772/1194
私は今もあの場所にいる
詩のような作品です。
あの暗い空に美しい月が出るたび
悲しみに堕ちたあの日を思い出す
婚約破棄を貴方が告げてきた日の
あの絶望をまた思い出してしまう
私は今も
あの場所にいる
私の心は
あの場所に在るまま
長い時が過ぎて
きっと貴方は忘れてしまっているでしょう
私のことなど
私との日々など
きっと遥か彼方へ行ったことでしょう
私もまた時を経て
多くのものを
失い手に入れ
失い手に入れ
繰り返して
あの時のままで
生きているわけではないけれど
それでも心は
あの日のあの場所に置かれたまま
それでも心は
砕かれたまま放置されているようなもの
どこへも行けず
去るも
行くも
できないままで
佇んでいる
あの月の美しかった夜に
心は独り
佇んで夜空を見上げ
涙をこぼしている
あの暗い空に美しい月が出るたび
悲しみに堕ちたあの日を思い出す
婚約破棄を貴方が告げてきた日の
あの絶望をまた思い出してしまう
私は今も
あの場所にいる
私の心は
あの場所に在るまま




