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婚約破棄は受け入れましょう。ただ、大人しくこのままでいるとは思わないでくださいね。

「お前は俺の妻となるに相応しい女ではない! よって、婚約は破棄とする!」


 婚約者で王子のエデルリークはある晩城内の応接室に私を呼び出してそう宣言した。


 エデルリークの隣には女性がいる。

 唇が分厚く睫毛の長い人だ。


「婚約破棄……ですか?」

「ああそうだ」

「そんな、いきなり過ぎます。どうしてですか、驚きです」


 するとその女性が口を挟んでくる。


「驚き? 理由も分かんないのぉ? アンタ、やっぱ馬鹿ねぇ」


 その女性を私は知らない。

 けれども向こうは私を知っているのだろう。

 初対面とは思えないような言葉遣いだ。


 親しき中にも礼儀ありと言うが、初対面の相手にならより丁寧に接さなくてはならないはず――しかし彼女は私を馬鹿にしたような顔と口調で無礼な接し方をしてきている。


「エデルリーク様の心はあたしにあるのよ!」

「貴女は一体……」

「あたしはねぇ、侍女あがりだけれどエデルリーク様に一番愛されているのよ! ね? エデルリーク様?」

「ああ」


 どうやらそういうことらしい。

 だから私は邪魔なのだろう。


「そうですか……分かりました。エデルリークさん、では、私はこれで貴女の前から去ることにします」


 こうして見ているだけでも分かる。

 エデルリークと女性は愛し合っているのだと。


 そこに私の居場所は――きっと、ない。


「そうしてくれ」

「そうよぉ、物分かりいいじゃなぁい」


 こうして私はエデルリークと別れることになった。


 けれども二人を許したわけではない。

 あんな勝手なこと、謝罪すらないまま切り捨てられて許せるわけがない。


 だから私は考えた。


 二人を終わらせてやろう、と。


 エデルリークの婚約者でなくなり、城からも追い出された私は、新聞を作っている会社にこのネタを持ち込んだ。で、それによって、エデルリークの身勝手な行動が世に出ることとなる。国の民からその行いを知られたエデルリークは、激しい批判を受け、それを無理矢理押さえ込むような言葉を何度か発したためにより一層イメージが悪くなってしまって。次第に、王家を潰した方が良い、という意見が強まってゆく。


 そして、ついに、王家は潰されることとなった。


 国民の力とは偉大だ。

 一つ一つは小さいけれど。

 集まれば大きくなる。


 王と王妃は拘束され処刑、王子エデルリークは拘束された後に暴れたために薬を打たれて死亡した。

 そして、エデルリークと一緒にいたあの女性もまた関係者として同じく捕まり、彼女だけは何者かによって裏社会の商人に売り飛ばされた。

 その他の王子や王女、親戚なども、処刑されたり権力と資産をすべて剥ぎ取られたりした。


 そうして新しい国が徐々に出来上がる。


 あれだけの話からここまでなるとは思っていなかったけれど、あの二人に結果的に罰がくだったのだと思えば「まぁそうなって当然だよな」としか思わなかった。


 自業自得というやつである。


 ちなみに私はというと、ネタを売った際の報酬やそのネタを書いた新聞や本の売り上げによる収入が多くあるので、今は経済的に何も困っていない。


 今は何にも縛られることなく好きなように自由に生きられている。



◆終わり◆

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