4-4-5
留置場の粗末の朝食から何も食べてないから僕のお腹は限界だけど汚れた体を綺麗にしたい。
時刻は16時 1時間後を待ち合わせにお風呂に入る事にした。
男性の脱衣場でタオルを2枚貰い衣服を脱いで、いざお風呂へ。
「お客様 小さいタオルだけお風呂場にお持ちください。」
お風呂場に大きなタオルは持って行ってはいけない。
日本のお風呂のルールは細かい。
紙で日本のお風呂ルールを教えてもらった。要約すると以下の通りだ。
・湯船に入る前には体を洗うこと
・タオルを湯船につけない
・脱衣場に戻るときに小さいタオルで体を拭いて出る事
いざ お風呂へ 自動ドアを抜けると大きなお風呂場が目の前に広がった。
大きくてたくさんある湯船に目を奪われすぐにダイブしたい気持ちを抑え洗い場へ向かう。
シャンプー、リンス―、ボディーソープがある。
うん? 何を、どう使ったらいいんだ。
僕の国では魔法で全てを済ませるので分からないぞ。
とりあえず全て混ぜてみるか。 全部タオルにしみ込ませ体をこする。
おぉ これは良い。素晴らしい香りだ。泡立ちもよく気持ちよく洗える。
頭も同じ要領で洗う。
体も綺麗になったことだし次は温泉だ。
何に入ろうか。迷う。なんせ生まれて一度も風呂というものに入ったことがない。
そもそも風呂なるものなんて見たことがなかったのだ。
大東京温泉物語には温泉なるものがある。まずはこれからだ。
階段を上がると茶褐色の湯が張っている。
いざ風呂へ。 またもダイブしたい気持ちをグッとこらえ、ゆっくり足をお湯に……
「あっ熱!」 思わず叫んでしまった。
何だ これは熱すぎる。ダイブしなくて良かった。
これに入るだと。 でも他の人達は何食わぬ顔で入っているぞ。
それに楽しく談笑すらしているじゃないか。
僕が貧弱だというのか。冗談じゃない。 いや何かの間違いだ。もう一回挑戦だ。
恐る恐る足を湯につける。 やっぱり熱い。こんな形で阻まれるとは。
温泉 何て強敵なんだ。 どうにかして温泉を攻略したい。
1人のご老輩が声をかけてくれた。
「お兄さん 脇にある湯も温泉だけど少しぬるいんだ。入ってごらん。」
人生の先輩の助言に素直に従った。ここは戦略的撤退だ。
脇にある湯も茶褐色の色をしていた。ゆっくり慎重に湯に足をつける。
うっ やっぱり熱い でもさっきみたいにNGではなさそうだぞ。
熱い痛みに耐えながら両足を湯に投下 後は腰を下ろすだけだが…
「熱い 無理。」