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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 2 (2022.3~12)  作者: 四季


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もっと好きな人ができてしまったからと婚約破棄されました。しかもその好きな人というのが私もよく知る人でした。

「実は話があってな」

「何ですか?」

「俺、君との婚約は破棄すると決めたんだ」

「えっ」


 その日は突然やって来た。

 信じられないくらい急に訪れる、終わりを告げられる瞬間。

 心の奥まで硬直する。


「実はさ、もっと好きな人ができてしまったんだ」

「もっと好きな人……?」

「誰だと思う? 君も知っている人だよ、女性で」

「私も知っている人ですか……?」

「そうそう、当てられる?」

「すみませんが、分かりません」

「じゃあ教えてあげよう!」


 いらない……。


「君の親友、エリーニカさんだよ!」


 衝撃を受ける。

 彼女の名が出てくるなんて。

 嘘としか思えず。

 どうしてもそれが事実なのだと理解できない。


 エリーニカは私の親友である女性だ。


 なぜここで彼女が出てくる?


「そんな、どうして……どういうこと、ですか?」

「実は前からたまにだが彼女と会っていたんだ。で、俺はついに決意した。君を捨て、彼女を選ぶと」


 エリーニカは良い女性だった。いつも私の話を聞いてくれていたし。だからまさか、彼女が裏でそんなことをしていたなんて。とても信じられないし、信じたくないくらいだ。


「ということで、君とはおしまいだ」

「待ってください! 急過ぎます! もう少し考えて――」

「もういやというくらい考えた」


 彼――エリザベットは、わざと溜め息をついてみせた。


 明らかに嫌みだ。

 

「そんな……」

「婚約破棄、それは決定事項だ」


 エリザベットの心に私への情は一切ないみたいだ。

 もう私のことなんてどうでもいいのだろう。

 そうでなければこんな酷なこと、できるわけがない。


「そんな、ことって……あまりに、勝手過ぎます……」

「ではな。これにて、さらば」



 ◆



 あれから数年、色々あって私は王妃となった。


 ティーパーティーにて若き国王に見初められた時にはかなり驚いたけれど、それに不安しかなかったけれど、なんだかんだでそこそこ上手くやれている。


 私は今、国の頂点に近いところに立っている。


 権力は欲さない。

 でもこういう場所に立つのも悪くはないものだ。

 少なくとも虐められはしない。


 ちなみにエリザベットとエリーニカはというと、王妃を侮辱する活動に参加していたために夫の目に留まり、強制労働刑に処された。


 二人は今、自由を一切持っていない。


 彼らは奴隷のような扱いを受けている。

 そしてこれからも。

 長くそういった扱いを受け続けてゆくこととなるのだ。


 余計なことをしなければ二人で生きてゆけただろうに。


 残念な人たちだ。



◆終わり◆

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