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霧が晴れると同時に一面の暗闇が広がっている。
気温を肌に感じられるようになると同じくして鼻につく酸っぱい臭いがどんどん強くなってくる。
もはや酷い悪臭だ。それにここは肌寒い。
こんなところに人間がいるとは思えない。移動失敗したかな。
いやでもよくわからん守護精霊と話をしたし成功したと思うんだけどな。
穂乃果の温かい手の温もりを感じるあたり一緒にはいるらしい。
さっき守護精霊を感じた時とは違う確かな感覚があるから間違いない。
穂乃果に声をかけようとした瞬間、聞き覚えのない声が僕達の方に向けられた。
「お、お姉ちゃん?」