶた】と【赤ずきん】編~
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Story12ー運命的な出会いー

Story12ー運命的な出会いー


ジーク「い、いったい今のは何だったんだ?

…はぁ~あ…」

拍子抜けしたジークは後ろに

倒れこんでしまう。


ゴッ!


ジーク「痛でっぃ!!!!!!」

倒れた先にあった何かに頭をぶつけ

その場で頭を押さえ悶えるジーク。



痛みが落ち着き頭に当たった

何かを確認しようと

視線を向けるとそこには…






〖一冊の本〗が落ちていた。









ジーク「…ん?何だこれ…本か?…HAP…PY…EN…D…?…ハッピーエンド!?!」



ジークが拾ったその本には

表紙に金色の文字で


〖 HAPPY END 〗


と書いてあった。





ジーク「ハッピーエンドって確かあの話に出てきた…いやいや落ち着け。

あれはただのおとぎ話だ。現実的じゃない。

それにそんな都合よく願ったとたんに現れるわけないだろ…なぁ……そんな……願った…とたんに……。」


ゴクリ。

唾を大きく呑み込むジーク。



ジーク「まぁ…とりあえず…開いてみるか…」



馬鹿馬鹿しいと信じられない気持ちと、

もしかしたら本当にあの本かもしれないという

正反対の気持ちが葛藤する中、

ジークは〖 HAPPY END 〗と書かれた

その本を開く。





すると本を開いた途端、

本は…まるで星のように明るく光を放ちながら

ジークの手から宙へ浮かび上がり

…あろうことかジークに話しかけてきたのだ。



ハッピーエンド

「久しいな 心強き者よ」


ジーク「ほ、ほ、ほ、本が光って浮いて…喋るだと…いったい何がどうなって…」


ハッピーエンド

「…あぁ なるほど そうであったな」


慌てふためくジークを見たその本は

直ぐに状況を理解し再び言葉を紡ぐ


ハッピーエンド

「心強き者よ 我は願い星『シリウス』

またの名を〖ハッピーエンド〗」


ジーク「ちょっと!…ちょっとまってくれ、

いや、まさか…そんなことがあるわけ…いや……


………………あぁ~~~考えてもどうしようもねぇ!!」


バチン!!

自分の両頬を叩き冷静さを取り戻すジーク


ジーク「スゥゥゥ…フゥゥゥゥ…。


…うっし! 悪い取り乱した。」


ハッピーエンド

「混乱するのも 仕方ない

以前も そうであったからな 」


ジーク「…以前も?」


ハッピーエンド

「すまない こちらの話だ 

気にしないでくれ 

落ち着いたようなら 話を続けてもよいか 

心強き者よ」


ジーク「あぁ…あとその、なんだ?心強き者って」


ハッピーエンド

「『心強き者』 それは

そなたの呼び名に決まっておろう

先刻 心からの強き願いを

我にかけたであろう

願いと共に そなたの強き心が

我に流れ込んできたのだ 

ここまで強き思いで 

願いをかけてきた者は 久しくてな 

つい 降りてきてしまった」



ジーク「ついって…それに俺は、ちょっと馬鹿馬鹿しいって思いながら半信半疑で願っていたぞ。」


ハッピーエンド

「照れなくてもよい」


ジーク「べ、べつに照れてねぇよ!!!!」


ハッピーエンド

「心強き者が どう思っていたとしても

そなたの心の奥底にある本心が

強く願いをかけていた それが真実だ」


ジーク「その…心強き者っていうの恥ずかしいからやめてくれ。」


ハッピーエンド

「それは失礼したな ジークよ」


ジーク「!?なんで俺の名前を…」


ハッピーエンド

「知っているに 決まっておろう

先ほども申したが

我は そなたの願いに応えて 

ここに降りてきたのだ


話が進まぬ 続けてもよいか 」


ジーク「悪りぃ…続けてくれ」


ハッピーエンド

「ジークよ 我は

そなたの願いを 叶えてやりたい」


ジーク「…俺の願いを…叶える…?…」



ハッピーエンド

「左様 先刻そなたが口にした願いではない

そなたの心の奥底にある 真の願いだ

だが 星の掟で ただ無条件に 

願いを叶えてやることは できないのだ」



ジーク「…何をすれば良いんだ?…」


ハッピーエンド

「話が早いな ジークよ


願いを叶えるためには 

強き願いと共に 《資格》が要る 」


ジーク「《資格》…」


ハッピーエンド

「願いを叶えるに 

値する者かどうかを 《見極める資格》だ


考えてもみてほしい

強き願いを持つものが ジークのような

善き者だけとは 限らぬ 

悪しき者も 少なからず 存在している

誰彼構わず 強き願いだけで 

願いを叶えていたら 今ごろ

この世界は 存在していないだろう 」





その言葉とともに

強い風がジークの周りを囲むように吹き始め竜巻になりジークの身体を宙に浮かせる、風でハッピーエンドのページがめくれていく。






ハッピーエンド

「だから 我は そなたに 

《資格》を得るための 試練を与える


試練 それは 我を

   この本

〖ハッピーエンド〗を完結させること

この物語が 完結した暁には

この本が 願いを叶える《資格》となろう


だが そなたの力だけでは 

我に 物語を紡ぐことは できない


作者(ヒーロー)》と 共に

《黄金の文字》を探すのだ 」




ジーク「…!?!探すってどこを探せば!…それにその《作者(ヒーロー)》ってやつはどこに居るんだ!?!」



ジークを囲む風が更に強くなる。



ハッピーエンド

「時間だ ジーク

我が 言葉を交わせるのは ここまでだ

あとは そなたの力で 

我の期待に応え 《資格》 を得てみせよ 

大丈夫だ 道標なら すでに 

そなたの近くにある 

では また会おう 強き者よ 」


ジーク「…!まっ、待ってくれ!!!…クッ…」




話を終えたハッピーエンドは

再び強き光を放った後、

ただの本へと戻りジークの手元に収まった。

風も徐々に収まり宙に浮かせていたジークの身体を地上に戻す。

そしてそのまま後ろに倒れ込むジーク。




ジーク「……………夢……じゃねぇ………はは……ハハハハハハハ…グスッ…ハハハハ…夢じゃねぇ……夢じゃねぇんだ…グスッ…やっと…やっと……うぅ……アオーーーーン…アオーーーーン…」




涙が混じったオオカミの遠吠えが

星空の下、藁の草原に響き渡る。







ジーク「…グスッ…泣いてる場合じゃねぇ!!やっとあいつらを救えるかもしれねぇんだ!まずは《作者(ヒーロー)》って奴を探さねぇと!」




ハッピーエンドは最後に

道標は 近くにあると言っていた

近く…何処を指してるんだ…草原か?

それとも森…城の中か?…!!!!

考え込むジーク。

ふと昼間の光景が脳裏に浮かぶ。


ジーク「…図書館……。」


昼間に見たあのおとぎ話の本!

あの本に何か手がかりが

書いてあるかもしれねぇ!

…こうしちゃいられねぇ

すぐに図書館に向かわねぇと!



ジークは図書館に向かって走り出した。

その顔は、

希望に満ち溢れた少年のようだった。

口元から抑えきれない笑みをこぼし、

その瞳は期待と希望に満ち溢れ

まるで暗闇を照らす星のように光輝いていた。











そして、図書館にたどり着いたジークは

コッソリと鍵が空いた窓から忍び込み

昼間漁っていた本棚で本を探す


ジーク「どこだ…たしか…この辺にー…あった!!!!」




〖ハッピーエンドの伝説〗



ジークは絵本のページをめくり

絵本を読み進める。


ジーク「…あった!ここだ…水場を探して歩いていると…森の奥に…星空のようにキラキラと輝く泉を見つけました………森……星空のように輝く泉………!!!星空のような…泉!!」




ジークは前に弟の『トト』が

話していた話を思い出した。


それは『トト』が父さんと

遠くの森へ出掛けたときに迷子になり

泣きながら歩いていたら妖精属が

〖お星さまのようにキラキラした泉に連れてってくれた〗と。

その後、泣きやんだトトを妖精属が

親父のところまで連れていってくれたって。


あの時は、妖精が幻をみせてトトを勇気づけてくれたものだと深く気にしていなかったが…もし、あの話の泉が、妖精の幻じゃなく…本当の泉だったら!!!!!

考えてても仕方ねぇ!

どうせ手がかりは他にはねぇんだ!

行くっきゃねぇだろ!!




確かあそこは…

【オリオンの森】




それからジークは

一度城に戻り旅の身支度を整え

再び城をコッソリと抜け出して

【煉瓦の(ブリックタウン)】を後にした。




それからジークは長い時間をかけて

オリオンの森を目指す。


凍えるような寒さの雪山

【雪男の氷菓山(イエティ・シャーベット)】を越えて


七色に輝く海

【海神の(トリートーン)】を渡り


灼熱の砂漠

【金狼犬の砂漠(デザートジアヌビス)】を歩き続け




ついに

妖精たちが住まう森

【オリオンの森】にたどり着く。




ジーク「…やっと…やっと…ついた…。」


ドサッ


何日も歩き続けたジークの身体は

限界を迎え森の入り口で倒れ込んでしまった。







シャラン♪

鈴の様な音を鳴らし

小さな羽をパタパタさせた

妖精たちがジークの周りに集まってきた。


妖精たちは不思議そうに

ジークのことを見つめ

あたりをグルグルと飛び回る


一匹の妖精がジークのフードを引っ張る。

すると少し身体が持ち上がりジークの胸元から

〖ハッピーエンド〗が落ちる。


シャラララン♪ シャラララン♪ シャラン♪

本をみた妖精たちが一斉に騒ぎだす。


そしてジークと〖ハッピーエンド〗に

魔法の粉をかけて宙に浮かし

森の奥へと運んでいった。











ジーク「……う…ん………あれ…森…?……」

シャラン♪

ジークの顔を妖精が至近距離で覗き込む。


ジーク「オワァッ!!!!!」


驚き飛び上がるジークを見た妖精たちは

シャラララン♪ シャララララン♪

と鈴の音を鳴らしながら笑い転げている


ジーク「…び、びびった……って…ここは…」


辺りを見回すジーク

周りには様々な大きさの木が生えており

その木には金平糖のような

トゲトゲした青白い光を放つ半透明の不思議な実がたくさん実っていた。


そして、その木々が囲む中心に

ひとつの泉があった。






ジーク「!?!?!!!!まさか!!!」


起き上がり泉に向かって走り出すジーク

あわてるあまり滑り転びそうになりながらも

泉へ一歩、また一歩とその足を進める。




水面の前にたどり着くジーク。

泉の水面には木々に実ったトゲトゲの実が

まるで星々のように映り、

その光景はまるで星空のようだった。



ジーク「星空の…泉…。………お願いだ…俺を…《作者(ヒーロー)》のところに…連れてってくれ…頼む…」


水面に映る星空に願いをかけるジーク。




すると…


ジークのもつ〖ハッピーエンド〗が

黄金の輝きを放つ。


ジーク「!?なんだ!!!?」


ハッピーエンドに呼応するように

木々の実も青白い光から

黄金の光へと輝きを変え

泉全体が黄金の光に包まれる


シャラン♪ ドンッ!!!


ジーク「え?」


妖精たちに突き飛ばされたジークは

そのまま泉に落とされてしまう。


ジーク「うわぁぁぁぁぁあ!!!」


先ほどまで水面だったはずなのに

水に落ちる様子はなく、

まるで穴のようにどこまでも

光の間を落ちていく。




落ちるにつれてどんどん光は輝きを増し

目を開けていられなくなったジークは

グッと瞼を閉じる。







トンッ


足が何処かに着く感覚がした。

落ちていたはずなのに

何故か衝撃は無かった。



恐る恐る目を開くジーク…

するとジークの目に写った光景は…






見たこともない

大きな音を立てて走る鉄のような塊。

四角く縦に長く伸びた

一面窓だらけの変な形の建物。



ジーク「…ここは…どこだ…?

…あれは…いったいなんだ…?」




ジークは道端に生える花を見つけ話しかける。

ジーク「おい、ここは何処なんだ?」


【トゥーン・ランド】の草花は、

魔力で育った花のため会話をすることができる。ここがトゥーン・ランドであれば草花に話しかければ、ここが何処なのか答えてくれると思ったからだ。…だがその花にいくら話しかけても花は答えてはくれなかった。


つまりここは…

彼の元いた世界【トゥーン・ランド】ではないということの証明になる。





ジークはどうすればいいか分からず、呆然とその場に立ち尽くすことしかできなかった。









…すると、








ドンッ!!!!!!!



佑「$▲※!!!!!(んでっ!!!!!)」





何かにぶつかられた。




振り向くとそこには…

自分の身体よりも小柄な人間の男が尻餅をついていた。



男はすぐに立ち上がり

ジークに声をかけてきた。

…だが、聞いたことがない異国の言葉を話しており、男が一体何を言っているのかが全くわからなかった。



佑「%○$✕△₩!!!〒€◇@□&!?!(ごめんなさい!!!大丈夫ですか!?!)」







この人間…なんだ…?

何を話しているんだ…?













Story12ー運命的な出会いー


Story12ー運命的な出会いー

お読みいただきありがとうございました!

無事に回想が終わり、現在軸に戻れます。


そして何より…おまたせしました!

ついに主人公『佑』が物語に戻ってきます!笑

ここまで活躍まったくないですが、

ここから活躍します!だって主人公ですから!


引き続き読んでいただけたら嬉しいです!

よろしくお願い致します!

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