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「レン カツラ」
レン・カツラ 私が見た顧客名簿の一人
正直それしかしらない。これ以上、突っ込まれたら終わるけど今は記憶にある物、全部が武器だ。悟られないよう一挙手一投足に細心の注意を払った。
「我々は大きな見込み違いをしていたようだ。」
終始鉄壁の作り笑顔のシャリーフ 長年、外交の最前線で戦ってきた人物だけあって一筋縄ではいかない。
私も表情を緩めることなく鋭い口調でシャリーフにカマをかける。
「私はかなり配慮したつもりですが シャリーフ参事官」
「というとどういった意味ですかね モナ殿」
「レン カツラ 顧客名簿に当然、本物の名前を使うバカはいない。私の配慮が察せるかと 大使。」
「なるほど。あなた外交官向きの性格していますよ。かなりお若いのに我が国は愚かだな。」
「ご冗談を。そのような事を言ったら国での立場が危うくなりますよ。ただ最高の栄誉と受け取っておきましょう。」
私は可能な限り最高の笑顔を作りシャリーフにメモ書きを渡した。