妹は中身は真っ黒ですが容姿は良かったのです。ただ、彼女は、最終的には幸せにはなれなかったようです。
妹リリは性格が黒い娘だった。
容姿は私より良い。
けれどもその可愛らしさを自覚したうえで私を虐めてくるような人間だ。
正直、彼女は性格がよろしくない。
実の姉にさえ何度も嫌みを言ったり日々意地悪をしたりするような人である。
だが、ある時、私とリリは姉妹で婚約相手候補の兄弟に会うこととなる。
二対二で会ってみて徐々に相手を選ぶ。
そういう話だった。
けれども実際にはそんなきっちりした話ではなくて。
ほぼ出来レースのようなもので。
「お姉様! あんたはそっちの芋臭い男とくっつきなさい!」
「兄さん、ださいもん同士仲良くな~」
リリと次男はすぐにくっつき、少しも離れなくなった。
しかも私と長男を無理矢理くっつけようとして。
それからすぐにリリらはその場から離れてしまった。
「ええと……すみません、弟が。彼、いつもあのような感じで」
「こちらこそすみません。妹は、リリは、ああいう感じなのです」
長男は次男より落ち着いた雰囲気だ。服もおしゃれというよりかはきっちり着こなしているという感じである。だから長男の方が地味めに見えるのだろう。ただ、顔面の整いは、長男もなかなかのものだ。何なら次男のほうががちゃがちゃした雰囲気で私には合わないくらい。
「少し……お話しましょうか?」
「はい、そうですね」
「僕で、余り物で、申し訳ないです」
「そんな! そんなこと仰らないでください。余り物とか言わないで……貴方は素敵な人ですよ」
「えっ……」
「あ、す、すみません! 変な意味じゃないです」
その後私は長男と結婚した。
会話していて彼とは気が合いそうだと思ったのだ。
「僕で良かったのでしょうか……?」
長男は結婚式の日まで申し訳なさそうな顔をしていた。
やはり気になっているのだろうか?
あの時次男らから押し付けられるような形になったということを。
「当然です! 貴方が良いのです! 貴方だから結婚したいのです」
でも、彼は間違っている。
私は彼とだから結婚を考えた。
彼とだから共に生きようと決心した。
誰でも良かったとか、仕方ないからとか、そんなのではない。
「は、はは……なら良かったですが……」
「何か?」
「……空気を読んで無理してるんじゃ、って」
「そんなはずないでしょう!」
「そう……でしょうか?」
「そうです! 当たり前じゃないですか!」
ちなみに、リリと次男は、あの後婚約するも上手くいかなかったようだ。
次男がやたらと浮気一歩手前のようなことを繰り返し、それによって喧嘩が何度も勃発し、最終的には婚約は破棄となったようだ。
その後リリは自分の価値を見失って病み、自殺。
一方、次男はというと、ある女性から病気を貰ってしまって酷い痒みと痛みに生涯苦しむこととなったらしい。
◆終わり◆




