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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 2 (2022.3~12)  作者: 四季


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婚約者が唐突に婚約破棄を告げてきました。しかも女性といちゃつきながらです。意味が分かりません。

「俺、お前との婚約、破棄するわ」


 唐突にそのようなことを言ってきたのは、婚約者エレルビッツ。


 彼の隣には女性がいる。

 金髪のふんわりしたショートヘア、小動物のような愛らしさのある、そんな女性だ。


「エーレ、本当にいいのぉ?」

「ああいいんだ」

「でもぉ、婚約者さん、傷ついてるんじゃあ?」

「いいんだよ、もう終わりにするだけだから」


 私の目の前で甘い声を垂れ流しいちゃつくエレルビッツと女性。


 何を見せられているのだろう?

 そんな風に思ってしまう。


「えぇ~」

「俺はお前しか見ていない。あんな婚約者なんぞ、好きな人ですらなかったんだ」

「本当にぃ?」

「本当だよ本当。嘘なんて言わない」


 女性は大きな瞳をわざわざ潤ませている。


「あたしぃ、婚約者さんが傷つくならぁ、引くからぁ。一番じゃなくてもいいよぉ? あたしは婚約者さんと違ってぇ、二番目でもいいのぉ、エーレといれるならそれでいいのぉ」

「お前は本当に善い女性だな、控えめで、俺のことだけでなくあんなくだらないやつのことまできちんと考えて」

「ううん~そんなことないよぉ~、普通普通」

「それが普通だなんて、お前は優しいな、神だな」

「ええ~、エーレ冗談面白すぎるぅ」


 そろそろこの場から去りたいな、と思っていると。


「そういうことだから、お前とは終わりな」

「本気なのですか?」

「ああ、俺はこの彼女だけを愛している。お前なんてどうでもいい、何なら死んでもらってもいいくらいだ」


 抱き締め合うエレルビッツと女性。


「婚約者さん~すみません~。そんなつもりじゃなかったんですけどぉ……愛し合ってしまってぇ」

「彼女の可愛さを見たか? なら勝てないと分かるだろう? 潔く諦めて去ってくれ」


 こうして私は切り捨てられたのだった。


 でも、いちゃつきを見せられたことが一番不快だった。


 その後私は親の知人の力を借りてエレルビッツに戦いを挑み、慰謝料をもぎとった。


 金ですべてが解決するわけではない。

 完全な慰めになるわけでもない。


 それでも、何もないよりかはましだ。



 ◆



 婚約破棄から数年が経ち、私は、エレルビッツではない男性と結婚した。

 今は彼の家が代々営んできた洗濯屋を手伝いつつ家事をしたり趣味に打ち込んだりと良き日々を謳歌している。


「あ、仕事終わったの?」

「そうなんだ~、もう終わったんだよ~。今日はちょっと早かったかな?」

「そう思ったわ」

「ならそうかも~。今日終わりしなにお客さんほぼ来なかったからね。ぎりぎりに来る時もあるけどさ、今日はそれがなかったんだよ」


 夫との関係は、穏やかで、良好。


「そっか。あ、料理できてるわよ。もう食べる?」

「食べられる感じ?」

「ええ! 後はもう温め直すだけよ」

「じゃあいいかな? お願いします~」

「はーい」


 彼と共にあれる時間は何よりも尊い。


 これからも彼といたいと思っているし、長く夫婦として幸せに生きていたいと純粋に思えている。


 ちなみに、エレルビッツとあの女性はというと、あの後評判を下げ残念なことになったようだ。


 エレルビッツは「他の女が好きだからと婚約者を切り捨てた」という話が出回ったことで女性陣から嫌われ、職場の女性たちからも近所の女性らからも嫌われてしまったそうだ。また、男性たちや実の母からも批判され、味方はほぼいないような状態になってしまったらしい。


 そして、相手女性は、周囲から「婚約者がいる男をもぎとった最悪な泥棒女」と言われるようになったそうで。それまではいた友人も離れていってしまったらしく。あっという間に孤独になってしまったそうだ。



◆終わり◆

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