Story1 ープロローグ(悪い?オオカミとの出会い)ー
初めて物語を書きます。
普段仕事をしながらの更新になりますので、
更新ペースはまちまちですが、
気長に気楽に読んでいただけたら嬉しいです。
私自身大好きなさまざまな童話やお話をリスペクトして、登場人物たちをオマージュという形で作品の中で命を吹き込んでいきたいと思っています。
私がただただ書きたいものを書くだけですが
どうぞ、よろしくお願い致します。
―「いいか、佑。
文字っていうものは
全て意味を持っているんだ。
言語が違えど文字ひとつひとつが意味を持ち
その文字が繋がって…
言葉となり人に幸せな思いを伝えたり
物語となって誰かを楽しませたり
感動させたりすることだってぇできる。
だからこそお前は
『文字』を大切にして
『言葉』を紡いで
たくさんのひとたちを幸せにするんだぞ!
そしたらお前も絶対に幸せになれるからな!」
あの頃…こどもの俺には
おじいちゃんが言っていたこの言葉の意味が
いまいち分かっていなかったけど…
たくさんの冒険をして、
大好きな仲間たちと出会えて…
《文字》を通して色々なことを知った今なら
おじいちゃんが言ってたこと…なんとなく分かるよ!
このお話は、
家と職場の往復をただ繰り返すだけの日々を
過ごしていた俺…
『狼越 佑』が
三匹のこぶたの悪い狼『ジーク』と出会い。
悪者に支配された異世界を救い…
ジークの夢を叶える冒険のお話。
それでは…
物語のはじまり、はじまり―。
Story 1
―プロローグ(悪い?オオカミとの出会い)―
小さい頃から空想することが大好きだった。
絵本や漫画のヒーローに憧れた。
困っている人が居たら
見返りを求めることなく必ず助ける!
そんな格好いい人間に俺もなりたい!
いや…なる!!絶対なれる!!!
そう信じて疑わなかったあの頃の自分に言ってやりたい…
「現実はそんなに甘くない。
正義感に従って動くんじゃなく…
…大人しく凪のように過ごせ。」と。
歳を重ねる度に知っていく世の中の理不尽さ。
人に勝手に期待して裏切られ
勝手に失望して勝手に凹む日々。
今の世の中は《弱肉強食》強い方が正しくて
弱い方は我慢を強いられる。
俺は言わずともわかると思うが
後者の人間だ。
髪は目にかかるくらいの長さの黒髪
身長166㎝の特に鍛えてもいない普通体型
見るからに普通の地味で大人しめな見た目、
威厳や気迫など微塵の欠片もない。
まさに弱くて力のない人間のテンプレート。
理不尽な目など何度もあった。
何も悪いことしていないのに
馬鹿にされ蔑まれることもあった。
そんな世の中の理不尽さに
30年間揉むに揉まれて出来上がったのが
今の俺だ。
今では色々なことに諦めをつけて
波風たてず争い好まずの
ただただ凪のように生きるようにしている。
仕事で上司や取引先から
理不尽な事を言われた際には
その場では全力で謝りつつも…
脳内では…特殊能力なんか使っちゃったりして
ボッコボコにした後に「この次元で俺がこの力使えなくて良かったな。」などと言っちゃうようなヤバイ想像力を膨らませストレス発散をしている。想像力、空想力、妄想力だけは昔から豊かな方だ。
今日もそんな世の中の理不尽に揉まれての
いつも通りの帰り道。
「俺の人生…いつまでこんなんなんかなぁ…」
雲ひとつない澄んだ星空と対象的に
もやもやとした自分の心から
白い吐息とともに漏れる本音。
「タク…ジェームズ…ルア…ちょぼ…もそすけ…
会いたいなぁ…お母のオムライス食べてぇなぁ…
俺ぁ都会の暮らしにはもう疲れたよ…」
実家に居る愛犬たちと母の料理に思いを馳せてボーッと星空を見上げて歩いていた。
星を見るのが昔からずっと好きだ。
暗闇でいつも俺を照らしてくれる気がするし
この光景だけは…どの場所からでも…
どれだけ年を重ねても変わらないからだ。
俺はその星たちの中でも、
特に大好きな星がある。
星空の中で一際まばゆい輝きを放つ星
《シリウス》だ。
落ち込んだとき、元気がない時に
星空を見上げると真っ先に俺の視界に
飛び込んでくる星がシリウスだからだ。
年甲斐もなく
よくシリウスに向かって
心の中で願い事をしたりする。
「今日は良い夢みれますようにー」とか
「明日は通勤電車座ってかえれますようにー」とか特に面白みもない平凡な願い事だ。
今日もいつも通りに
シリウスにむかって願い事をしてみた。
「なにか、
運命的な出会いがありますように…。」と
いつもは心の中で願うだけなのに
今日は何故か声に出てしまっていた。
その直後、急に大きな影が視界を遮った。
ドンッ!!!!!!!
「んでっ!!!!!」
何かにぶつかった。
ボフッとした感触…
これは…車や柱じゃない!人にぶつかった!
そう咄嗟に判断した俺はすぐさま立ち上がり
「ごめんなさい!!!大丈夫ですか!?!」
と言いながらぶつかった相手に目を向けた瞬間…
俺の目に映りこんできたものは…
…黒くて大きい…ひと…?…。
デカイ……
え?なんだこれは……
暗くてハッキリとは見えないが
そのぶつかった"何か"は
ざっとだが高さ2m程は超えていて
頭の先から足元まで
長いローブのようなものを
身に纏っているということだけは
なんとなく分かった。
大きさに怯みつつも返答のない相手に再度
「あ、あの…だ、だ、いじょうぶ?ですか
…お怪我とかしていませんか?」と声をかける。
…
…
…
しばらく無言が続く。
(え、やばい、こわいこわい、え、ごめんなさい
え、帰りたい、話しかけるべきじゃなかったんじゃないか?これ…)
現実の無言と対比するように脳内はうるさい。
辺りに街灯がなく
暗くて顔の辺りが良く見えない。
どうしたらいいか分からず
ただただうつ向いていたら
…おや…まぁなんということでしょう!
足元に何か落ちているじゃあ、ありませんか!
本?
落ちている"それ"は暗くて形しか見えないが
長方形の分厚い単行本のように見える。
これ拾って渡せば会話の糸口になるんじゃね?
瞬時に数パターンの
脳内シュミレーションを終えた俺は
自分で自分にエールを送る。
今は凪になってる場合じゃない!行くんだ!
勇気を出せ!佑!
お前なら出来る!きっと!多分!知らんけど!
えええい!!いざ実行だぁぁぁぁあ!!!
「あ、あの、こ、これ落としてませんきゃ…」
噛んだ。
と同時に本らしきものに俺の手が触れた。
途端、触れた本らしきものから
目も開けられないほどの
激しい閃光が放たれる。
「どぅえっ!!!?まぶっ!!!しっ!!!」
辺り一面がその激しい光に包まれた。
しばらくして光が和らいだのを
目蓋を閉じた状態で感じとり
ゆっくり目を開けるとそこは…
一面の薄茶色と、黄緑の草原。
「………………ん?」
まてまてまてーい
え、ちょっとまってどゆこと?
状況整理できる?
よし、うん、とりあえず、状況整理しよう…
………いや、無理だわ。ワケワカメだわ。
俺の脳内タスクはキャパオーバーしていた。
すると…
「おまえ…」
と聞きなれない男の声が
耳から流れ込んできた。
声をする方を見ると
そこには先ほど夜道でぶつかったと思われる
デカイ"何か"が尻もちをついて
こちらを見ていた。
全身焦げ茶色のローブに
緑色のツギハギのズボンを履いている
フードを深く被っており顔までは見えない。
そして手袋をはめた大きな左手には
先ほどの《光を放った本》を抱えていた。
とりあえず尻餅をついてしまっているので
起き上げないとと思い
「あの…大丈夫ですか?」と声をかけながら
右手を差し出してみた。
俺の差し出した右手に
「あぁ、悪ぃ。」と答えながらその男は
掴まって立ち上がった。
そして…
その男が立ち上がると同時に…
俺は固まった。
立ち上がる弾みでフードが脱げて
隠れていた
"その中身"を見てしまったからだ。
「Oh…My…」謎の口癖になってしまっている
オーマイゴッドが途中まで漏れる。
男は、俺が呆けている間に
手に持っていた本を服の内側にしまった。
一方俺の脳内では
「どうして、お兄さん?の耳は
そんなに大きいの?」
「どうして、お兄さん?の髪の毛は
そんなに茶色いフサフサなの?」
「どうして、お兄さん?の口は
そんなに大きいの?!」と
赤ずきんを被った俺が
膨大なタスク処理に追われていた。
「…ぉい。」
「おい!!!!!!」
ハッ!!!
佑「はぁい!!!!(声裏返った…)」
男の大きな声に俺の意識が戻ってくる。
すると男は唐突に
意味のわからないことを言ってきた。
???「お前…俺たちの言葉…話せたのか??」
佑「??????????ん?」
Story1
―プロローグ(悪い?オオカミとの出会い)―
ここまで読んでくださり
ありがとうございました!
まだ全然異世界冒険はじまってませんが、
これからしっかり物語を重ねていきたいと
思っておりますので、
続けて読んでいただけたら、とても嬉しいです!
宜しくお願い致します!