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甘い囁き
詩のような作品です。
甘い囁き
今でも思い出せる
貴方はいつも優しくて
そう
不気味なほどに
けれどもあの頃の私は
馬鹿みたいに真っ直ぐで
信じてしまっていた
貴方の囁き
貴方の優しさ
それに心とろけて
いつまでもこうしていたいと
くだらない夢に溺れ
幸福な夢に溺れていた
甘い囁き
今でも思い出せる
貴方はいつも優しくて
そう
不気味なほどに
それでもおかしさなど感じず
ただ見つめていた
砂糖菓子のように甘い言葉
それすらも
本当の言葉と思って
愚かすぎるほど
ひたすら信じて生きていた
いつまでもこのままいられると
くだらない夢に溺れ
幸福な夢に溺れていた
けれど貴方は告げた
婚約破棄
終焉へ続く道が現れ
門が開かれ
背中を押され
響くのは終わり告げる鐘の音
甘い囁きなど
すべて偽りのもので
愛など幻想
その時になって初めて気づく
貴方は私を突き落した
憎しみの海に
この身染め上げるほどに
私を絶望に堕とした




