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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 2 (2022.3~12)  作者: 四季


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我が剣、それは、ざまぁ能力です。~少々残酷ですが生まれつきのものなので仕方ないですね~

「アンタなんてクソな女よ! みっともない! ダサいくせに何生きているよ! ばっかじゃないの!」


 私の母は感情の波が大きい人だった。

 不機嫌になるとすぐに叫ぶ。

 そして、娘である私に、最も強く当たり散らすのだ。


 消えろ、とか、ごみ、とか、そんな言葉を発されるのは日常茶飯事だった。


 でも、そんな母は、私が十歳になった日に亡くなった。


 その日母は初めて手を出した。私にビンタをしたのだ。だがその瞬間彼女は頭部が吹き飛んだ。そして沈黙。一瞬にして母との関係は終わった。


 思えばあれもそうだったのだ――後に知ることとなった、私に備わっている『ざまぁ能力』だ。



 ◆



 二十歳になった春。

 私は婚約した。

 エッドフィグという青年と。


 だが彼ははじめから私を良く思っていないようで……。


「お前との婚約、破棄とする!!」


 婚約から数週間が過ぎたある日、突如、終わりを告げられてしまった。


「そもそもだな、お前は母親がいないのだろう? それだけでも駄目だというのに、媚びないし忠実でもない。話にならない! 何の良いところもないじゃないか」


 エッドフィグは私を見下していた。

 そして今も。

 私を、明らかに、下の者と捉えているようだ。


 母親がいない、なんて、どうでもいいことだろうに。


「だからもうおしまいにするんだ。決意は固い、絶対揺らぐことはない。やはり――素晴らしい俺は、お前みたいな底辺女ではなく、もっと素晴らしい人と結ばれなくてはな」


 こうして私は婚約破棄される。


 だが直後『ざまぁ能力』が発動。

 エッドフィグは急に酷い腹痛に襲われる。


「っ……ぁ、ぎゃああああああああ!! 何だ!? 何なんだこれぇぇぇぇぇぇッ!? いだだだだだあぁぁぁぁいだいいだいいだいぃぃぃぃ!! うぎゃあああああ!! あばばばば、だづげでぇぇぇぇぇぇっ!!」


 そして口から大量の血液を吐き出し。


 その後死亡が確認された。



 ◆



 あれから五年、私は、一人の男性と結婚した。

 彼は私より五つ年上だ。

 夫婦にしては年が離れている方かもしれない。


 けれども構わない。

 彼は良き理解者だから。


「そっかぁ。婚約していた人は亡くなってしまったんだね」

「そうなの……ざまぁ能力で」

「それってやっぱり、君を傷つけたからからなぁ」

「そうかもしれないわ。……ごめんなさい、怖いわよね?」

「ううん、怖くないよ。大好きだよ」

「……本当?」


 夫は、彼は、私のすべてを知ったうえで結婚してくれた。


「もちろん!」

「良かった……」



◆終わり◆

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