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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 2 (2022.3~12)  作者: 四季


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婚約してから十回目の浮気、さすがにもう許すことはできません! ここで終わりにしましょう。

 婚約してから十回目の浮気。

 オーヂオール、彼の行い――特に女性関係は酷すぎる。


「もう許せないわ! 婚約は破棄とします!」

「えええー」

「ええー、じゃないわ。もう何度も言った、そして、何度も許してきた。でもまったく治らない! 治す気もない! 我慢の限界よ!」


 オーヂオールは私が怒るといつも涙目になって謝るのだけれど、それが本心だとは到底思えない。同じ過ちを繰り返す、それがすべてを物語っているし。ただ、それでも私は、何度も見逃してきた。次こそは、次こそは、そう思って。けれどもオーヂオールの素行は一向に改善しない。次は変わるかも、なんて、存在しない希望。


 だからもう終わりにする。


「婚約は破棄!! ……さようなら、オーヂオール」


 オーヂオールは泣いて縋りついてくる。

 その手を強く払った。

 勝手過ぎる彼には触れられたくない。


「触れないで、二度とね」


 婚約なんて叩き潰してやる。

 もうすべて終わり。

 彼が何を言おうが無駄だ。



 ◆



 あれから数ヶ月、オーヂオールは自ら死を選んだ。


 浮気しまくっていた話を皆に知られたことで恥をかいたうえ社会的な評価も急降下してしまい、皆から冷ややかな目を向けられ、それに耐えきれなくなったようで――ある寒い晩、湖に飛び込んで、自らあの世へ旅立った。


 葬式は親だけで行ったそうだ。


 同情はしない。

 むしろそのくらいでちょうどいいと思う。


 だって彼は私を何度も傷つけた。

 約束もすぐに破って。

 裏切られた者の心なんて一切考えずに好き放題して。


 だから自業自得だ。



 ◆



 あれから八年。

 先月、長く勤めていた喫茶店を辞め、店の常連客の男性と結婚した。

 彼は私が働いているところを見るために常連客になっていたらしい――もっとも、働いていた頃にはそのことは知らなかったのだが。


 これまで仕事が忙しかったけれど、これからは少しはゆっくりできそうな気がする。


 だから少し楽しみでもある。


 今から行く道。

 それはこれまでとは異なる道。


 けれども怖くはない。



◆終わり◆

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