一方的に婚約破棄してきた彼は数多の星の落下によって死を迎えてしまったようです。
「フルレリア・コーネリアン! 貴様との婚約、本日をもって破棄とする! お前のような地味女とはもう付き合っていけない! いや、無理なんだ! もっと素晴らしい輝くような女性とでなければ許せないのだ! だからもうおしまいとしよう! さらばフルレリア!」
婚約者アドバンレスはひといきでそこまで言いきった。
私は捨てられた。
私は切られた。
その事実は刃のようにこの身に食い込み。
それでも生きてゆく外ない。
その日の晩、無数の流れ星が夜空を照らし、それらはアドバンレスの自宅に近くに一気に降り注いだ。
その晩はとんでもない状態だったそうだ。
近所にいなかったからこの目で見てはいないけれど。
かなり凄まじい状況となってしまっていたそうだ。
そして、アドバンレスは両親もろとも、消し炭となってしまったらしい。
降り注いだ星によって奪われる命、なんて、想像してみたことはなかったけれど――よくよく考えてみたらかなり恐ろしいことだ。
◆
その後私はちょっとした出会いから第二王子と結婚することとなった。
「ねぇフルレリアさん、流れ星って好き?」
「ええと……中くらい、ですかね」
「あまり好きじゃなさそうだね。何か理由が? 好きじゃないの?」
「実は……その、少し、怖い記憶が」
私はもう戻らない。
生きられる限り、ただひたすらに前を向いて生きてゆく。
「あ、もしかして、星が降り注いだ話?」
それに、結婚相手の彼は、なかなか良い感じの人。
夫婦になっても大丈夫だろうと迷わず思うことができる。
「……はい、実は」
「あれはびっくりだったよね」
「はい」
夫婦になれば辛いことも嫌なこともあるかもしれない。でもそれも乗り越えてゆく。どんな壁も、どんな谷も、そのたびに努力して一つずつ越えてゆけばそれでいい。彼となら共に歩める、彼となら共に乗り越えてゆける、そう信じている。
「僕はこの目では見ていないんだけど……もしかして、見たの?」
「知人が亡くなったのです」
「ええっ。……そんな、その……そう、だったんだ……軽い気持ちで話してごめん」
「いえ! 気にしないでください! そういう意味ではないですので!」
希望を胸に。
前へ進もう。
◆終わり◆




