表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 2 (2022.3~12)  作者: 四季


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

875/1194

琥珀のような瞳のせいで虐められてきましたが、そのたびに特殊な能力によって罰がくだるので、若干すっきりします。

「あの子さぁ、琥珀みたいな目してるよね」

「綺麗だよね~」

「はぁ?」

「えっ……」

「あの目、クソだよね。糞便みたい。くっさそぉ」

「え……あ……えと」

「そう思うでしょ?」

「あ……う、うん~、そうだよね~」


 琥珀のような瞳を持って生まれた私――クロへリアは、子ども時代からその瞳についてあれこれ言われてきた。


「ねぇ! あんたさぁ! その瞳くそじゃない?」


 中には直接虐めてくる者もいた。


 とはいえ、裏でだけあれこれ言っているような陰湿な人も多かったので、わざわざ寄ってきたうえ直接言われても「ああまたか」としか思わなかったけれど。


「え、あの、何? いきなり」

「だ! か! ら! 臭そうって言ってんの!」


 あの日絡んできた同年代の女子は特に厄介な人で。


「瞳が?」

「そういうことぉ」

「瞳は臭くはならないと思うけど……」


 いちいち感じの悪い彼女に、私はつい腹を立ててしまって。


「あーあーあーうっざ! うっざぁ! うっざぁーっい!」

「え」

「うっざいからさ、虐められたって言ってやろ!」

「待って! 嘘をつくの!? やめてよ!」

「はぁ? 何様のつもり? 命令すんないじめっ子が!」

「虐めてないよね!?」

「誰もあんたのことなんて信じないっての」


 そのせいで、この会話をした翌日、彼女は死ぬことになった。


 というのも私には不思議な力が備わっているのだ。

 これは気づいた時にはこの身に宿っていた。

 いつからここにあったのかは誰にも分からない。


 ――私を怒らせた人は皆例外なく滅ぶ。



 ◆



「婚約、破棄することにしたから」


 告げてきたのは、先月婚約したばかりの婚約者フルーレン。


 彼は出会った頃よく私の瞳を褒めてくれていた。

 とても美しい、と、毎日言ってくれていた。

 若干鬱陶しいと思ってしまうほどに、彼は私の瞳の色を好んでくれているようだった。


「クロへリアさんの瞳さ、美しいと思っていたんだよ」

「そう言ってくれていましたね」

「でもさ……最近はどうしても美しいとは思えなくて、気持ち悪いとしか思えなくなってしまったんだよ」


 けれども彼の心は変わってしまったようで。


「そう……」

「ごめん、こんなことを言って」

「いえ、構いませんよ」


 もう私には興味はないみたいだ。


「それにさっ」

「何です?」

「もっと好きな人見つけちゃったんだよねぇ~」


 さらに彼は続ける。


「その娘はさぁ、クロへリアさんよりずーっと可愛らしいんだよ。きらきらしてるし、袖が長くなってるのも可愛いしさ。どこまでもプリティなんだよねー、あー好き好き」


 まだ続く。


「てかさ、クロへリアさんて、瞳以外に魅力ないよね」

「そうですか」

「他の部分、ダサくない?」

「そうかもしれませんね」

「そうだよ! 女性らしくないし胸も強調してないし! 見てて溜め息が出るくらいダサくてみっともないよ! 女性らしさなんて欠片もない!」


 ――これは。


 腹が立ってしまいそうだ。


 刹那、能力が発動される。


「だから婚約は破棄して――っ、う、ぁ……ぇ……うぎゃあああああああああああああああああああ!!」


 突如大量の紅を吐くフルーレン。

 涙もこぼれている。


「な、に、これ……う、ぐ、ぐぅるぎゃああああぁぁぁぁぁぁ! あああああああ!? ぅ、ああああああああああ!!」


 そして彼は息絶えた。



 ◆



 あれから何年が経っただろう?

 思い出せない。

 でも三年くらいは経った気がする。


 私は今、一国の王妃となり、国のため国民のために生きている。


 フルーレンの陰はもう追わない。

 今は愛する人のために生きる。

 愛しい人、他の誰でもない夫のために、日々を生きるのだ。



◆終わり◆

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ