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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 2 (2022.3~12)  作者: 四季


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かつて王子の婚約者だった頃は色々辛かったのですが、今はとても幸せです。~花咲く都で生きてゆく~

 花咲く都、そこはいろんな姿を持つ魔族たちが共に生きている穏やかな場所――そして、私と私の夫である魔王エブレイが暮らす地でもある。


 中央公園には毎年無数の花が咲く。

 昔から自然と毎年生えてくる不思議な花もあるが、魔族の人々が花壇を作りそこに植えた花もある。

 けれども、生まれ方は異なっていても、それらが対立することはなく。

 花たちはそれぞれの生まれ育ちを当たり前のものと受け入れながらも懸命にその美しい姿を輝かせる。


 そこには不毛な争いなんてない。


 そして私の人生もまた――かつては色々あったけれど、今は、中央公園の花のように彩られている。


 それもこれも、すべて、人の国で理不尽な目に遭わされた私をエブレイが拾い救ってくれたおかげだ。



 ◆



 当時、私は、人の国の王子と婚約していた。


 そこそこ良いとされる家柄に生まれた私は親の意向もあって気づいた時には王子との結婚を受け入れなくてはならないことになっていたのだ。


 けれどもそれでも良いと思っていた。


 幸せになれるなら。

 相手は誰でも。


 そんな風に思い、王子と共に歩もうと考えていた。


 が、ある時、王子の幼馴染みの女性に目をつけられてしまって。それからというもの、定期的に虐められるようになった。いじめに困った私は婚約者である王子に相談してみるが無視されて、周囲にもまともに相手してもらえなかった。疲れているのだろう、とか言われたこともあったくらいだ。


 そして、そのいじめの果てに、幼馴染みの女性に偽りの罪をでっちあげられて。


 それによって私は王子から婚約の破棄を宣言されてしまう。


 私は城から出ることになった。

 絶望の中一人歩くしかなくて。

 当時の私は悲しみの深い海の中にいた。


 だが!


 エブレイはそんな私に声を掛け話を聞いてくれて、それで、拾ってくれた。


 それから私は魔族の国へ行くことになった。

 その地では人間である私は異端。

 けれども彼のサポートもあり徐々に生活に慣れてゆけた。



 ◆



 ああ、何度も思い出しても懐かしい。


 少し前までは思い出すのも嫌だった。

 不愉快な王子や彼の幼馴染みの女性の顔を思い出してしまうから。

 けれども今は思い出しても何も思わない。


 むしろ、エブレイとの出会い、という側面が強まっている。


 不幸だった私は消えたのだ。

 そして今の私が生まれた。


 ちなみに、王子はあの後幼馴染みの女性と結婚したそうだが、女性が国民から嫌われていたこともあって夫婦ともに凄まじい批判を受けることとなってしまい、しばらく田舎へ引っ越すことになった――しかし、出発する予定の日の早朝、夫婦は何者かに暗殺され、二人は亡き人となった。



◆終わり◆

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