信じていたものは幻でしたが、最終的には幸せになれました。~おとぎ話を越えた先に幸せの欠片はありました~
優しい婚約者と結婚し、幸せになる。
そんなおとぎ話を聞いて育った。
だから婚約者という存在は己の支えになってくれるものなのだと思っていた。
その人となら幸せになれると思っていた――。
「あんたとの婚約、破棄するわ」
でもその日は来てしまった。
終わりを告げられる日。
幸せになれると思っていた――でもその考えは正しいものではなかったのだと、今になって気づいた。
とても良い気候の日だった。
花は咲き乱れ、甘い香りが漂って、心地よい気温で、包み込む女神の笑みのような風が吹き抜ける。
幸福を絵に描いたような。
そんな日だった。
「婚約破棄……なぜ?」
「レベルが違う女とは無理だからだ」
思えば、婚約者ツリシーは時折私を悪く言っていた。あんたはくそだな、とか、あんたはもうちょっとどうにかならないのかね、とか。そういうことをたびたび言っていた。けれども、この道の先に幸福があると信じていた私は、何か言ってるなくらいにしか思っていなかった。ツリシーも、優しい時もあったので、ああいう時は機嫌が悪いんだな、としか思わなかった。
でも違った……。
「低レベルな女を相手していたらこっちまで低レベル化してしまう。だから婚約は破棄だ。じゃあな、ばいばい」
私の信じてきたものはすべて壊れてしまった。
◆
あの日から今日でちょうど二年になる。
ここまで色々あった。
でも私は幸せになれている。
愛する人に出会い、愛する人と結ばれたのだ。
まだまだこれから。それもまた事実だけれど。でも、結婚してすぐに不仲になる者もいることを思えば、私は良い方だと思う。今だけでも共にあれているのだから、私は恵まれている人間だ。それに、これからもきっと、今の彼となら明るく生きてゆけると思う。
そうそう、そういえば。
私との婚約を破棄した時、ツリシーには裏で非常に仲良くしている女性がいた。
そのことを知ったのは婚約破棄された直後。
二人が一緒にいるところを私はたまたま見てしまった。
しかも。
「今日は一年記念ねぇ~」
「ああそうだなぁ」
二人はそんなことを言っていた。
そのことを親に話したところ、激怒した父が人を雇った。
そしてツリシーとその女性は拘束されることとなる。
その後は父によって説教という名の復讐劇が行われた――内容はほぼ拷問のようなものだったが。
詳しくは知らないが、その後二人は死亡したようだ。
◆終わり◆




