意地悪妹、嘘を伝えていたために婚約破棄される。~彼女は壊れてしまいましたが、虐められなくなったので嬉しいです~
妹レニは意地悪だった。
小さい時から私を馬鹿にすることが人生の楽しみで、私の物は必ず奪ったし、毎日のように嫌みを言ってきたし、周囲に偽りの悪口を言いふらす高位だって毎日のように行っていた。
それこそ「暇なのか?」と思ってしまうほどに、彼女は、私を虐めることばかりに気を向けていたのだ。
だが、そんな彼女も年頃になり、ガオスという青年と婚約。
「お姉様と違って玉の輿! だって、ガオス様は大金持ちなの! あたしの勝ちよお姉様! あーっはっはっはは!!」
その頃は珍しくご機嫌で。
私に意地悪をしてこない日もあった。
――しかしその救いのある日々もすぐに終わってしまう。
レニは婚約破棄されたのだ。
その理由は、レニが偽りの学歴を伝えていたから。
彼女は何と私のそれを勝手に使っていた。
レニは早くに学校に行かないことを選び家で気ままに暮らしていたが私は長く学校へ通っていた――彼女はこっそり学歴までも奪っていたのだ。
気づいていなかった……。
だが、それが理由だというなら、ガオスの主張も分からないではない。
嘘を伝えてくるような人を信頼なんてできるはずがないから。
きっと嫌だろう。
そのような人と生涯を共にするなんて。
そうして婚約破棄されたレニは、情緒不安定になり、号泣していたかと思えば大声をあげながら走り回り物を次々壊すような人になってしまった。
彼女は壊れた。
もうまっとうな人間には見えない。
でも、虐めてこなくなったので、その点は良かった。
――そして、婚約破棄から二ヶ月も経たず、彼女は死亡した。
暴れている時、とめようとした父ともみあいになり、二人でベランダから地面にまで落ちた。
その際、うちどころが悪く、彼女だけは命を落とした。
ちなみに父は木に落ちたために生き延びた――しばらく病院で治療は受けたが、怪我はすっきり治り、後遺症も特にはない。
◆
あれから今日で一年。
私には婚約者がいる。
本が大好きな人だ。
彼に出会ってから本を読むようになった私は、世界が広がってゆくのを感じている。
もう妹に虐められない世界で、穏やかに読書でもしよう。
◆終わり◆




