表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 2 (2022.3~12)  作者: 四季


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

968/1194

女剣士ですが婚約者から婚約破棄を告げられました。なので剣の道に戻ろうと思い剣士活動再開しました。しかしその後……!?

 私、エリミネーレは、女だが剣士だった。


 幼い頃から親の影響で剣に親しみ。

 いつしか剣を使い戦う道を志すようになって。


 それで若くして剣士となり、その力をもって戦いの世界に身を置くようになった。


 だが、二十歳を過ぎた頃、一人の青年にアプローチされる。


 彼の名はフルゲリーングルス。

 イケメンおじさんのような顔立ちの青年だ。


 彼は私に婚約を求めた。それも、脅すような形で。彼は言ったのだ、婚約を拒否すれば私たち一家に関する嘘を広める、と。


 で、厄介事になるのを防ぐべく、私は彼と婚約した。


 両親に迷惑をかけたくなかった。私のせいで二人で無礼なことを言われるのは嫌だったし社会的に傷つくのも嫌だった。それならこの身を彼に渡そう、そう思ったのだ。それで両親が何もされずに済むならべつに婚約くらいしたっていい、それが私の考えだった。そもそも、らしい恋なんてする気はなかったのだ。彼と婚約しても大きな問題はないだろう、そう思っていた。


 そして、婚約から数ヶ月――。


「エリミネーレ、ちょっといいか」


 ルゲリーングルスが自宅に呼び出してきた。


「はい」

「今日は伝えなくてはならないことがある」

「何でしょうか」

「お前との婚約、破棄とする!!」

「え――」


 ふん、と息を吐き出し、勝ち誇ったような顔をするルゲリーングルス。


「良いのですか!?」


 思わず発してしまう。


 本心がこぼれ出てしまった。


「は?」


 ルゲリーングルスの表情が固くなる。


「いえ、ルゲリーングルスさんが自らそのように言ってくださるなんて思っておらず……」


 でもこれが本心なのだ。

 だから仕方ない。

 心なんて誰かに合わせて変えることはできないものだから。


「何だそれ、可愛げないな」

「まぁ、それはそうですね。私、そういう人間です」

「はぁ……やはり外れだったな」


 いちいち失礼だなぁ。


 でもそれでもいい。


「お前のような野蛮女と婚約するんじゃなかった、今そう後悔しているよ。じゃあな、エリミネーレ、これにてさらば」


 こうしてルゲリーングルスとの関係は終わった。


 これからどうしようか?

 剣の道に戻る?


 ゆっくり考えるとしようか。



 ◆



 あれから三年、私は王子に見初められてその人と結婚することとなった。


 何があったのかというと。


 私は、あの婚約破棄の後、剣の道に戻った。

 剣士として戦うようになって。

 そのうちに評判はどんどん広がっていった。


 そして王子に目をつけられた――結婚相手として。


 で、ある時、王子からプロポーズされた。


『貴女のように美しく強い方、見たことがない! 素晴らしい! ぜひ我妻となってほしい! お願いします!』


 そんなことを言われて。


 私ははじめ少し迷った。けれども、しばらく色々考えた後に、婚約を受け入れることにした。彼の熱量が凄かったからだ。


 ちなみにルゲリーングルスはというと。


 私と別れた直後のある夜に女と山の近くを散歩していたところ、山賊に襲われ、内臓だけ抜き出されて殺められたそうだ。


 亡骸が発見された時、彼は、中身がほぼからっぽの状態だったらしい。



◆終わり◆

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ