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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 2 (2022.3~12)  作者: 四季


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趣味を理由に婚約破棄されましたが……私の趣味を受け入れ認めてくれる最高の相手に巡り合えました。

 山登りが趣味だった。

 親もそれが好きだったからその影響を受けて育ったのだ。


 けれどもこの国ではまだまだ山登りは男性のものというイメージが強く、そのため、女性で山登りをしていると言うと驚かれるし時に良くない印象を抱かれてしまうこともある。


 だからそれは周囲の人たちと共有できる趣味ではなかった。

 ひっそりと行い楽しむしか方法はなく。

 何なら男性の前ではなるべく隠さなくてはならないくらいだった。


 そんな事情もあり、婚約者レイゾンにもその趣味のことは隠していた。いや、必死になって隠していた、というわけではないのだが。なるべく言わないようにしていた。山に登っている女という印象が強く残らないように、彼の前でその話をすることは控えていたのだ。


 でもいつしかばれてしまって。


「君は山登りが趣味だそうだな」

「どうして知って……」

「隠していたのか?」

「そうですね……あまり良く思われなくかと思って、言いませんでした」

「なんと無礼な! 夫となる者に隠し事をしているなど話にならん! ……もういい、婚約は破棄だッ!!」


 しまいには切り捨てられてしまった。


「山登りをする女なんぞ我が家に入れたら我が家の恥! 悪いが君とは絶対に無理だ!」



 ◆



 あれから二年半、私は王子の妻となった。


 なぜそんなことになったのか?


 それは二年ほど前にさかのぼる。


 あの日、私は、いつものように山登りをしていた。

 婚約破棄されたということもあって趣味を控える必要がなくなっていたのだ。

 その時期は思う存分趣味を楽しめるのが嬉しくて、浮かれ気味な私は毎日のように山にいた。

 そんな中で、足をくじいて困っていた彼に出会ったのだ。


 こっそり山へ来たものの足を痛めてしまい困っていた彼を救った私は、彼から「山登りが得意な女性に出会いたいとずっと思っていた、だから、できるなら共に生きてほしい」と言われた。


 そして、それから色々ありながらも、結婚するに至ったのだ。


 今は彼に愛され幸福だ。

 それに。

 彼は山登りという私の趣味を受け入れ認めてくれている。

 それもまたありがたいところだ。


 ちなみにレイゾンはあの後顔が凄く好みな人と結婚したそうだが、その可愛い顔には三日で飽き、そのうちに妻が家事もまともにできないくらい病弱なことが不快になり――喧嘩が絶えなくなり、気づけば不仲に、そして離婚に至ったそうだ。


 今のレイゾンの口癖は「山登り好きは残念でも健康だったあの人と結婚しておくべきだった」だそうだ。



◆終わり◆

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