私との関係を壊すようなことばかり繰り返して……その意味を理解しているのですか?
婚約者ヴィクルーゼン、彼の家は、私の実家よりは地位の低い家であった。
家の階級が違うのになぜ婚約したのか?
それは、家同士のある契約があったからだ。
娘息子を結婚させるのであれば我が家がヴィクルーゼンの家に資金提供をして協力する――そういう話で、私とヴィクルーゼンは結婚することになった。
そして、その前段階として婚約しているのが、現在の状況である。
だが、最近ヴィクルーゼンの女関係の素行が悪過ぎて。注意してみたりもしているのだが、なかなか改善しない。一度注意すると数日はやめるもののまたすぐに同じようなことを始める、というような状況で、どこまでもぐるぐるしてしまうのだ。
「お父様、私、もう我慢できないわ」
「そうだな……さすがに回数が多過ぎるしな……」
「婚約、破棄したいの」
「ああ……そうだよな……」
父を悲しませるのは嫌だが。
こればかりはどうしようもない。
我慢にも限界がある。
「駄目? 今さらでごめんだけれど……」
「分かったよ、そういうことで話をする」
「ありがとう! お父様!」
「ああ! 任せてくれ! 婚約は破棄としてくる!」
その後父がヴィクルーゼンとその親に対して婚約の破棄を告げた。
向こうの家は大騒ぎになっていたようだが。
こちらは淡々と話を進め、冷静さを保ったままで婚約破棄にまで持ち込んだ。
最後に会った時、ヴィクルーゼンは「もっと可愛い彼女いるからいいもん! 離れられてラッキーだわ!」とか言っていたけれど、それはただの負け惜しみのようなものだと思う。
それから数週間、私は、ヴィクルーゼンとその両親が突如死を選んだことを知った。
我が家からの資金提供が急遽なくなったためにお金が足りなくなり、どうしようもなくなってしまって追い詰められ、一家で命を絶ったそうだ。
悲しいことだが……ま、これも運命、仕方ないことだ。
その後私は学園時代の先輩の紹介で出会った青年と結婚。
裕福な家同士で関係を結び。
お互いやりたいことをやりながらほどよく自由に生きられている。
夫婦仲も良好だ。
私はこの道を選んだことを後悔はしないと思う。
いや、むしろ、いつまでもこの選択を良いものだったと思うはずだ。
ちなみに、最近は自室にて、小鳥を数匹飼っている。
そのさえずりにはつい頬が緩んで。
表情豊かな小鳥たちと関わる時間は何よりも愛おしい時間だ。
◆終わり◆




