1-7
移動魔法は結界などが張られていない場所なら術者が行きたいところに行ける。
それにはレベル云々といった差はない。
試したと言っていたし無理ゲーじゃないかとは思うが考えても仕方ないしやるだけやってみるか。
この時はそんな甘い考えしかなかった。そもそも無理だと決めつけている。
仮に異世界が本当にあったとして誰も行ったことがないのは不自然だからだ。
何もしないのはバツが悪いので魔法を使うか。減るものでもないし
成功報酬とかすら話のを忘れるくらい失敗が見えていた。
美人に着手金を取るのは気が引けるからいいか。
「やれることはやってみるけど行けるかは僕にも分からない 一応、僕の肩に手を触れてくれるかな?普通なら術者のみの移動しか出来ないけど僕なら触れている人、全員移動する事が可能なんだ」
これも特異体質者の特権なのは役得でもあるけど移動魔法は何度も言うが皆使える魔法だから誰の役にも立たない。せいぜい魔法使用回数の節約が出来る程度には使われるが
「妹の特徴とかいろいろ説明しますね」
「大丈夫ですよ 同行者が行きたい場所に移動できますから。だから穂乃果は妹さんの事を強く想っていて下さいね では行きますよ」
穂乃果の意識に寄り添う形で僕も集中する。コネクトは成功だ。
穂乃果の手に力が入ったのを感じた。僕は深呼吸をして呪文を唱える。
「守護する精霊よ 我を導きたまえ ルーン」