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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 2 (2022.3~12)  作者: 四季


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美しい赤髪を持つ婚約者が婚約破棄を宣言してきました。~そして隣国へ移り住む~

「リリーシア・エルヴィス! お前の相手をしていられるほど暇じゃない! よって、婚約は破棄とする!」


 赤髪の婚約者コールウィーは突如そのようなことを宣言してきた。


 彼の髪は美しい。女性顔負けの丁寧に世話されたそれは、いつも輝きをまとっていて、良い意味で艶がある。毛一本一本が赤らんで輝く。光を受ければ、その輝きはより一層確かなものとなる。


「婚約破棄の理由が……暇じゃないから、ですか?」


 思わずそんなくだらない問いを放ってしまう。

 こんな問いに意味はないと分かっているのに。


「ああそうだ。俺は素晴らしい女性しか相手したくない」

「ええ……さすがに酷いです……」

「分かったか? じゃ、今すぐ消えるように」


 こうして終わってゆく。


 私と彼の時間。

 私と彼の関係。


 過ぎ去ってしまったら――もう戻れない。



 ◆



 あれから色々あって、私は今、生まれ育った国ではなく隣国の王妃となっている。


 生まれた国から離れるのは切なさもあった。故郷を、アイデンティティを、捨ててしまうような気もして。けれども近く王となる予定の王子が熱心に私に声をかけてくれて、その結果彼のところへ行くことになった。


「見て! リリーシア様よ! 麗しい!」

「あっちから来たのよね、でも驚いたわ、とっても可愛い人」

「リリーシア様!」

「こっち向いてくださぁーい!」


 こうして私は隣国で幸せを掴めたのだが……かつて私がいたあの国は今はもう滅び他の国の持ち物となってしまっているようだ。


 権力ある家の息子であるコールウィーは、その家柄ゆえ国の重要人物の一人とみなされ、占領した国によって拘束されて処刑されてしまったそうだ。


 その話を聞いた時は驚いた。

 まさかそんなことになっていたとは、と。


 でも、正直、可哀想とは思わない。


 あの美しい髪が失われてしまったことは悲しくも思うけれど。


 けれどもすべては過ぎ去ったこと。

 もはや私と彼に縁はなく。

 だから彼がどうなろうが知ったこっちゃない。



◆終わり◆

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