婚約した冒険者仲間が少し離れている間に変わり果ててしまいました。~私は私の新しい道を探し歩みます~
十代の頃に出会った私とガーネリアン、二人は異性でありながらよき冒険者友達だった。
「二人で強くなろうぜ!」
「そうね!」
お互い剣士だった。
私の方が少しだけ実力が上で。
よきライバルでもあった。
「いつかは絶対、俺の方が強くなってやる!」
「あはは、好きね~」
「負けてられねぇからな!」
「私だって負けないわよ」
そんな私たちは、年頃になると、婚約することにした。
同じ冒険者となら結婚しても理解してもらえて冒険者として働き続けていけるだろう――そう思って、私はガーネリアンと生きる道を選んだのだ。
ちょうど婚約が決まった頃。
ガーネリアンに、隣国へ長期滞在しての大きな仕事が入って。
「本当に……いいんだな? 行ってきて」
「ええ」
「一人にして大丈夫か……?」
「もちろん。貴方の夢なら私の夢でもあるのよ」
「そっか……よし! じゃ、頑張る!」
私は彼を見送った。
「絶対大きくなって戻ってくるからな! 待っていてくれな!」
「気をつけてね~」
それから数ヶ月。
ガーネリアンは戻ってきた。
けれどもかつての彼は消えていて。
彼の隣には知らない女性。
しかもかなり巨乳なセクシー路線の人だ。
「悪いけどさ、あんたとは別れることにしたから」
「えっ……」
「いいだろ? どーせ、もう、他のやつ好きになってんだろ?」
「まさか! そんなわけないじゃない!」
私は待っていた。
彼の帰りを。
純粋に待ち続けてきたのだ。
「そっか。でも、さ。あんたみたいな剣を振ることしか能のないやつ、妻にしたら恥ずかしいわ」
「何を言っているの……?」
「彼女と生涯を共にするから。じゃ。婚約は破棄な」
「ま、待って! どうしてそんな!」
引き留めようとするけれど。
「うるせえな、黙れよ」
「っ……」
睨まれてしまった。
どうして……。
どうしてこんなことに……。
どうしようもなく、切なく、辛い。
でも、すべて終わってしまったという現実は、どうあがこうとも変えられないものだ。
◆
あれから私は冒険者として働き続け、有名になった。
そして、国王に声をかけられて王宮警備隊に入り、その後に王子の妻となった。
意外な展開だった。
私が不審者と戦うところを見て彼が私に惚れたところから話が始まり、結婚にまで至ったのである。
ちなみにガーネリアンはというと。
あの胸の大きな女性と同棲していた最中、女性の元カレが家に殴り込んで来て、その際の揉め事によって死亡したそうだ。
◆終わり◆




