精霊の世話をしてきた家に生まれた私は婚約破棄されましたが国王お抱えの精霊使いとして大成しました。
代々精霊の世話をしてきた家柄だったということもあって、子どもの頃から精霊との交流に慣れていた。だがそんなこともあって周りからは気味悪く思われることもあった。それでも私はそれでいいと思っていた。そういう家に生まれたのだ、それは定め。だから、それによって起こることはすべてを受け入れようと思っていた。
だが。
「リフィリア! お前との婚約は破棄とする!」
婚約者ガーネンに婚約破棄を告げられた時にはさすがにすぐには受け入れられなかった。
私だって普通の人間だ。
私にも心はある。
時には傷つくことだってあるのだ。
「どうして……」
「気味悪いんだよ、精霊とか何とか」
ガーネンのことは嫌いではなかった。
それだけに辛かった。
衝撃が大きかったし、絶望のような色もあった。
「それは家庭環境です」
「気持ち悪いんだよ!!」
いきなり叫ばれさらに衝撃を受ける。
「やめてください、そんな言い方」
「精霊がなんちゃらかんちゃらとか、魔女みたいなもんだろ!」
「違います」
「ああもううぜぇっ!! まぁいい、話はここまでだ。関係なんぞ終わりだ終わり!!」
こうして私は一方的に切り捨てられた。
まさかこんな形で終わりを迎えることになるなんて……。
はじめのうちはなかなか受け入れられなかったが、徐々に回復し、やがて前を向けるようになっていった。
◆
あれから数年。
私は精霊使いとして大成し国王お抱えの精霊使いとなった。
きちんと給料が出るためお金には困っていない。生活費もきちんと用意してもらえる。住むところや食べるものもそこそこ質の良いものが与えられているし、仕事柄思う存分精霊の近くで暮らせるのも嬉しい。
今の私はかなり理想的な生活をできていると思う。
だから私はこれからもこの場所で前を向いて生きていく。
ちなみにガーネンはというと。
あの後精霊の祟りに遭い、少しずつ生命力を吸われ衰弱していって、二年ほどまともに生きることも死ぬこともできず苦しみ続け……その後、死亡したそうだ。
◆終わり◆




