133/159
4-5-5
「私がイスアラ王国 第3王女 モナです。ご用件は先程、アスナさんを通して聞かせてもらいました。失礼ですが貴殿が日本国政府においての身分証を提示して頂きたい。」
新庄が緊張した面持ちで提示したカードをモナが確認した。
「若いのに課長とは将来の官房副長官ですね。」
モナの必殺営業スマイルが炸裂した。
新庄は驚きながら先程と違って言葉を選びながら言葉を発した。
「モナ姫様が官僚制度に詳しいとは驚きです。」
「先ほどまでのマシンガントークはどこへ行かれたのですか?」
笑顔を張り付けたままのモナが皮肉交じりに相手をえぐる。
困惑を隠せない新庄
彼も優秀な男なのは今のやり取りで僕は気づかされた。僕やアスナとは話し方がまるで違う。そもそもさっきまで勘違いしていたのは演技だったのか。
モナのただならぬ気配を感じ取ったのか、それとも第一声から直感的に彼をそうさせているのか僕には分からないが今、現場に見えない火花が散っている。
少なくともモナからのメッセージは僕やアスナに伝わった。‘油断するな’と。