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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 2 (2022.3~12)  作者: 四季


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婚約破棄され、心に降り注ぐ雨――。

「あんたとはもうやっていけねぇよ。てことで、婚約は破棄な」


 その時が来ることを恐れていた。

 けれどもその瞬間は訪れてしまった。


 私は捨てられたのだ。


 言えるものなら言いたかった。


 嫌だ、と。

 どうして、と。


 けれどもこの国においては男性の権力が強いため、女である私には言い返す権利などない。彼が何か言ったなら私は大人しく受け入れ従うしかない、というのが、この国における常なのだ。


 私は一礼して彼の前から去る。


 婚約破棄され、心に降り注ぐ雨――。


 いつだって笑っていよう。

 その方が幸せになれそうだから。


 そう思って生きてきた私でさえ、今はどうしても笑えない。


 絶望に絶望が重なり。

 言葉さえ失い。

 涙流すことさえも難しいほどに胸の奥に降る大雨。



◆終わり◆

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