一度は離れることになってしまった幼馴染みと結ばれることに成功しました!
幼い頃から剣を振ることが好きだった私は、魔法を得意としている幼馴染みの男の子リュシアと将来を誓い合っていた。
「結婚して、夫婦で魔物と戦おうね!」
「そだな」
「その時には一緒に戦ってくれるよね?」
「もちろん」
「やったぁー」
「はは、凄く嬉しそうだな」
年を重ねてもリュシアと一緒にいられると思っていた。
――だが、私の夢は断たれた。
というのも、リュシアではない男性と婚約しなくてはならないことになってしまったのだ。
ガーランドという名の彼が私に惚れたことですべてが変わってしまった。
私はリュシアと結ばれることはできず、当たり前のようにガーランドと婚約することとなってしまったのである。
私は絶望した。
夢を引き裂かれて。
ガーランドは私のことを美しいとか好きとか言ってくれるけれど、正直まったく嬉しくない。
だって私はリュシアが好きなのだ。
彼と一緒に生きてゆきたいのだ。
それは決して変わることのない願いなのである。
そこで私はガーランドに嫌われようと試みた。
彼が不快になるようなことをすればきっと婚約破棄してもらえる――そう信じて。
だがなかなか婚約破棄はしてもらえず。
怒られ虐められるだけで終わるパターンが続いた。
しかし、ある時、ガーランドに近づく女性が現れて。
その女性の超絶積極的なアプローチにやられたのか、ガーランドはその女性に惹かれてしまったようで。
「悪いが婚約は破棄とさせてもらう」
ついにこの日が来た!
にやけてしまいそうだ。
でもそれはこらえる。
嬉しがっていることを知られてはならない。
「他に愛する女性ができてしまった。だからもう君を見つめ続けることはできない。……正直、思っていたより駄目女だったしな。ということで、関係は終わりとする」
こうして私はガーランドに婚約の破棄を告げられた。
わざと嫌われる作戦は失敗したけれど、女性が迫ってくれたことによって婚約破棄されることに成功した――これはある意味幸運だ。
婚約破棄された私はリュシアのところへ向かう。
「えっ、婚約したんじゃ……」
リュシアは森の近くで一人暮らししていた。
親のために魔法を使わされることが嫌で家出して、そこで暮らすようになったらしい。
「破棄されたわ」
「破棄!? マジ!?」
「ええ。でもいいの。私、彼と生きる気なんてなかったの」
少し間を空けて、続ける。
「どうしても、貴方と生きたかった……もう遅いかもしれないけれど、できれば、一緒に生きてくれない?」
見つめ合えば、特別な感情が生まれる。
始まりは細やかな想いだった。
それは恋でも愛でもなく。
純粋に相手を好む感情だった。
でも今は、成長した彼のことを、少しばかり特別な人として見ている。
「もちろん!」
「やったぁー」
「……変わらないよな、そういうとこ」
こうして私はリュシアと結婚した。
◆
あれから十年、私は今、夫であるリュシアと共に戦っている。
数年前から急に魔物が増えたのだ。
それを討伐するため、私たちは戦っている。
剣士の妻と魔法使いの夫――私たちは今、国では『魔物狩り名人夫妻』と呼ばれ英雄視されている。
その成果を国王から表彰されたこともある。
ちなみにガーランドはというと、今はもうこの世にいないようだ。
これは私が親から聞いた話だが。
彼はある時魔物の群れに襲われて亡くなったようだ。
◆終わり◆




