Story10 ー〖ハッピーエンド〗の伝説ー
ー〖ハッピーエンド〗の伝説ー
「昔々 あるところに
だれもが 幸せに暮らす
それは それは 幸せな国がありました
森の木々や草花は音楽を奏で
動物たちは歌い 人々は笑い合い
世界は幸せにあふれていました
ところが ある時
その世界を 我が物としようとする
《悪役》たちが 現れました
《悪役》たちは
次から次へと
この世界に暮らす者たちから
幸せ と 笑顔 を 奪っていきました
そして 瞬く間に
世界は 暗闇に支配されてしまいました
でも夜空に広がる星だけは
変わることなく 暗く閉ざされた世界を
光 で照らし続けました
ある夜 ひとりの若者が
星に願いをかけました
すると星空の中
一際強い輝きを放つ ひとつの星が
若者の強く願い信じる心に惹かれ
声をかけてきたのです
『心強き者よ
作者と 共に
《黄金の文字》を探しなさい』と
その言葉と ともに
星は 〖一冊の本〗 へと
その姿を変えてしまいました
若者は
〖HAPPY END〗と書かれたその本を
手に取り 開きました
すると本の中は 最初のページを除いて
真っ白 何も書いてありませんでした
最初のページには
『作者が物語を
繋ぎ 終えたとき
強き願いは 星の輝きとなり
夢は 叶う 』
と記されていた
それから 若者は
どこにいるかも わからない
作者を 探し続けました
凍えるような寒さの 雪山を越えて
七色に輝く 海を渡り
灼熱の 砂漠を歩き続け
ついに若者は
深い森へ迷い込んでしまいました
歩き疲れて喉はカラカラ
水場を探して歩いていると
森の奥に まるで願い事をかけた日に見た
星空のように キラキラと光輝く
泉を見つけました
若者は
泉の水を飲もうと
水面に手を触れた途端
泉の水が黄金に輝きはじめたのです
泉のまばゆい黄金の光に 目を閉じた若者が
再び 目を開けると そこは
さっきまでいた森の中 とは違う
今まで 見たことがないものがあふれる
不思議な 不思議な 世界でした
走る 鉄のような塊
四角く縦に長く伸びた 不思議な建物
木々や草花に 話しかけても
だれも 答えてはくれない
若者は ただただ その場に
立ち尽くすことしかできませんでした
そんな時です
ひとりの男が 若者に声をかけてきました
ですがその男は
異国の言葉を話していた為
若者は その男が何を話しているのか
わかりませんでした
困った若者は
そこから立ち去ろうとしましたが
その時 大切な本を 落としてしまいます
落ちた本を 男が拾おうとして触れたとたん
本が 星空の泉のように
黄金に輝きだしたのです
ふたりは 光に包まれ 目を覚ますと
そこは 若者が 元居た世界でした
すると黄金に輝く本が 宙を舞い
異世界で出会った 男の手に収まりました
そう 若者が探していた
《作者》は
その男のことだったのです
若者の事情を聞いた
《作者》は
『世界を取り戻すために
きみの願いを叶えよう』と
若者と約束を交わしました
本を 完成させる為
《作者は
若者とともに 世界中を冒険し
出会った友人たちと 絆を繋いでいきました
絆は《黄金の文字》へと形を変え
つぎつぎに本のページ 埋めていきました
そして《作者》は
繋いだ絆を その身に纏う 不思議な魔法
〖ブックマーク〗を使い
次々と《悪者》たちを
追い払っていきました
そして遂に 若者と《作者》は
〖HAPPY END〗の全てのページを
集めた 文字 と 絵 で
埋めることができました
最後のページに 綴られた
《黄金の文字》を読み終えたとき
本は再び 星の姿となり
若者と《作者》に
語りかけました
『物語を繋ぎし
勇敢な者たちよ
君たちは 何を望み 願う』と
若者と《作者》は
【世界の幸せ】を願いました
すると その願いに 星はこたえ
世界中を あたたかな
星の光で 包み込みました
《悪役》たちは 退き
ふたたび 世界に幸せが訪れました。
そして 約束を果たした
《作者》の身体を
星の光たちが 包みはじめました
若者との別れを悟った
《作者》は 最後に
『どれだけ時が 過ぎようとも
必ず きみに 会いに来る
そしてまたいつか
一緒に冒険をしよう』と
若者に 伝え終えると
星の光に包まれて 消えてしまいました
若者は 寂しくは ありませんでした
なぜなら 《作者》は
交わした約束を
必ず守ると 知っていたからです
若者は 満点に広がる
星空に向かって こうつぶやきました
『またいつか 一緒に冒険をしよう』
おしまい




