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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 2 (2022.3~12)  作者: 四季


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婚約破棄されましたが、後に幸せになれました。大好きな姉とも一緒に暮らせているし、とても嬉しいです。

 私には姉がいる。

 だが普通の姉ではない。

 これは表向きは一切明かされていないことだが――彼女は裏で暗殺稼業を営んでいるのだ。


 とはいえ、私にとってはとても優しい姉である。


 そんな姉のことが私は大好き。たとえ黒い行いを生業としているとしても、だ。それに、それでも姉であることに変わりはないし。だから私は彼女を愛し尊敬している。



 ◆



「アンタみたいな地味な女、三日で飽きたわ。てことで、婚約は破棄な!」


 婚約者レッドフィルはいきなり告げてきた。


 昨日まではそんなことは言っていなかった。

 様子の変化さえなかった。


 まるで今さっき思いついたかのような婚約破棄だ。


「待ってください、それはあまりに……」

「婚約は破棄って言ってるだろ!!」

「っ……」

「いいから消えろよ! しつけーんだよ!」


 こうして私は彼の家から出る。


 するとそこには姉がいて。


「姉さん……?」

「婚約破棄を告げられたようね」

「あ……う、うん」

「出てきて本当に良かったの? 粘らなくて良かったの?」

「仕方ないよ」


 彼女が言うには、物陰に潜んで会話を聞いていたらしい。


「仕方ない、なの?」

「うん……だって、私みたいな地味なの、人気なくても仕方ないよ。姉さんみたいな美女じゃないし」

「彼への想いはないということ?」

「うん、もう大丈夫! あの人に執着はないよ」


 それでも涙は出たけれど。


「ごめん、私、何で泣いてるんだろう……」


 でも本当に、彼と一緒にいたいとかはない。


「気をつけて帰るのよ」

「あ、うん。でも、姉さんは?」

「私は今から用事」

「そう……頑張ってね」

「ありがと!」


 翌日、レッドフィルの死が確認された。


 衝撃は大きかった。


 だが私はすぐに知ることとなる。

 姉が暗殺したのだと。


「姉さん……ごめん、私のせいで仕事増やして」

「いいえ、あれは私が望んだことよ。貴女は関係ないわ。だから貴女は何も思わないで」

「……そう」

「妹を傷つけるような人間を私が許せなかった、それだけのことよ」



 ◆



 レッドフィルとの別れから十年。

 私は犬の調教を仕事にしている男性と結婚した。

 そして姉も一緒に暮らしている。


 夫は心が広い人だった。

 だから、私が「姉もここに住まわせたい」と言った時にも、理解を示してくれた。


 夫のおかげで今も大好きな姉と共にあれている。

 これは何よりも嬉しいことで。

 彼には言葉にできないくらい深く感謝している。



◆終わり◆

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