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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 2 (2022.3~12)  作者: 四季


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父の仕事が成功すると、先日婚約破棄してきた婚約者が寄ってきて「やり直そう」とか言ってきました。意味不明です。

「あんたみたいなパッとしねぇうえ稼ぎがいいわけでもない女、正直どーでもいいんだよ。金としても雌としても使えねぇあんたなんざに価値はねーよ。てことなんで、婚約は破棄な! ばいばぁーい!」


 婚約者ブルレンは上唇を捲りあげ眉頭を両方同時に豪快に持ち上げて目を剥いたような顔つきで関係の終わりを宣言した。


 ふざけている? でも、嘘や冗談ではなさそう。ということは彼は本気なのだろう。でもどうしてそんな話に相応しくないおかしな顔つきを? 嫌がらせ? ……そうとしか思えない。だって、婚約破棄なんて、本来ふざけた顔つきでする話ではないから。重要なこと、真剣な話、それを敢えてふざけたような面持ちでするというのは、そういう嫌がらせなのだろう。


 まぁ、そんなことをするような人と仲良くしていく気はない。


 彼と生きても幸せになれない。

 今はそう確信している。

 婚約者同士という関係を続けていたとしてもきっといつかどこかで傷つけられただろう。


 ならば、ここで別れておく方が、身のためというものだ。


「分かりました。では、失礼します。さようなら」


 ブルレンがここまで無礼な人だとは思わなかった。

 そんな人だったと知って残念だ。

 けれどももう彼と関わってゆくわけではないからあれこれ言う気はない。


 次へ進もう。


 前を見つめて。



 ◆



 婚約破棄を告げられた翌日、父親の事業が大成功し、大金が家へ舞い込んできた。


 それを聞きつけたブルレンは私のところへやって来て。


「この前ああ言ったけどさ、状況が変わったから……もう一回やり直そうぜ!」


 平然とそんなことを言ってくる。


「お断りします」

「金あるんだろ? だったらいいんだよー、遠慮するなって! 結婚したかっただろ? 結婚しようぜ! 金があるならあんたの価値は爆上がりだからっさぁー!」


 私は地方警備隊に通報した。

 元婚約者が絡んでくる、と。

 それによりブルレンは駆けつけた警備隊の者に拘束される。


「うおおおい! やめろよぉぉぉ! 何だこれぇ!」


 その後の取り調べの中でいくつも罪を犯していたことが判明したブルレンは、数ヶ月牢に入れられた後に、地域の権力者の許可が出たこともあって処刑となった。


 何でも、やってはならない方法での商売を何度も行っていたそうだ。


 ま、自業自得だろう。


 というより、危うく私まで巻き込まれるところだった。

 まさか気づかれていないだけで犯罪者だったとは。

 犯罪を犯していた人と婚約していたなんて、恐ろしい恐ろしい。



 ◆



 あのいざこざから数年、私は無事良い人と巡り会え結婚できた。


 最近はお菓子作りにはまっている。というのも、つい先日夫の姉が教えてくれたのだ。それまではまったく興味は持っていなかったが、いざ触れてみると興味を持てて。それ以来、色々作ることが好きになってきた。これからも色々なお菓子を作っていきたいと考えているところだ。



◆終わり◆

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