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名前が長いと馬鹿にされ虐められていた妹が婚約破棄されて帰ってきたので、元婚約者らの悪い行いを暴露したうえで、妹を全力で可愛がります。

 私には二つ年下の妹がいる。


 彼女の名は、ハニー・アドドモス・アルペンカス・メニーニー・ミモ・アルポという。


 とても可愛い妹。

 純粋で、真っ直ぐで、明るい。


 そんなハニーのことが私は大好きだ。


 でも彼女には悩みがある。


 婚約者がいるのだが、婚約者とその母親から虐められているのである。


 二人はハニーの名前が長いことを馬鹿にして虐める。最初はネタにされ笑われるくらいだったのが段々エスカレートして、今では、会うたびにそのことに触れられ嫌がらせを受けているようだ。


 確かにハニーのフルネームは長い。

 でもそれは馬鹿にしたり傷つけたりして良いということには繋がらない。


 私は彼らを許さない。


 可愛い妹を泣かせるやつなんて、姉として許せないのだ。


 そこで私は最近、ハニーの婚約者とその母親の問題行動に関して調査している。いざという時にハニーを守るため、である。二人に関しては前々から黒い噂を聞く機会があったので、何かしらあるだろうと思い、調査を開始したのだが……予想以上に色々出てきた。


 ハニーの婚約者、アマンというが、彼に関しては裏社会の商売人との関わりが発覚した。


 禁止薬物のやり取り。

 これは犯罪だ。


 で、アマンの母親に関しては、不倫が判明した。


 何と彼女は三人もの男性と不倫していたのだ。

 夫は知らないのか知っていて放っているのかは不明だが。


 どちらも、私は既に証拠を手に入れている。


 もちろんこれからも調査は続ける気だ。



 ◆



「ねえさまぁぁぁ……婚約破棄されてしまいましたぁぁぁ……」


 その日、ハニーは泣きながら帰ってきた。


「婚約破棄? 何があったの? 取り敢えず落ち着いて……それから話して」

「はいぃぃ……」


 ハニーの瞳からは大粒の涙がこぼれ落ちている。


 彼女をこんな風にするなんて。

 酷すぎる。

 泣かせるなんて。


「そう。じゃあ、婚約破棄されてしまったのね」

「はいぃぃ……」

「しかも、理由が名前のことだったのね」


 話を聞けば、ハニーが婚約破棄された理由は『名前がかっこわるく親戚になりたくない』というものだったらしい。もしかしたら別の理由もあるのかもしれないが。ただ、アマンが口にした理由は、名前のことだけだったとのことだ。


「ねえさま……ごめんなさいぃぃ……家に傷をつけてしまって……」

「何を言うの! ハニーは悪くないわ」

「でも……婚約破棄された妹が……いる、なんて……」


 ハニーにこんなことを言わせるなんて辛すぎる。


「大丈夫! ハニーは悪くないし、責めたりしないわ!」

「ねえさま……」

「今一番辛いのは貴女よ、そこにさらに攻撃するようなことは絶対にしない。信じて」


 ただ名前が長かっただけ。


 彼女に非はない。


 そもそも、名前なんて彼女が決めたものでもない。

 どこに非があるというのか。


「今はゆっくりして」


 一方的に婚約を破棄し、理由も意味が分からないようなもの。やりたい放題虐めただけでなく切り捨てるなんて、アマンには人の心というものがないのか。なぜそんな酷いことができるのか、私には理解できない。


「ハニー、後は私に任せて」

「ねえさま……?」

「アマンたちをぎゃふんと言わせてやるわ!」


 今こそ、私の調査の成果を利用する時だ。


 可愛い妹を泣かせる男。

 絶対に許さない。

 顔面を絶望に染め上げてあげる。


 ここからは私の出番よ。



 ◆



 私はアマンとその母親の悪い行いを世に出した。


 表向きは良い家柄の母息子で通っていた二人の評判はあっという間に地に堕ちる。

 証拠が揃っているので本人たちが何を言おうとも無駄。

 こちらは主張が事実であることをはっきり皆に知らせるものを持っているので圧倒的に有利だ。


 アマンは闇取引に参加していた罪と禁止薬物をやり取りしたり所持したりした罪で逮捕。

 彼の母親は不倫がばれたことで夫から離婚を言い渡され、また、騒ぎになったことで不倫相手の男たちにも離れていかれ一人ぼっちになった。


 もちろん、ハニーを虐めていた事実も世に出た。


 ざまぁみろ、というやつね。


 でも悪いのは本人。

 自業自得だ。



 ◆



「ねえさまがあんなネタを持っていたなんて驚きました」


 あれから数ヵ月が経ったが、ハニーはだいぶ元気になっている。


 毎日彼女を可愛がってきた。

 だからこその達成感。

 愛しい人が私の頑張りで元気になってくる、こんなに嬉しいことはない。


「実はこっそり調査していたのよ」


 ハニーの好きなお茶を淹れながら。


「でも……本当に、ありがとうございました。助かりました」

「いいの、私はハニーを守りたかっただけよ」


 私はハニーを守りたい。


 これからも、ずっと。



◆終わり◆

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