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義母によって塔に閉じ込められた私は復讐の時を待っていたのですが……。 (後編)

 ◆



 作戦決行の日、私はまずフルルンと合流する。


「頑張ろうね!」

「ありがとう」


 フルルンはこんな日でさえ明るい。

 どんな未来が待っているか分からないというのに、彼は前向きだ。


 それから私たちは塔を出た。見張りの兵とぶつかり合うこととなってしまう。が、私は高めてきた魔法の技術を使って敵を倒すことができた。


 でも。


「フルルン!!」


 相棒とも言えるフルルンが斬られてしまった。


「しっかりして!」

「……ごめん」

「と、とにかく、運ぶから。そのままじっとしていて」

「……うん」


 私は彼を連れて逃げた。



 ◆



「ごめん……足を引っ張っちゃって……」


 塔からは無事脱出できた。

 今はフルルンが住んでいるという小屋の中にいる。


 森の中にある小屋、ここまでは誰も来ないだろう。


「いいのよ、協力してくれてありがとう」

「手当てまで……」

「大丈夫よ、すぐに良くなるわ」

「……はは、かっこ悪いな」

「そんなことないわ。貴方は素晴らしい人よ」


 そう言うと、彼は泣いていた。


「でもここからは私一人でやるわ」

「復讐?」

「そうね」

「僕も行くよ!」

「駄目よ」


 義母のことは私の個人的な事情。

 彼を巻き込めない。


「あぁそうか……頼りないよね」

「そうじゃない!」

「え……?」

「……ごめんなさい、急に。でも、これ以上、貴方を巻き込むことはできないわ」


 もう巻き込んでしまっているけれど。


「すべてが終わったらここへ帰ってきてもいい?」

「もちろん!」

「ありがとう。じゃあ、しばらくさようなら」


 私は小屋から出る。

 いつまでもここにいられたら……と思いつつも、旅立つ。



 ◆



 それから私は義母のところへ戻った。


 懐かしい家。

 でももうそこには幸せはない。


「お義母さん」


 夜、義母は一人部屋で寝ていた。

 随分豪華なベッドだ。

 以前はなかったものだから、多分、新たに設置したのだろう。


 思えば、ここへ来るまで、私の実母を思い出せるようなものは見かけなかった。まだここにいた頃は色々あったのに。私の実母はいなかったことにされているのだろうか、と思うくらい、家の中は変わっていた。ただ、構造自体は変化はなかったけれど。


「さようなら」


 私は攻撃魔法を使って寝ている彼女を討った。


 そこへやって来る、義母の娘。


「おかあさま~……え」


 悪いが、彼女も邪魔だ。


「おねえ……さま?」

「ごめんなさい、黙っていて」

「……!!」


 私は彼女の命は奪わなかった。

 それは彼女に直接危害を加えられてはいないからだ。


 でも、二度と話せなくなる魔法をかけた。


 さて、次で最後だ。


 あとは父親を仕留める。

 そうすれば私の復讐は終わる。


 私は過去の記憶を頼りに廊下を歩く。

 建物内に人はもうそんなにいないだろうけれど、なるべく足音を立てないようにしなくてはならない。万が一ばれたら大変だから。


 そして、父親の部屋の前に到着。


 深呼吸をして。

 早速入る。


「リリー!?」


 父親はまだ起きていた。


 まぁいい。


「どうしてお前がここに」

「復讐よ」

「何を言って……」

「貴方は母も私も捨てた。許さないわ」


 片手を伸ばす。

 魔力を集めて。


「さようなら」


 こうして私の復讐は終わった。



 ◆



「ただいま」

「良かったあああああぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 フルルンの小屋に帰るといきなり叫ばれ抱き締められた。


「大丈夫だった!?」

「ええ、成功したわ」

「心配したよ……」

「ありがとう、大丈夫よ」


 こうして私はフルルンと暮らし始める。


「これからはずっと一緒にいましょうね」


 その言葉と共に。



◆終わり◆

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