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貴方はいちいちいちゃつき過ぎなんです! ~そんな方とは縁を切ります~

 私にはルカス・フォフォナッツという婚約者がいる。

 しかし彼にはネーナという異性の幼馴染みがいて。

 ルカスとネーナはとにかく仲が良く、もはや仲良しな幼馴染みという域を越えたようないちゃつき方をする。


 ネーナに関しては知らないが、ルカスには婚約者がいるというのに。


 とある晩餐会の日、私がルカスに声をかけようとしているのを知っていながらネーナは彼から離れず。開催時間中ずっと彼に引っ付き回っていた。少し酒が回ると彼の腕にもたれかかるように掴まり、すぐに中庭へ。そして中庭で口づけやら何やらを堪能する。しかも、そこまで酔っ払っていないルカスも嫌そうではない。


 ある日の夕暮れ時、私が用事があってルカスの家を訪ねると、彼とネーナは彼の自室でベッドに横たわって戯れているのだが……なぜか二人とも半裸。しかもキャッキャウフフと嬉しげな声をこぼしている。肌に触れ合うなんて普通、距離も異常に近い。


 そんなことが何度も何度も繰り返されて。


 私はついに我慢できなくなった。


「ルカスさん、ネーナさんといちゃつき過ぎではありませんか?」

「え? 何それ嫉妬? うっけるぅ~」


 ルカスはまともに対応してくれない。

 なぜかいちいちふざけてくる。

 そういうところも腹が立つところだ。


「べつにいーじゃん、遊びだし」

「良い気はしません」

「心せっまぁ~」


 もういい加減にしてほしい。


「ということで、婚約は破棄することにしました」


 そう告げると。


「ふぎゅ!?」


 彼は情けない声を漏らす。


「そんな勝手なぁ!」

「いちゃつき回るうえこちらの話をまともに聞こうとしない方が悪いのです」

「お、おい、本気で……?」

「はい。ではこれで。さようなら、ルカスさん」


 あれだけいちゃついているのだから、彼はネーナと生きればいい。


 私は去ろう。



 ◆



 ルカスとの婚約を破棄した日から今日でちょうど五年になる。


 彼との関係はあれで終わってしまったが、あれから私は勉強に力を注ぎ、先日ついに魔物研究者の資格を取得した。


 というのも、私の夫となった人が魔物の研究をしている人だったのだ。

 そこで私は、私も最低限の資格くらいは持っておこうと思って。


 これがあれば少しは夫の力になれるかもしれない。


 それに、魔物には最近徐々に興味が出てきた。夫が楽しそうに話すのを聞いていたら、私もその世界へ踏み込みたくなってきて、だから資格を取ったという部分もある。


 これからは夫に協力できればいいな……なんて少し思ったりもしている。


 そういえば、ルカスはあの後すぐにネーナに子を宿らせてしまったらしく、驚くと共に驚いたネーナの親に「君の子なのだから君が責任を取ってネーナを幸せにしろ!」と言われ、ネーナと結婚することとなったそうだ。


 結婚後はネーナがルカスの家へ来て同居する形となったようだが、ネーナとルカスの母親の気が恐ろしく合わず。ルカスの母親に虐め抜かれたネーナは心を疲れさせ、やがて、自殺未遂を繰り返すようになってしまったそうだ。で、結局、子どもも生めなかったとのことだ。


 その件で家同士での喧嘩のようになってしまったらしく、ルカスとネーナは一年ももたず離婚したらしい。



◆終わり◆

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