魔法の才がなかったために母と姉たちから虐げられていたのですが……その先にはまさかの展開が待っていました!?
「貴女は何の才能もないのだからせめて家のために働きなさい!」
魔法使いの一族に生まれた私。
三姉妹の中で一人だけ魔法が使えず。
そのためプライドの高い母からはいつも見下され馬鹿にされてきた。
「あんたねぇ、通り道に立たないでよ! 邪魔なんだけど!」
少々乱暴に言ってくるのは次女。
「そうですわ。貴女のような人は他者の邪魔にならないところで家事をしておくべきですわ」
丁寧ながら心ないのは長女。
姉二人だってそうだ。
彼女らには魔法の才があり、それゆえ、いつだって私を下に見ていた。
彼女らの頭からは、私も同じ腹から生まれた妹なのだという理解が、とうに消え去ってしまっていたのだ。
「貴女みたいな娘を持って残念だわ、せっかくの血筋なのに。でもま、雑用を任せられるところは助かるけれど」
「あんたほーんと残念な娘よね! 魔法は使えないし、家事の出来もまぁまぁだし」
「まさにそれですわ。良いところなしですわね」
そんな風にして虐げられていた私だったが、ある時、家にやって来た王子の遣いによって見初められる。
「王子は貴女のような女性を求めていらっしゃるのです!」
「え、ええっ……?」
最初は理解できなかった。
何が起きたのかさっぱり分からなくて。
「王子は今、パートナーを探していらっしゃるのです。そして! 貴女はその条件にぴったりなのですよ!」
「嘘ですよね……」
「本当です!」
「そんな……ごめんなさい理解できません」
「ぜひ一度! 王子と会ってみてはいただけませんか!?」
こうして私はいきなり王子と顔を合わせることとなり。
するとすっかり気に入られてしまって。
そのまま結婚に向かって話が進み始めることとなっていった。
母も姉たちも驚き「何であの子が!」と怒っていたけれど、もはやそんなことは関係ない。
◆
あれから数年、私は王子の妻として日々を生きている。
ゆくゆく王妃になる、それゆえ学ばなくてはならないことはたくさんあって。もう長くそれに関する修行が続いている。が、家で虐げられていたあの日々に比べれば今はずっと幸福だ。だって誰も私を悪く言いはしない。魔法が使えないだけで無能扱いされることもない。
ちなみに、母はあの後私を虐めていた話を週刊誌に載せられ、社会的に終わったそうだ。
社会的な評価は一気に低下して。
激しい批判を受けることとなったらしい。
仕事も減り、家にいても不機嫌な時間が大幅に増えたようだ。
そして、長女は、既に婚約者がいたのだが週刊誌の件によって幻滅した婚約破棄されたらしい。
「淑女の顔をしながら裏では妹さんを虐めていたなんて、最低だね」
それが婚約者からの最後の言葉だったそうだ。
その後彼女は婚約破棄を苦に自ら生を絶ったらしい。
一方、もともと少し男勝りな印象のある次女はというと、家の前まで押し掛けてきていた過激な批判者と言い合いになり刺されてしまって死亡したそうだ。
◆終わり◆




